たべ塾:今後ますます専門店化、専門店の細分化が加速する!
昭和の日本は、高度成長期に日本国中にデパートができて、大抵シャワー効果を狙って最上階に「大食堂」ができて、和食・洋食・中華・うどんそば・カレーまである”総合飲食メニュー”が大人気でした。
それが、喫茶店ブームやレストランブーム、その後のファミレスブームで力を削ぎ落されてきて、20年~30年全盛期を謳歌したファミレスも10年以上前頃から、斜陽産業、衰退産業化してきました。
コロナ禍の中でなお一層、客席間の間仕切りが無く、スタッフと客様との会話がない超効率主義のファミレスは、一層の衰退に拍車がかかっています。
100店100色の専門店時代の到来
すべての人と人の顔が違うように、飲食店の数だけ”専門業態”が生まれても不思議でない時代になってきたと思います。
みんなと同じような店をすると競争を強いられ、価格も削がれる
経営者の自分自身が納得できる、「小さく狭く掘り下げて掘り下げて、熟慮して決定された飲食業態」を始める時代になってきています。
例えば、焼鳥店に例えると、
①総合焼き鳥店 鶏・豚・海老イカ・野菜 何でも串焼きで出ます。
②こだわり焼鳥店 銘柄鶏の串焼きだけの店(第1段階の専門店化業態)
③銘柄鶏のとり皮とねぎま串だけの2品の店(第2段階の専門店化業態)
*福岡には、鶏皮だけのお店があります。
専門店のメリットとデメリットとは?
専門店のメリット
1、商圏内の対象人口が広がる
例えば、市内に5店舗同じ業態があると、単純には市内の人口の1/5が
対象人口になりますが、県内に1業態しかない店舗を誕生させると、
そのお店の対象人口は、県内人口すべてになります。
2、価格競争をしなくて済む
同業種がないということは、商品についた価格を比較されるものが存在
しないということになります。
少なくとも10%は余分に稼げるメリットが出てきます。
*健康食品のように10倍に化けることはありません。
3、初回~3回来店までの1巡だけでも長く来店が続く
私が多くの新規契約先などに提案してきたのは、「どこにもないお店
を作ってみませんか?しっかり儲かります!」と言うことでした。
提案を聞き入れたお店は、必要な努力をすれば成功できます。
努力も事業の作り込みも大してしないお店は失敗します。
対象人口が多い分だけ、一度行ってみるか?もう1回行ってみるか?
のお客様を取り込むだけで、長いお店は1年6ヶ月以上も開業景気を
続けたお店があります。
4、作業効率性が良い
なにしろこれ以上は商品数を減らせないという限界まで縮めるかわり
に、メイン商品に対しては、「これでもか!」というくらいに、磨きを
かけた、心血注いだ商品をお客様に提供します。
そうです!自分の魂の分身を商品にして出すのです!
仕込に大変な時間をかけても、オーダー後の作業時間はすごく短く
シンプルなことになります。
5、食材原価率が飛びぬけてよい
競合する同業他店が無い分10%以上は利益率が増します。
しかし、準競合店(同業態、異業態で場所が近いか客単価が近い場合)
があるので、完全に自由というわけではありません。
専門店のデメリット
1、メイン食材1つを気に入ってもらう必要があり、固定客づくりに時間が
長くかかる
一般的には、専門店は赤字でも1年間以上続けると2年目中半からは
黒字転換する事例が多いように思います。
例えば、お店を維持するための絶対固定客数が2000人とすると、
1か月に100人のリピート客を獲得できるとした場合に、
2000人÷100人/1月=20か月=1年8か月 となります。
時間をかけて作り上げた固定客層は簡単には崩れない
という飲食業界の隠れ法則があります。
2、一番苦しい最初の1年間を死なずにしのぐには、少ない固定客が
「増えてくれる場所」に出店することが必須条件になる
これは、すぐには繁盛店にならなくても、「今は赤字だけど、お店の
人気は徐々に高まっている」と実感が持てる場所にお店を出すことです
。
1、来店対象客層が昼夜にかかわらず多くいる場所に出す
2、来てほしい時間帯(昼・夜)に多くの人が動いている場所に出す
3、同じ客単価ゾーンのお店が複数ある場所に出す
3、黒字になるまでの運転資金が必要
赤字覚悟で始めて、時間と共に勝ちに転じる仕事ですから、それまでの
期間の運転資金が必要です。
1、人件費をかけない
2、内装費をかけない
3、厨房機器、エアコンを贅沢に新品購入しない *製氷機等は別
4、多くを経営者が自分でする
5、店休日なし、アイドルタイム無しを当たり前と思うこと
成功する人は、「何年間はしっかり我慢する」と決めて実行します。
逆に赤字でいつまでも借金まみれは、決して良くあありません。
よき人生を!
(了)