高コスト時代の飲食店対策4:店舗規模を「平日基準」に変える時代
このテーマの記事は10回のシリーズで投稿します。
飲食店の業態変更や仕組みを変えて繁盛店づくりに役立つ内容です。
*10の記事のうち1本は有料記事になります。
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note別バージョンで、飲食店の訪問日記を始めました。
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読者のメリットを目的に、
大分県で営業する通常の店舗のご紹介とは少し趣を変えた設定で
飲食のコンサルタント目線で記事を書いています。
あくまで私の私見です。良いことも、できていないことも書いてあり、
推測も込みで正直に書いています。飲食店の広告ではありません。
ご了承ください。 宇津宮
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■店舗面積はどんな影響をつくるか?
例えば、店舗面積が100坪のお店でしたら、少なくとも
1坪=1.2人として120席のお店です。
1,満席にする多種多様な料理のメニューが必要
昭和の時代に大発展を遂げた飲食業界は、
「平日ぼちぼち、土日がっぽり」の週末型、繁忙日基準型の店舗仕様です。
「儲かる日にしっかり儲けるために、限界まで可能な大箱店舗をつくる」と
いう考えが、少なくとも10年前くらい前までは主流でした。
多くの席数を埋め尽くすためには、多くの客数が必要です。
その多くの客数は、「複数の客層」が来店してくれないと実現しません。
複数の客層を満足させるためには、
「分野の違う複数のメニューが必要」という結論になります
・ビジネス客・・・・・・・・サラリーマンが好むメニュー
・主婦層・・・・・・・・・・女性層が好むメニュー
・ファミリー客・・・・・・・ファミリー客が好むメニュー
・グループ客・・・・・・・・グループ客が好むメニュー
およそ30席を超えるお店は、1つ以上の客層から成り立っています。
120席のお店でしたら、20年前は、セットと単品、コースを合わせて
100種類以上のメニューがありました。
今では、
調理スタッフの減少と機械化により、30%~50%減になってきています。
店舗面積が広ければ広いほど、多くのメニューを必要とします
2,多くの食材が必要になる
多くのメニューを抱えるお店は、その料理を作るための食材や調味料や油などが必要です。
150席のお店を調査した時の総食材数は200種類~240種類ありました。
(*6か月間調べてみて、月毎にメニューが変化して食材も変動)
食材数が増えれば、仕入コストが高額になり、廃棄ロスも増え、
食材の保管や在庫チェックにも労力が必要になります
高コスト時代は、食材数を減らし、フードコスト率(食材原価率)を
下げることが生き残る道につながります
3,複数の客席タイプが必要
多くのお客様に来店していただき、複数の客層に利用していただいた時に、支障のない過ごし方を保証できるのは、「客席の種類が豊富」でなければいけません。
通常でも、
(着席人数)
・カウンター席・・・・主に1人席、空きがない時の2人席にも
・2人掛け席・・・・・2人用、1人用も兼ねる
・3人掛け席・・・・・多くは丸テーブル、稀に三角テーブルも
・4人掛け席・・・・・2人用~4人用。平均2.2人が利用。
・6人掛け、8人掛け、10人掛け席・・・観光用、グループ用など
(仕様別)
・イス席
板の天板・・・・・・回転率高め。着座時間30分~50分程度
クッション付きの天板(薄い)・・・・60分前後
クッション付きの天板(厚い)・・・・60分~90分程度
背もたれなし・・・・30分~40分程度
背もたれあり・・・・低い:50分~60分 高い:60分以上
・座卓
フラット(掘り込みなし)・・・着座時間60分以内
掘り込み付き・・・・・・・・・90分~180分程度
(*身長が180cmを超えると掘り込みに足がつかえて不人気)
・こ上がり席
