食べ塾:食べ放題業態の仕組みと今後の課題を考えてみた!
食べ放題業態(バイキング業態・ビュッフェ業態)にはどんな業態があるかご存じですか?
●焼肉食べ放題
●居酒屋料理(和食)食べ放題
●中華食べ放題
●洋食食べ放題
●ステーキ食べ放題
●ケーキ食べ放題 など
原則的にはどんな飲食業態も「食べ放題業態」を作ることができます。
ラーメン店でも餃子専門店でも、そば店でも同じです。
■食べ放題業態の条件
1,食べ放題業態を支持するお客様の前提条件
食材が同じならば、定額で「好きなだけ食べられる」方がお得で
よい! があってこその飲食業態です。
2,食べ放題業態で利益を残すためには、こんな法則が前提にあります
●20数年前は、「使う食材の仕入価格平均値は、1kg当たり/500円
を目安になっていました。今は食べ放題価格も上がり、1kg平均値
/1000円目安で食材の集合体を作っていると思います。
●コストのかかるフードを少しでも食べさせないために、ドリンクバー付
にしたり、ドリンクを格安価格にしたりします。
(*お客様はドリンク付きだと一杯飲んでくれます)
●胃袋の科学というものがあって、成人男性は最大量1.2kg平均、
女性は最大量1kg平均が大まかな数字でした。
また、日本人は欧米人より胃袋が小さく、肉より穀物の消化に適した
長い腸を持っています。
食べ放題の科学でいうと、固形物(フード)と水分(ドリンク)で、
1L、重量で1.2kg近くになると「満腹感」が生まれる
と、いうことになります。
*焼肉食べ放題を例にとると、1人400g~450g食べると全員が
満腹感を覚えて食べなくなります。
1組ごとに出した提供料理データをもとに平均値を出して、
平均1人が、どの肉を何グラム食べたか、どのアルコールや
ソフトドリンクをが何杯飲んだかわかれば、
食材バランスの調整をどうするか、
いつの時期に売価調整をするか答えが見えてきます。
1人が450g食べて原価が1200円かかる食材構成であれば、
売価は、3倍の3600円、若しくは、2.5倍の3000円が
目安の売価になります。
*こういう仕組みがないと食べ放題業態を何年も経営継続することは
できません。正当な飲食の仕組みなのです。
■食材調達の上手さが利益の多少につながる業態です
食べ放題の業態は「いくら食べてもいただけるお金は定額のお金
だけ」という条件がある飲食業態です。
1,最初にみんなが「食べたい!」と思うメイン食材を決めます
通常のお店の場合は、想定販売価格から逆算して商品の規格や
仕入れ価格を設定できます。
しかし、食べ放題業態では、それ以上に食べるという条件がありますから、
もっと安く入ることが条件になります。
●特売食材を仕入れる
お米に例えると新米と古米の価格差があるように、カニやエビでも
冷凍食材には鮮度の限界がありますので、終売品の大量買い込みで、
コストを安くできます。
●B品食材を仕入れる
食材は通常、完全なA品(正規品)と言われるものと、B品(劣化品)
があります。
・野菜の変形品など市場への出荷落ち品(不適合品)を仕入れる
(*最近はこれも手に入らない、市価の20%~30%で買えました)
・牛肉の真空漏れ品、冷蔵肉の賞味期限切れ寸前の品、売れずに
デッドストックになっている品など。
・市場のだぶつき品・至急換金食材マーケット品など(安く買える)
●商社買いで安く買える
50店舗以上あれば、食材卸の上の「商社買い」ができて、
メイン食材は10%以上安く買えるメリットがあります。
2,次に脇を固める食材の組み合わせを決めます
●ファミリーが来ないと1組人数が増えません。
ファミリーが好む料理を多くします。
唐揚、ポテトフライ、ポテトサラダ、ハンバーグ、サラダなど。
食べ慣れていて食べたいものですが、金目のものは余りありません。
●原価の安いものを多種類用意します。
・ソフトドリンク
・うどん、そば、中華麺、ラーメン、パスタなどの麺類
・ピラフ、おにぎり、チャーハン、リゾット、カレー
ミニ丼などのごはん物
・中国産の冷凍野菜類(ブロッコリーなど)
*食べ放題業態では、赤字にならない為に、
通常では、2000円の食材を使うところを1200円~1000円の
物を、食べ放題であるからこそ使わざるを得ないのです。
■食べ放題業態の今後の課題とは?
1,1人価格の引上げには、利用者が賛同しなくなる
2021年4月の総額表示メニューに統一された以降は、
例えば、「食べ放題90分2980円+税」とした場合に、
全く同じ内容でも「(税込)3,278円」と表示することは、人気を
落とすことにつながります。
食べ放題料金は
「定額でお得」が感じられないとお客様は来ません!
●総額で2,980円にして、提供食材のレベルを落とす。
(*食べ放題なので、分量はコントロールできない)
●3,278円を少し割安に見えるように、3,180円とかに
価格の加工をして決定する。
一部は食材を差し替えてみる。
等を行うと思います。
ここに最初のハードルがあります。
2,今後は団体利用が減り、ファミリー層主体に順次変わる
(対策)
・1人客、2人客に焦点を絞る
・30分利用料金設定などで、20%食べる量が減り、また
ピーク時の客席回転率が良くなる分だけ、売価を安くするなど
売り方の検討ができます。
3,人の確保と人件費負担に苦しむことが続く
食べ放題業態だけに関わらず、飲食業の不振で、働く人が他業界へ
流出していること、また以前よりは少し低い金額でしか雇用できないこと
等が要因となり、
雇用が難しく、支払い賃金の確保も大変になっています。
4,今後は食材費の高騰とフードロスが首を絞めることになります
料理が美味しいお店で、やや高額の食べ放題店は客層も良いのですが、格安食べ放題になるほど、客質は悪くなり、一時に食べきれない量の
オーダーを何度も出してきます。
お客様の食べ残しも、何度も大量に注文するからと前もっての大量仕込も
みんな食材費や調理人件費がかかっています。
●今後の世界的な食糧不足時代に向けて、じわじわと食材価格が
上がると見ています。
●食べ放題業態は、宿命のように「残飯の山」がついて回ります。
・無駄な食べきれない量をオーダーしない良い客層!
・良い食材であれば、この価格でもOKという良い客層!
●今後は食材品質の維持がいっそう難しくなる
お客様が望む価格と食材や人件費の高騰を加味した店側の価格
が折り合うラインが成立しなくなるとお店は成り立ちません。
無理やりに双方の価格を合わせると、美味しくなく鮮度も悪い食材を
使わざるを得なくなります。
価格的には少し高くなっても、料理内容がしっかりしていて、食材も
安心感のあるものがし応されている食べ放題店づくりをしないと、
食べ放題業態は成り立たなくなると予測しています。
(了)
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