14歳から考えたい レイシズム
『14歳から考えたい レイシズム』アリ・ラッタンシ(著)/久保美代子(訳)
メディア事業部のIです。
最近、社会学的な勉強をされている方も多いのではないでしょうか。
たとえば、選択的夫婦別姓や同性婚についてはこれまでになく議論が高まってきています。
ネット上では様々な情報が流れていて、Wikipediaを一読するだけでも十分勉強になります。ただ、誤った情報や憶測や陰謀論も一部含まれているのも事実です。
オックスフォード大学出版の教養入門書《A Very Short Introduction》シリーズはこうした現代的な課題を考えるための参考書たりうる書物となっています。参考文献も充実しており、きちんとしたリソースをもとに執筆されています。
残念ながら、日本ではこうしたレイシズムをはじめとするリベラル的問題はやや感情的に語られる風潮があります。その点で欧米に後れをとっているといえます。欧米ではこうした問題は身近に起きていることで、学問的な見解に大きな関心が集まっています。それに応えるように学問の水準も高いといえます。
ただし、欧米と日本では宗教や民族など状況が大きく異なりますので、欧米の真似をしているだけでは状況はよくならず、欧米の知見を私たちの社会状況に照らし合わせながら未来を考えていく必要があるでしょう。
そういった意味で、世界でこうした研究をリードしている欧米の社会学者の見解をチェックしておく必要があるでしょう。
レイシズム・人種ってなんだろう? に答える入門書
この本は原著の副題に《A Very Short Introduction》とつけられているように、レイシズムを知る概説書となっています。
そもそもレイシズムって何? 人種って何? ということを歴史の流れを追いながら知ることができます。
欧米では、日本ではまだ問題になっていないようなことが現実に起きています。また、日本でも同様のことが形を変えて起きているといえるかもしれません。
ユダヤ人、黒人、アジア人、ヒスパニック、イスラム教徒……欧米では様々な人種差別の歴史があって、その歴史の上に現在の状況があるといえます。現在の欧米社会、国際社会を理解するために、こうした基礎知識が役立ちます。
たくさんのルビと注で中学生でも読める
日本語版では「14歳から考えたい」とあるように、本文には若い方でも読めるようにたくさんのルビ(フリガナ)が振られています。
内容はたしかに難しいものも含まれますが、大量の注が難しい事柄への理解を手伝ってくれます。
その数なんと468!
欧米では当たり前に知られていることでも日本人には知らないことがたくさんあることがこの注の数からもわかるかと思います。
この注は原著にはなく、すばる舎オリジナルの内容となっています。注も重ねてお読みいただけたら幸いです。
オックスフォード大学出版の教養入門書《A Very Short Introduction》シリーズは今後も続々刊行予定です。ご期待ください!
原著HP:Racism: A Very Short Introduction - Paperback - Ali Rattansi - Oxford University Press (oup.com)
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