靴を脱いで着席する客席
掘り込みなし、掘り込み席、テーブル席の区別がある。
・個室(簡易個室)
テーブルの周囲は囲っているが、天上から70cmは下げて、
空調と換気を共用している個室。話し声は聞こえる。
テーブル席、座卓席がある。
・完全個室
天井まできちんとふさがれた本当の個室。
空調と換気設備が独立しており、使い勝手は良い。
テーブル席、座卓席がある。
(*高齢者はテーブル席を好み、幼児連れは座卓席を好む)
新設時は、3倍のコストがかかるが、1室客単価は高い
客席のタイプの組み合わせは、
お店の和洋などの業態、メイン客層帯の好み、地域で好まれる客席のあり方などで、2種類~4種類の客席の組み合わせが生まれます。
要は、違う客層同士が店内でバッティングしない為の客席タイプが必要です
若い女性は、親の世代に会話の内容を知られたくないし、
中年男性は、若い男性グループのはしゃぎ方を良しとしません。
客層ごとの好みの客席でくつろいでいただくための分散化の手段です。
4,多くの調理作業が必要になり調理スタッフが必要
当然のことですね。
多くの客数を虜うためには、複数の客層を取り込みそれぞれ満足して
頂けるために、多くのメニューと多くの食材を、
「料理に加工する」人手が必要です。
広い店舗を持つお店は、
人材の確保と、調理スキルの維持と、多くのメニューの開発力が必要となり、人件費の支払い能力も必要です
5,多くのホール作業が必要になりホールサービス作業
のスタッフが必要
多くの料理を客席の届けて、食事中のお世話をして、会計迄済ませるためには、営業時間中は少なくとも3人~5人のスタッフが必要です。
わずか90分のピークタイムの作業のために4時間~6時間の長時間雇用を
している。
私は、1勤務5,000円を払うお店なら、5時間で5,000円を4時間~3.5時間で
5,000円払ってほしいと思います。
スキルアップした人を、高時給×短時間労働してフルで貢献して欲しいからです。
■昭和・平成期の店舗は「土日満席目的」仕様で
あり、平日に利益が生まれる仕様ではないこと
に気づいてほしい
これって正直言ってばかばかしくないですか?
日本国中の飲食店主の方も、飲食コンサルタントの方も、多くの方が
本能的にわかっていることと思います。
「この店舗の広さでは利益は増えない、減るばかり」と。
原因は何か?
長く飲食業界がやってきた慣習の「平日は儲からないが、繁忙日は稼げる」
という志向があったからです。
でも、今からは、
「平日も利益が上がる『平日基準経営』の仕組みに移行する時代」
だと思います。
➡平日はトントンか赤を打っていて、週末の2日で取り戻している経営を
20年以上続けてきて、もうやめましょう!なのです。
■高コスト時代の店舗面積のあり方
100坪で120席のお店は、平日では50%~60%も活躍できません。
売上高的には、週末の売上高の2.5分の1が平日の売上高です。
もし平日基準で飲食店の店舗面積を決めるなら
100坪で120席のお店は「70坪70席~80席」で良いことになります。
(面積が減ることで得られるメリット)
当初の逆です。
●メニュー数が少なくて済む
●食材数が少なくて済む
●調理手段を少なくし、調理スタッフも少なくできる
●ホールのサービススタッフも連動して少なくできる
●人件費が減る分だけ、AI機器などのリースの導入がしやすくなる
●家賃が下がる、もしくは、別用途で活用できて売上増ができる
(100坪の店舗が70坪に縮小した時のデメリット)
●週末、繁忙日のピークタイムはお客様が入りきれない。
売上が下がる恐れがある。
(大丈夫です)
★ニーズの分散化~テイクアウト、デリバリー利用の増加
★外食利用客の減少
★節約志向~店舗の滞留時間が短くなる傾向~回転率のアップ
さらに、
★営業時間の延長または短縮を行う
★空きスペースの活用(自店で使う、賃貸する)
★ワンマンミニショップの複数出店
等があります。
新しい時代を生き残るためには、新しい考え方とアクションが必要です。
(了)
小さなホームページを作りました。 宇津宮 正博