伊川津貝塚 有髯土偶 34:秦氏の縁結び
愛知県名古屋市中区栄にある名古屋総鎮守 若宮八幡社の裏参道を挟んだ連理稲荷社の向かい側には5社目、6社目の境内社が並んで祀られていました。
5社目の境内社は東向きの石造神明鳥居を持ち、社号標には「神御衣神社」(みころもじんじゃ)とあった。
鳥居から社に延びる参道の両側には色とりどりのリボンを結びつけたロープが張られていた。
鳥居をくぐると、奥の基壇上には対になった狛犬の構えた銅板葺神明造の社が祀られていた。
神御衣神社の屋根には6本の鰹木と内削ぎの千木が乗っており、女神が祀られていることが判る。
社の扉と階段、階段の親柱の擬宝珠(ぎぼし)には黒く染めた飾り金具が装飾されているのが特徴だ。
基壇の麓脇に掲示されていた以下の案内書によると、神御衣神社にはほかに3社の境内社が合祀されていることが判った。
ロープに結びつけられたリボンは「縁結び」の御神徳と関係のあるもののようだ。
ところで、神御衣神社に祀られた上記5神とも、秦氏と関係のある神だと思われる。
特に天棚機姫命は同じく「ハタ」音を持つ栲幡千千姫命(たくハタちちひめ)と同一神とみられている。
大縫命・小縫命は尾張氏の神だが、尾張氏も元をたどれば出雲族であり、素盞男命(武塔天神=徐福)とは婚姻を結んでいる関係にある。
神御衣神社の北隣で裏参道の入り口脇には玉垣の大きな親柱を持つ蛍光オレンジをアクセントにした鉄筋造の住吉神社が祀られていた。
入り口脇の社号標には「住吉神社」の頭に「産宮」と付いている「うぶみや」と読むのであれば、産土神(うぶすながみ)を表しているのだろうが、住吉神社の案内板が掲示されていないので、推測のみ。
総本社である住吉大社の主祭神は以下となっている。
賽銭箱には銅板をレリーフにした花菱紋(はなびしもん)が装飾されていた。
菱が水生の一年草であるように、祭神が水神であることを示している。
この神紋は住吉大社、皇大神宮が使用している花菱紋と同じ紋だ。
若宮八幡社には裏参道に祀られた境内社から離れ、1社だけ南側の若宮大通に面した場所に祀られた境内社 若宮龍神社が存在する。
若宮龍神社に向かうが、そこには石造の台輪鳥居が設置されている。
ただ、その石鳥居が、若宮龍神社の鳥居とされているのかは不明だ。
なぜなら、鳥居の入り口は上記写真のこちら側なのか、向こう側なのかも不明だからだ。
上記写真の鳥居のすぐ向こう側は若宮大通の歩道なのだが、鳥居の向こう側には白い幕とワイヤーネットの柵が設けられていて、どこにも抜けられない鳥居なのだ。
だが、最初に若宮八幡社にやって来た時には西側にある表参道入口の石鳥居と同じく、若宮大通から入って来られる鳥居だった記憶がある。
当時はこの鳥居は若宮龍神社の鳥居だったのではなかったか。
しかし、現在の若宮龍神社の参道は上記写真石鳥居の右側の柱の右脇から右方向に延びていた。
そして、社号標は 石鳥居の右側の柱と参道入口の中央に立てられていた。
社号標は素木の板が直接地面に埋められ、達筆な墨書きで「龍神社」とあった。
上記写真右側の2本の垂直に立っている黒いポールの間に見える石板が参道入口の石畳だ。
石鳥居を背にして参道の入り口から東の拝所に向かって撮影したのが下記写真。
上記写真は先週撮影したものだが、風鈴が下がっているのは夏だからだ。
10mあまり山道を進むと、石畳の土間に設けられた吹きっぱなしの拝殿前に到達した。
拝殿は銅板葺切妻造棟入で、軒下の額には金箔押しの文字で「若宮龍神社」とある。
拝殿前の右脇にも「若宮龍神社」と刻まれた社号標があり、社殿は玉垣で囲われている。
拝殿の軒下に入ると、木彫の龍神が設置されていた。
この龍神像は左手にだけ如意宝珠を持っているが、この宝珠を持っていると悟りを開くことができないとされているのだが、宝珠を持っていない龍は絵にはなりません。
社殿の外側には紅白の「若宮龍神社」幟が立ち並んでいた。
社は銅板葺素木造で、その背後には巨木の幹がのぞいている。
若宮龍神社は、この神木に対して祀られた龍神のようで、祭神は白龍大神となっている。
樹木に対して白龍神を祀る風習は愛知県外では遭遇したことがない気がする。
(この項終り)
◼️◼️◼️◼️
拝殿前に設置された龍神彫像はチェーンソーアート世界チャンピオンの 太田貴之氏が昨年の12月に参拝者が見守る中、およそ3時間ほどで仕上げられたものだそうです。