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「褒める」を知るには「評価」と「共感」の理解が大切なのかも
問1、
誰にも褒められない社会は不幸だと思いますか?
この質問は、私が思いつきでスタッフに送ったメッセージです。質問は、これ以外にも関連したものが幾つかありますが、これらは小規模なコミュニティでシェアされ、しばらくすると色々な回答が返ってきました。それらを眺めてみると、ある法則に気がつきました。それは「褒め」には「評価」と「共感」が同居しているということです。
日本と他国
私の友人は海外の方も多いのですが、彼らはとにかく人を褒めます。だからかもしれませんが、彼らは反対意見に強い。反対意見を評価ではなく、意見として受け入れる土壌ができているのでしょう。フィードバックが早くプロジェクトの進行が早い。アクションが早いのでゴールにも到達しやすく、結果的に余分な時間が出来てプライベートの時間も増える、という効果を私自身いつも実感しています。
そしてこのスピード感に一度慣れてしまうと、それより遅いスピードはストレスになってきます。特に、批判的な意見に感情が反応してしまう人との仕事はなかなかうまくいきません。目的に対して意味のない余計な作業が増えてしまうからです。こうした現象が海外の人々よりも多いと感じる理由は(私自身の環境も大いに関係ありますが)日本人は褒めを効果的に使えていないせいもあるのかな、、、と感じます。さて、ここで仮説を立てたいと思います。
仮説1、褒めには評価と共感が同居している。
仮説2、評価は感情の起伏が大きい。
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アンケートで「褒められたら嬉しい」と回答した人は、共感型の褒めをされた経験が多い傾向があります。評価は良い場合と悪い場合があります。物事は多くの場合、失敗を繰り返して成功します。なので、評価型で褒めようとすると(成功までのプロセスも評価の対象になるので)確率的にマイナス評価の方が多くなります。すると評価された人は、マイナス評価を避けようと、褒められるための行動に出るといった本来の目的とは違った、バランスを欠いたインセンティブを生んでしまいます。
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しかし共感型であれば、労いなどの気持ちも生まれるので、結果に左右されず褒めが生まれるモデルが出来上がります。アンケートには「心がないのがバレちゃうよ」と子供からの意見もありました。この意見がどういう意味なのかははっきりと分かりませんが、成果のみにフォーカスした「評価」に心がないのは確かでしょう。
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褒められることにやや懐疑的な意見もありました。他にも「他人の評価はどうでも良い。自分が楽しいと思えることが大切」といった意見もあり、褒めに消極的なグループは評価される環境から遠ざかる傾向があるので、結果的に他者の評価に左右されずに動ける。1人でクリエイティブな作業などをする場面では大きなチャンスに恵まれるでしょう。これらのグループは、褒め自体に対して懐疑的なのではなく、他人の評価に対して懐疑的なのです。だから、自分で決めた道に突き進む力は強いかもしれません。
一方で、褒められることに積極的なグループは他人への警戒心が薄いぶんコミュニケーション能力に長けています。学習でも仕事でもスタートを切るのが早く進歩も早くなります。また、より多くの人と円滑に関わることは知能を集めることに繋がります。褒めに喜びを覚える環境作りは素晴らしい効果があるわけです。
褒めに消極的なグループにも良い効果はあります。ですが、積極的なグループに比べて多くのサポートが必要になります。子供の頃であれば周りの大人がサポートできますが、褒めに懐疑的なまま大人になってしまうと、感情に振り回されたり、余計なプライドが生まれてしまったりと、あまりプラスがありません。
まとめ
私の体感では、日本は評価のウェイトが大きく、ヨーロッパやアメリカなどは共感のウェイトが大きい印象です。一年を通して日本以外の人々と関わる割合はちょうど半々ぐらい。そんな私自身の経験も相まって、今回の褒めについての考えは私自身、良い気づきになりました。
「君はすごい!スペシャルな存在なんだよ」と声をかけ続けた子と「もっと頑張れ」と、声をかけ続けた子。今のところ、私は前者の方が心身共に健全な人間が育つと感じています。皆さんはいかがでしょうか。
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