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【第一弾】ABC理論:ABC理論とは?介護にも応用できるストレスケアの基本


1. はじめに:介護におけるストレスの現状


介護は愛情や責任感から生まれる素晴らしい行動ですが、同時にストレスがつきものです。「何をやってもうまくいかない」「家族との意見が合わない」「もっとできたはず」といった感情に悩む介護者は多いでしょう。このストレスに対処する方法として注目されているのが「ABC理論」です。

2. ABC理論とは?


ABC理論は、認知行動療法の創始者である心理学者アルバート・エリスが提唱した考え方です。この理論は、私たちの感情や行動が直接「出来事」によって引き起こされるのではなく、その間にある「信念」が大きく影響していることを示しています。

ABC理論の構造:
• A(Activating Event):出来事や状況
• B(Belief):その出来事に対する信念や解釈
• C(Consequence):結果としての感情や行動

3. 介護の場面におけるABC理論の例


具体的に介護の現場で考えてみましょう。
• A:母親が食事を拒否する
• 「また食べてくれない、どうしよう」と感じる出来事。
• B:『私が悪いからこうなっている』という信念
• 自分を責める考え方が浮かぶ。
• C:ストレスや不安感が増大
• 自己嫌悪や燃え尽き症候群につながる。

しかし、この「B」の部分を「母親の体調や気分のせいで、私が悪いわけではない」と再解釈することで、結果(C)は「今日は仕方がない。明日また試そう」と冷静な感情に変わる可能性があります。

4. 信念(B)を変えることの大切さ


ABC理論の重要なポイントは、「出来事(A)はコントロールできなくても、信念(B)は変えることができる」という点です。たとえば、以下のように考え方を変えることで、感情や行動もポジティブに変わります。
• 否定的な信念:「私は何をやってもダメだ」
• 柔軟な信念:「私はベストを尽くしている。状況が変わればうまくいく日もある」

この変化を積み重ねることで、日々のストレスを軽減できます。

5. 介護者がABC理論を使うための3ステップ


ステップ1:出来事(A)を客観的に記録

まずは日常の中でストレスを感じる出来事を具体的に書き出します。例:「父親が歩行を拒否して、介助が進まない」

ステップ2:信念(B)を意識する

その出来事に対して、どのような考え方をしているかを振り返ります。例:「私がちゃんと説明しないからだ」

ステップ3:新しい信念を探す

もっと柔軟で現実的な信念を見つけます。例:「今日は父親が疲れているだけかもしれない。明日はタイミングを変えてみよう」

6. 実際に使えるセルフケアの例


ABC理論を日常に取り入れるために、簡単なセルフケア方法を試してみましょう。
• 1日1回ABC分析をする
• 小さなノートやスマホのメモに、その日の出来事と自分の信念を書き出してみます。
• 否定的な信念を書き換える
• 「こうあるべき」と思い込んでいることを「こうでもいい」に変える練習をします。
• ポジティブな結果を記録する
• 信念を変えることでストレスが軽減した成功体験を記録しておきます。

7. ABC理論がもたらすもの


ABC理論は、単なる心理学の理論ではなく、日常のストレスを減らし、感情をコントロールする強力なツールです。介護の場面では、コントロールできない出来事が多いですが、自分の考え方を変えることで感情の負担を減らし、前向きな気持ちでケアを続けることができます。

8. まとめ:小さな変化が大きな違いを生む


介護は決して簡単なものではありませんが、ABC理論を取り入れることで、自分自身の心をケアしながら向き合うことができます。一度に全てを変えようとせず、小さな一歩から始めてみてください。信念を変えることで、ストレスフルな出来事も「少し楽に」感じられるようになるはずです。

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