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中世ヨーロッパの世界観の参考に!『最後の騎士 マクシミリアン 権力と愛の物語』を観た感想

最近観た動画が、中世ヨーロッパの世界観を感じる作品として最高だったので、noteを書きました。
創作の資料集めで、本を読んだりしますが、なかなかビジュアルを感じられるものは少ないので、想像するしかなく…。史実に忠実な映像再現は、創作の資料とても参考になりますし、日本人の私にとってはかなり貴重です!


私が観た作品はこちら!

最後の騎士 マクシミリアン 権力と愛の物語

こちらはYouTubeに上がっている予告編で、本編は各動画配信サイトで視聴できます。(私はAmazonプライムビデオで観ました)

「マクシミリアンって誰?」と思う方に簡単に説明すると、15~16世紀の間に生きた神聖ローマ皇帝マクシミリアン1世のこと。侵略や反乱を抑え領土を守り抜き、政略結婚によりハプスブルク家の隆盛の基礎を築いた方です。(詳しくはウィキペデイア参照)

映像作品『最後の騎士~』では神聖ローマ皇帝になる前の彼の活躍、彼の功績の契機とも言えるブルゴーニュ公の後継者(女公)マリー・ド・ブルゴーニュとの結婚により、ブルゴーニュの新君主となるところ。若き新君主となったマクシミリアンが、いかに家臣や民の信頼を得て、自国の領土を守ったか。新君主としての初めての戦争に勝利した後までが描かれています。

彼の人生にある数あるサクセスストリーのひとつを切り取った物語構成ですね。
(史実だと、ここから先の人生の方がもっと長く、苦難に満ちています)


それでは本題に入っていきます。

中世ヨーロッパってどんな感じ?

映像作品をみた率直な感想ですが…

  • 室内も暗い!!

  • 衛生環境大丈夫!?

  • 貧しい!!

  • 服装が全然華やかじゃない!!

  • 石畳の床が寒そう

全然華やかではなく、陰鬱としています。

漠然とドラクエ的なイメージだったのですが、それは外れていなくて、それをもっと暗く、貧しくした感じです。

ディズニー映画の影響か、私は中世ヨーロッパに華やかなイメージも持っていました。王子様とお姫様が出てくる世界って、綺麗で華やかで、色とりどりで暖かくて、豪華絢爛なイメージがないですか?
華やかなシーンは結婚式などの晴れのシーンくらいで、それ以外はみんな質素な姿や質素な食事をしていました。
逆に同時代のアジア圏(中国やトルコ)の暮らしの方が華やかそうです。

気になって歴史を調べてみると、うなずけるものがありました。

産業革命が始まる前のヨーロッパはとにかく貧しくて、世界の覇権はアジア圏の帝国が握っていました。

ヨーロッパは資源が乏しく、岩盤が固いせいで地下から水を汲み上げることも困難としており、水が貴重でした。生活水は河川の水に頼ることになりますが、作中でも「ドナウ川は糞で汚れている」と言われるくらい、衛生環境には難あり。
作品では女公の入浴シーンが数回出てきますが、毎日入浴しているのかは怪しい。お湯を張った浴槽に浸かるくらいで、頭からお湯を浴びる(シャワー的な)ことは難しそうです。

さらに、当時のヨーロッパでは資源が貧しい背景もあってか、清貧が美徳とされており、キリスト教の教えでも、贅沢は禁物だったそう。だから、低下層の民から王様まで質素に暮していた。なので、衣服はまったく華やかじゃない!

室内でも暗いし、外も森がうっそうとしていて暗い。
常に画面が暗かったです(笑)
電気もないので、部屋を照らすのはろうそくの明かりのみ。ろうそくの心許ないあかりで、大きな部屋を照らすので、部屋は薄暗い。華やかさとは無縁の世界でした。
お城が石造りなので、余計に外の光が入らないことも、暗さに拍車を掛けているようです。

石畳の床も、寒そうです。実際の気候も肌寒かったんだと思います。殆んどの人物が毛皮が裏打ちされたコートやベストを羽織ってました。舞台のブルゴーニュのガン(フランス読みでガン。現ベルギーの都市ゲント)は現代でも平均気温10度程度なので、肌寒い街です。

食べているものも、干しブドウとか、焼いた肉とか、色のついた硬いパン(保存食?)とかまったく華やかじゃない!
マクシミリアンはヨーロッパでも当時の田舎にあたるオーストリア出身で、諸侯の中でも貧しい家柄の出身とあって、粗野な所作が目立ちます。食事も手づかみ!!
中世ヨーロッパにはテーブルマナーがまだ根付いておらず、手づかみ食べが主流だったと聞けば納得ですが、予備知識なしに観るとビビります。

どうしても、ヨーロッパって世界の覇権を握った近代頃(ベルサイユ宮殿とかの豪華絢爛な様子)の華やかな世界が頭の端にあるので、その華やかな時代の前時代という色眼鏡で見ていると完全に面食らいます。

近代ヨーロッパと中世ヨーロッパは全くの別世界です!!

