食べ塾70：飲食店の値上げ告知、今年の傾向と表示方法は？

　　令和4年の春、コロナ禍の政治的解除から始まる経済の復興と合わせて押し寄せるすべての食材の値上げラッシュ！
もはや「避けて通れない値上げ対策」（価格転嫁）が必要です。

　　　知り合いの方からメールをいただきました。

「値上げの告知はどうしたらいいでしょうか？」
経営者となって1年余りのこの方は、値上げメニューを作るのは初めての
体験となります。
それがヒントになってこの投稿が生まれました。

■値上げ告知はすべきかどうか？

　結論から先に言うと「値上げ」という言葉を使った告知は、必ずしも
必要でなく、経営に対しても正しい行動にはなりません。

では、どの言葉を使うと良いか？ですが、
「〇月〇日よりメニューの一部を改訂しました」が私のお勧めする告知の
あり方です。伝え方も大きく文字でするのでなく、メニューの一部に
表示したり、口頭で常連客様に伝えます。

＜理由＞
①ご無沙汰期間が長いからいつ値上がりしたか定かではない状況がある
　　コロナ禍の丸2年間以上以前ほどお店に来ていませんから、いつどの
メニューが値上がりしたかどうか？定かではありません。
お店ごとに違うし、メニューごとに違うはずです。

②食材の値上がりは言わなくても毎月耳に入ってきている
　　消費税の引き上げなどが要因の「公的要因」の場合は、〇月〇日より
メニューを改訂しましたで済みますが、民間の食材の値上がりは一定の時期に限ったことではありません。民間的値上げ要因になると思います。

よって、「価格の改定」＝値上げに通じる　を想起・連想できることを
見越した改定という言葉選びになります。

③店頭に「〇月〇日より値上げしました」と書けばお客様は
　許してくれるか？
　　私から見ると、本来は千客万来が基本の考え方の飲食店ですが、
お店にも入らない位置＝玄関前の表示は、お客様を散らす作用しか
しないことを、お店自ら行うというように思います。

（お客様の気づき方４タイプ）
・お店の入り口の表示で気づく　・・・・・・・1部の方は入店しない
・店内やテーブルの告知で気づく　・・・・・・後付けで気づくが座る
・メニューの価格を見て気づく　　・・・・・・見たうえで吟味する
・従業員に聞いたり、言われたりして気づく・・しょうがないなと思う

　　とりあえずお店の中に入っていただき、
　　客席に座っていただくことが大切です

気に入ったメニューの価格が「オーダー許容価格の限界値以内」だと
値上りしたメニュー価格でも同じくオーダーしていただけます。

④「一部の商品の価格が変わった」というメニュー価格調整が正しいから

値上げを強く伝えると「全品値上げした」という間違った印象を
植え付けてしまうことにつながりかねません。

（値上げメニューの成功の極意は3種混合すること）
　電卓計算で一律の比率で価格を「全品引上げ」は失敗につながります。

●値上メニューを人気メニュー中心に作る
　ただし、ガス抜き安心メニューとして、わざと1アイテムは敢えて値上げ
　しないようにする。←これがコツ。

●値上げをする代わりに食材原価を３～５％削減したメニューにする
　かまぼこ2枚を1枚にする。麺を１０ｇ落とすなど。
　＊原価が低くて原価の削減をしなくていい場合もあります。

●600円→580円など売れていないで原価の安いメニューは20円値下げする
　これも値上げ感一色にするメニューとは違った中和策になります。
　実害はほとんどありません。
　＊出なくなれば、次回の改定で削除できます。

■常連客様に対する誠意はどこで出すか？

　　「いらっしゃいませ」と声をかけてご挨拶を行い、

口頭で端的にご説明するだけで良いと思います
「今月より一部のメニュー価格を改訂させていただきました」

と言うだけでよろしいのではないでしょうか？
食材がどうこうと説明しても、くつろぎに来て説教的いい訳かいと
なって興を削がれるだけと思います。

値上という言葉を使わないで改訂という

値上メニューと価格が変わらないメニューと
20円下げたメニューを組合わせる

値上げを表示しない場合は、常連さんだけに
口頭で一部のメニュー価格を改訂したと
こっそり笑顔で言う

この3つを工夫してみてください。

お客様の客層や客単価の違いで、お店の表示有無や表し方も
変ると思います。

是非ひと工夫して、値上メニューを成功させてください。

このノウハウは全業種に共通します

（了）