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飲食店未来学105:業態変更で黒字化する~居酒屋から串焼き・天ぷら・干物定食の専門店に変える
居酒屋(総合料理店)はコストが高い業態
仕入れる食材も、作業に従事するスタッフの人件費も高くなった総合居酒屋業態は、コストアップで必要利益が減少してビジネスモデルが成り立たなくなり、いままさに転換期を迎えています。
●宴会需要の減少で宴会スペースもスタッフもコストロス対象になった。
●通常の小規模飲み会は6人席~8人席があれば充分対応できる。
転換する新業態の必須3条件
1,食材原価率を軽減できること
食材の仕入価格は、向う何十年も永遠と上がり続けます。生産者は、生産コストを超える売上高にならないと、仕事を続けるモチベーションが上がりません。(2024年のお米の価格の通り)
居酒屋業態の重い条件(高原価率、高人件費率、低利益率)を捨てることは、総合飲食の提供をやめて専業飲食に切り替えることです。居酒屋は揚物、焼物、炒め物、蒸し物、サラダ、ごはん麺料理、各種ドリンクまでそろえた総合居酒屋業は本当に負担が大きい商売です。それを、専業の串焼き、天ぷら、干物定食のお店に変えて食材原価率を下げて利益を増やすことを提案します。(食材原価率が35%未満の業態を選ぶことが成功の一つ)
2,人件費負担が少ないこと
提供料理がシンプルなスタイルであれば、調理スタッフは1~2名で済みます。また、提供料理の食事時間が短時間タイプであれば、ホールスタッフも繁忙時2名、通常時1名で運営できます。固定費で一番多い人件費の比率を25%未満にする業態を選ぶことも成功の一つです。
3,客席回転率が高いこと
こういう考え方があります。ある飲食店の1日の客席回転率(総席数が営業時間全体で何回転するかで売上効率を判断する目安)が2回転の時、1カ月で25日営業すれば、月間の客席回転数は2回転×25日=50回転です。
これを利用すれば、「月商=客単価×客席数×月間の客席回転数」でわかります。客単価が1,000円、客席数が30席、月間の客席回転数が50回転の場合の月商は、1,000円×30席×50回転=150万円とわかります。
節約時代に経営を成功させるためには、高すぎず、安すぎずに「この商品満足度があればこの価格で売れる」という読みと価格決定力、実行力が必要です。
客単価5,000円の焼肉店で食事時間が2時間の場合と、客単価2,500円で食事時間が1時間のお店の場合は、基本の売上効率は同じと知っておいてください。一概に客単価が高いことが良いことではありません。
高率の良い客席回転率の業態をつくることは、高コスト時代において効率化を図るうえでとても大切な要素になります。
業態別の比率をご覧ください
これらの比率は、架空の絵空事の数字ではありません。実際に業種業態開発に関わり、数値分析した経験が多数あるからこそ作成できるリストです。
自分で言うのもなんですが、信ぴょう性80%と考えてください。理由は想定した採算分岐点売上高に達しない場合は、これらの比率が高くなります。
そのリストはこちらです。
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串焼き専門店(一般客、女性客、高齢者客)
鶏肉と一部の豚肉、牛肉や野菜を使う焼鳥店ではありません。広く女性客や高齢者客を取り込むために、焼鳥店メニューに、魚介串、アレンジ串、創作串を、豊富な調味料類で楽しむお店を想定しています。
*希望者がおられれば支援します。(どなたでも)
天ぷら専門店(強いこだわりがないとダメ)
天ぷらは簡単そうですが、実に奥が深い。私もコンサル業の傍らで居酒屋を自営した時期に2年間以上毎日「上手に美味しく揚げる」ことに専念しましたが、どうしても上手に上げられない食材がいくつかありました。
食材(素材)の選び方、揚げ油の組み立て方、揚げる技術、仕込み技術、カウンター席のお客さまとの会話術、天ぷら以外の小鉢感覚料理の創作力などが月商を生み出す力になります。
メリットは、食材原価率が25%以下で済むこと。揚げる担当は1名で良いこと。ベストは、カウンター席7席だけとかで、客単価5,000円以上とかが理想的です。(1回転で35,000円の売上高)
干物定食専門店(産地と火にこだわりを)
私がするなら、特定の地域限定の手づくり干物を仕入れるか、日本各地の美味しい干物を取り寄せて干物定食を組みます。干物自体は高くはありませんが、焼く火にこだわれば間接燃料費は高くなります。(紀州備長炭やヒゴグリラーの電気の火が良い)
実際に営業しているお店もある。鮮魚に比べて食材ロス率が低い。運賃負担がある。定食なので、ごはんやみそ汁の味噌にこだわれば不可化k値も高くなり、2,000円前後の売価も可能になります。
このシリーズの第一回でした。機会を見てあと4業態の転換を投稿します。
飲食店開業したい方、いま飲食店があり赤字経営を心配している方にぜひ読んで欲しい本
★飲食店にお酒を卸す酒販店の経営者の方に購入していただきました。
★飲食店の経営者の方を顧客に持つファイナンシャルプランナーの方に購入していただきました。
★レストランチェーンの店長さんから購入して読みたいとコメントをいただきました。
★いつか飲食店を開業したいという女性から購入を検討しているという言葉をいただきました。
皆さま、ありがとうございます。とても励みになります。
この本は飲食店専門コンサルタントとして35年間の飲食店の実務支援を行った経験と知恵が満載。特に開業予算を少なくしたい、開業を間違いなく成功させたいという個人の開業者を対象にした記載をしています。
本文の説明と別個に、役に立つコツや提案、チェックポイントなどを各処に織り込んでいます。初めて開業をする方にとって本当に役立つ実務ベースの総合開業本の内容です。(すべて現場スタッフと仕事をして得た知恵を核に記載)
はじめに
第1章 開業成功の条件
第2章 店舗コンセプトを決める
第3章 創業計画書の書き方・・・日本政策金融公庫の創業計画に対応!
第4章 開業スケジュールを作成する
第5章 資金調達のコツ
第6章 店舗を選ぶコツ
第7章 内装工事業者を選ぶ
第8章 厨房設備業者を選ぶ
第9章 その他の業者の種類と選び方
第10章 開業メニュー制作
第11章 従業員採用とハウスルール
第12章 開業前チェックをしよう
参考資料 料理の原価計算ノコツ
おわりに変えて
著者プロフィール
詳しくは、「試し読みページ」をご覧ください。各章の中の記載項目をご覧いただけます。著者 宇津宮 正博(うつみや まさひろ)
(了)
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