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腕と枕とハネムーン

ハネムーン症候群という病気をご存知だろうか。私がそれに襲われたのは、6年前、まだ札幌に住んでいた時である。

ハネムーン症候群。正式には橈骨神経麻痺という。

寝て起きた時に症状に気付くことが特徴で、左右どちらかの手首から先が、さながら幽霊のように垂れ下がり、持ち上げることが出来なくなる(下垂手というらしい)。親指・人差し指・中指の背側に痺れを伴い、指を曲げることは出来るが、ピンと伸ばすことは出来ない。

腕枕をすることによって橈骨神経が長時間圧迫されて生じることがあるため、ハネムーン症候群などといわれるそうだ。

もちろん私は誰かに腕枕などしない(最近はたまにお猫様が腕枕で寝るけど)。私の橈骨神経を圧迫したのは他でもない、自分の頭である。

私は寝返りが少ない。割と長いこと同じ体勢で寝ているらしい。

で、朝目が覚めると、左腕が痺れていた。

そういうことはたまにあるので、そのうち痺れも取れるだろ、と高を括っていたのに、その日は一向に治らない。運の悪いことに土曜だったため、月曜になっても痺れが取れないようなら病院に行くことにした。

そして、月曜になっても症状は全く改善しなかった。仕方がないので、落馬した時なんかに何度か行ったことのある整形外科に行った。首のレントゲンを6枚も撮り、握力を測ると何と5kg(ちなみに右は25kg)。橈骨神経麻痺という診断が下った。
神経に付いた傷を治すような薬はないらしく、修復を助けるビタミンB12剤が処方され、手首を固定しておくと少し症状がマシになるということで、取り外し自由のギブスをその場で作った。

私「どのくらいで治るんですかね…?」
医師「人によるけど、短くて1ヶ月、長いと3ヶ月とか」

3ヶ月wwwww嘘でしょwwwww

が、本当に2週間経っても3週間経っても1ヶ月経っても、改善の兆しは見られなかった。寧ろ左腕を庇って右腕が筋肉痛になる。背中もバキバキで肩から首も辛い。
いや庇ってるんじゃない、左手が勝手に仕事しないだけだ。何しろ握力が5kgだと、蛇口すら捻れない。

この頃は在宅で漫画家のデジタルアシスタントをしていたので、幸い仕事は出来た。利き手じゃなかったから良かったものの、右だったらどれだけ不便だったか。多分ペンも持てなかっただろう。

2ヶ月経って握力はやっと12kg。通常時の半分くらいだと思う。結局、治るのに本当に3ヶ月近くかかってしまった。

未だに、朝目が覚めると腕が痺れていることがある。その度に

これ、また治らなかったら嫌だなぁ。

と思うが、幸い、神経に傷がいったのは後にも先にもあの時だけだ。

でも、いつまたやるか、と少しヒヤヒヤしてもいる。寝返りが少ないのは仕様だから、如何ともしがたい。

枕をちゃんと作ったりすると、自分で腕枕とかしなくなるだろうか。ここ何年か、本気で高級枕の購入を悩んでいる(が、決めきれないでいる)。

それどころか、最近はお猫様に枕を奪われがちだ。高級枕を買ったところで、お猫様のベッドにされるんじゃ意味がない。今だってお猫様は私の枕で爆睡なさっている。

さて、どうすべきだろうか。

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