今の時代のように、地続きに街並みが広がっているのではなく、ポツンポツンと集落があり、その間を野っ原の街道が繋ぐくらい。野盗から守るために街全体を城壁で囲み、城壁の中に街の機能を囲い込んでいる都市設計です。
まさに城下町。
城下町の外は広い平原が広がり、遠くには森や山が見え、閑散とした世界です。

やっぱり騎士は魅力的

タイトルにもある通り、作中は「騎士道精神」や「騎士」という言葉が溢れる騎士の時代。
戦争も馬に乗って槍を持った騎兵が突進してくる戦術スタイル。銃装備が登場する直前の時代なので、剣や槍、石の大砲(火薬もあったでしょうが)などの戦い方が主流です。
乗馬シーンも多く、街と街、城と城を馬で駆け抜けるシーンはかっこいい。
マクシミリアンは結果的に戦争に勝つのですが、愛する奥さん(マリー女公)と子供を守るために闘うシーンやその固い決意、信念を貫こうとする描写に騎士道精神を観ることができ、非常に魅せられました。
兵士を鼓舞し、自らも馬を下りて前線で闘うなんてかっこよすぎ!!

そんなかっこよくて惚れ惚れするイメージを抱いていた騎士様ですが、また私の思い込みが覆されました。

王族の取り巻きや護衛の方は正当な騎士と言えるけど、その他大勢は??
この時代、各諸侯は専属軍人なんて抱えておらず、戦争の度にお金で傭兵を雇うんだとか(笑)
騎士様といえるのは、権力者の側近にいる人間達なのかな…と。
しかも、その側近も野暮というか、身なりも野武士みたいな感じで、お綺麗ではない(失礼)
騎士道とは見た目の華やかさではなく、精神論のことを言うようですね。

権力は金に比例するもの?

権力闘争も描かれていて、金がないと傭兵も動かせない、国を守る軍事力もない。財政の味方である商人も投資してくれない。なんていう厳しい世界。
ブルゴーニュ女公のマリーは女であることを理由に舐められ、領土を手に入れたいと彼女との結婚話が持ち上がる。自国を守るために独身を貫いて、親が築いた権力を維持しようとするけど、完全に舐められ、権力者(フランス王太子)との結婚を勝手に進められそうになる。
そんな、権力闘争の道具にされる女性達の姿も描かれ、中世ヨーロッパの価値観を感覚的に理解することができます!

お金がないマクシミリアンでしたが、祖国の鉱山を担保に商人からお金を借り、軍資金を確保します。マリーも投資と言う名目で、彼(夫)の借金を肩代わりします。
金が物を言う時代に、投資や借入金で国家運営をするのは、先進的なんじゃないかなと思って見ていました。
信頼がないとできないことですし、マクシミリアンの説得のさせ方には唸るものがありました。
(自分に金を出して後悔させない。倍にして返す。など、真っ直ぐ、自信に満ちた発言で相手を口説き落とし、カッコいい)

その他、感想

マクシミリアンを演じた俳優さんの顔がめちゃ好みでした!!
かっけえ!!

あとは、マリー女公(マクシミリアンの奥さん)の女優さんも超美形!!

私的に美男美女カップルが並んだだけで福眼だったし、愛を育むベッドシーンなんて、もう…ウットリ。
教会のシーンは中世ヨーロッパのゴシック建築とステンドグラスでめちゃめちゃ綺麗だし。世界観的にも大満足。

注意点としては、裸体と拷問シーンです。
ナチュラルにベッドシーンと、淑女のトップレス裸体が登場します。どれも性的興奮を誘う目的のものではないので、いやらしくはないのですが、家族が居たりするとびっくりします(笑)
例えるなら、タイタニックの例のシーンです。家族と見ていると気まずい…みたいな程度。
あとは、拷問シーンが出てくるのですが、完全に相手が苦痛を感じているところを見せるので、ほんのちょっとでもしんどいです。日本の大河ドラマとかより描写が生々しいので、苦手な方は注意です。グロくはないのですが、痛がっている様子や苦しんでいる顔が映ってるだけでしんどかった…。
確かに中世以前のヨーロッパの拷問や処刑って酷いですもんね。耳や鼻を削ぐとか……(これ以上はやめましょう)


最後が拷問の話になってしまいましたが…(汗)
中世ヨーロッパの雰囲気を感じるのには最適の作品です。
よかったら観てください。

私はおかげさまでマクシミリアンに恋をしました(笑)


余談ですが、「最後の騎士」というあだ名は彼自身がつけたようです。自著のなかでそう自称していたようです。

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