気遣いができなくて悩んでいる人へ 『仕事も人間関係もうまくいく「気遣い」のキホン』【まえがき無料公開】
シリーズ累計15万人に読まれたベストセラー『仕事も人間関係もうまくいく「気遣い」のキホン』(三上ナナエ著)のまえがきを特別に無料公開いたします。
突然ですが、「CA(客室乗務員)」と聞くと、どんなイメージをお持ちになりますか?
どこかに、「気遣いができる人」「気がきく人」というイメージがあるかもしれません。でも、最初から備わっている人はほんのごくわずか。CAの仕事をする中で、磨かれていくものなのです。
小さい頃から「のんびりしてるね」と言われることが多かった私は、大人になってもその性格は変わらず、CAになりたての頃は毎日のように失敗ばかりを繰り返していました。先輩から叱られるたびに落ち込み、なんとか巻き返そうと一所懸命に先輩やお客様に気を遣う「努力」をしていました。
でも、努力すればするほど空回り。立ち居振る舞いは挙動不審になり、発する言葉は意味不明。しまいには、自分自身でも何をやっているのかよくわからなくなる始末。
そんな毎日に、私はいつしか疲れ果ててしまい、フライトの前日は夜も眠れない日々が続きました。
「なんで私はこんななんだろう……」
「さりげなくスマートに気遣いできる人がうらやましい」
「私はどうしたらいいんだろう……」
そんなことばかりを考えていました。
でも少しずつ仕事に慣れて、だんだんまわりの状況が見えるようになると、まわりの人がどんな気遣いをしているのか見えてくるようになったのです。
そこで私は、あることに気づきました。それは、相手にとって嬉しいと思う気遣いとは「ちょっとしたこと」だということです。
気合いを入れてやることでも、ものすごい大きな仕掛けや、高いお金をかけるものでもないのです。入念な準備もいりません。さりげない一言や些細な行動が、大きな気遣いになるということに気づいたのです。
今となっては「気遣い」とはそういうものだと思えますが、その当時の私にとっては目からウロコ。なんかスーッと気持ちが楽になっていく感覚がありました。
「なんだ、これなら私にもできるかもしれない!」
この感覚は、驚きであり、嬉しさでもありました。
そして「ちょっとしたこと」を実際にやってみると、まわりの人がどんどん笑顔で返してくれるようになったのです。
振り返ってみてあらためて思います。
気遣いは、特別な人に備わっている先天的な資質や性格ではなく、後からいくらでも身につけられる簡単なスキル。
相手のことを思い、ちょっとした言葉や態度でそれを伝える。それを繰り返して習慣にしていく。ほんのちょっと意識を変えるだけで、ほんのちょっとコツをつかむだけで、誰でも気遣いの達人になれるのです!
嘘だと思うかもしれませんが、こんな私がそうなれたのだから間違いありません!
本書では、そのエッセンスを余すところなく書かせていただきました。上手な気遣いができなくて悩んでいる人はもちろん、仕事や人間関係で悩んでいる一人でも多くの人に届けられたら──それが私の思いです。
できるだけいろいろな切り口で、すぐに真似できるように、簡単なコツや事例をたくさん詰め込みました。本書を読み終えた後、あなたの抱える悩みがスッキリ解消し、新しい自分に出会えることを願っています。
そんなあなたの笑顔が見られたら、これ以上に嬉しいことはありません。
ぜひ、本書を楽しんで読んでいただけたら幸いです。