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㊸ロックにおけるポリフォニー・アレンジのバイブル!📖

これまでのblog記事に、バロック音楽やクラシック音楽、また自作オリジナル曲など、ポリフォニーについての魅力などなどを書いてきた。

今回は、タイトルどおり、The Beatles以降、僕が憧れ、影響を受けたバンドの中から、緻密でありながら美しく聴かせる繊細なアレンジが際立つ、イギリスの叙情派プログレとして知られる〝CAMEL(キャメル)”に焦点を絞って書いていこうと思う。

彼らの楽曲は、バンド・アンサンブルのアレンジが圧倒的に巧いロックバンドだ。
叙情的と言われるように、美しく哀愁を帯びたメロディアスでドラマチックな旋律が特徴で、派手な技巧を誇示するわけではないが、情景描写や感情表現を重視した曲作りが魅力である。また随所に現れる変拍子など複雑な曲構成でありながらも自然な流れで組み立てられていて、わざとらしさがなく、時にポリフォニックで緻密なアレンジも見せるセンスは、他にはない理想的なロック・バンド・アンサンブルの一つと言える。
不思議な事に、幾らメンバーが変わっても、ポップな曲作りになっても、基本的にバンド・アンサンブルの巧さは一貫しているのだ。

それでは、そうしたキャメルの楽曲をいつくかピックアップしてご紹介していこう。
ただひとつ断っておく必要がある。
オリジナル・メンバーでの初期からのアルバムももちろん素晴らしいのだが、僕は80年代にキャメルを知ったこともあって、プログレ・ファンから評価されているものとは異なり、ポップになったと言われる80年以降の、メンバーチェンジも激しい、逆に非常に洗練されたブリティッシュ・サウンドに進化したキャメルが大好きなので、主にそれらからの紹介になる。
また、バンド・アレンジとしての理屈ではなく、
あくまで個人の聴覚的な気付きである事も記しておく。

♬ Echoes /エコーズ (Live at 厚生年金会館Tokyo 1980年) オリジナル収録1978年
大学生の時にラジオからエアチェックした貴重な音源が今やYouTubeにも上がっているなんて素晴らしい時代になった。
このライヴ音源の演奏は、僕が理想的なバンド・アンサンブルの一例として、バイブルにしているもののひとつです。

アルバム収録(1978年)のスタジオ・テイクのものとはアレンジも構成も手を加えられている。おそらくキーボードにキット・ワトキンス(Kb)が加わってキーボード・パートがアレンジし直されたのか、かなり洗練され、よりドラマチックになった印象で僕はこの時の演奏がベストだと思っている。
特にベース(コリン・ベース)とドラム(アンディ・ワード)のコンビネーションがめちゃくちゃ充実していて理想的なアンサンブルと言える。

ベースラインは決して主張しすぎることはなく、コロコロ変わる拍子(3拍子、4拍子、7拍子)など変拍子の展開になっても流れるように独立した美しいメロディーパートとしてリズムと共に重要な役割を果たしている。クラシック音楽とは異なるロックならではのポリフォニックなアンサンブルの見事さが楽曲に深みを与えているのです。

ドラムはロート・タムを使っていると思われ、乾いたタイトな音色がなんとカッコいいのだろう!
因みにここでの演奏の高いセンスに憧れ、影響されて、マグダレーナ第2期のときはロート・タム、フレットレス・ベースを多用してもらっていたものです😚笑
https://youtu.be/dma6gW3TJDo

Echoes (live)

♬Nude〜Drafted  (1981年)
キャメルとの出会いは実はこの曲からだった。
キャメルの曲の中で最も好きな楽曲だ。
アコースティック・ピアノとチェロのクラシカルで美しいアンサンブル、そこにはベースの重低音、そして優しい歌からギターまでひたすらドラマチックで美しい🎸
エレピでは無くアコースティック・ピアノである事が凄く重要なポイント。
そしてフレットレス・ベースの役割も同じく重要で実に美しい響きを演出しています!
https://youtu.be/EFbwUEo1zyo

Drafted

♬ City Life

アルバムのオープニング曲。
しっとりとした美しい導入から一転して、ポップで単調なリズムに変わる。しかし、ポップでありながらもドラマチックで、明暗の表情が垣間見える瞬間がキャメルらしい。それに加えて、この曲のエレピによるキャッチーなコードバッキングのアレンジは見事で、歌うようなコード・ボイシングはそれ単体でも聴き応えがある。もう一つの注目点は、ラティマーがサックスのフレーズを全てギターでユニゾン弾きしているところだ。ギターの発想ではなかなか生まれないようなサックスのフレージングが非常にカッコいい。おそらく、メル・コリンズ(sax)の即興演奏を完全コピーして合わせたのではないかと思うのだが、どうだろう?
https://youtu.be/c4lTiOqKhx0

City Life (Remastered 2023)

♬Beached

アンディ・ラティマーのスリリングなギター・ソロが冴え渡るインスト曲。🎸
4拍子、7拍子、4拍子、3拍子、また7拍子と拍子が次々に変化する巧みな曲構成が見事だ。
特に初めに出てくる7拍子セクションでのキーボードのスケール・フレーズの組み立ての巧さ、それとドラムのアンディ・ワードってホント、理想的なカッコいいドラムを叩く。神である!😍
https://youtu.be/jZp13fMETv8

Beached (Remastered 2023)

♬Captured

冒頭は6拍子のフレーズから、ドラムが入ると2拍3連の4拍子に変わる。しかもキーボードは6拍子とも解釈できるシーケンス・フレーズを弾き続けていてポリリズミックで複雑なアレンジが面白い。
ここでもラティマーはサックスのフレーズをユニゾン弾きで重ねている。
https://youtu.be/ukjISD3Jw_g

Captured (Remastered 2023)

♬ The Homecoming

情景描写として挿入されたブラスバンド隊の行進音楽。凄くキッチリ組み立てたポリフォニックなスコアで書かれているのが興味深い。ステレオ・パンの動きも楽しい😊
https://youtu.be/Gdv_FsUjZBE

The Homecoming (Remastered 2023)

♬ The Last Farewell : I. The Birthday Cake / II. Nude's Return
ギターの優しく美しいアルペジオ、そこにフレットレス・ベースの呼応する美しいフレージング、間奏部でグロッケンのような音色の2つのフレーズが絡むアレンジなど、まるで絵画に一筆ずつ描き加えていくかのようなとても繊細なアレンジが素晴らしい!
https://youtu.be/9XoUZhMWnzs

CAMEL - The Last Farewell : I. The Birthday Cake / II. Nude's Return (1981)

♬ Survival  (1979年)
オーケストラのみで演奏される哀愁感漂う短いインスト曲。
このオーケストラ・スコアを誰が起こしたものなのか知りたいのは僕だけでしょうか?
https://youtu.be/zQcvBPUMLwE

Survival (Remastered 2023)

♬Wait
キャッチーで軽快な楽曲ながら、前パクリのリズムや途中で5拍子になったりするなど、単調なポップソングとは一線を画すのがキャメルの特徴だ。ちょっぴり嬉しくなる瞬間だったりする😙
https://youtu.be/wmPy8-tRXlI

Wait (Remastered 2023)

♬ Hymn To Her
キャメルのライヴ・レパートリーの中でも演奏される事の多い人気ナンバー。
キャメルの魅力が詰まった美しくドラマチックな楽曲は、ギターはもちろん、情景を想起させる曲の展開、構成が見事だ。
間奏部のギターとキーボードのハーモニー・フレーズなど、テクニカルな一面も覗かせる。
https://youtu.be/emRw8VFf0DI

Hymn To Her (Remastered 2023)

♬ Eye Of The Storm
幻想的で美しいのもキャメルのひとつの魅力だ。ラティマーの吹くフルートとクラリネット(キーボード)とのアンサンブルがなんとも美しい幻想的な情景を映し出す
https://youtu.be/SJTOPGe-mJk

Eye Of The Storm (Remastered 2023)

♬ The Snow Goose / スノーグース (1975年)
キャメル初期の名盤から。
語りかけてくるようなギター、対位法の
お手本のようなフレーズのベース、そこにこれでもか!と合わせてくるドラムが楽しい。
https://youtu.be/qqNYH_sVXNk

The Snow Goose (Remastered 2023)

♬Camel Live Concert Compilation HD 16:9
BBC 1975

https://youtu.be/FxPvw8_tWcM


♬ Rhayader Alone

あきらかにシングル・コイル・ピックアップの美しいクリーン・トーン!
この音色に憧れてレスポールのハムバッカーで再現しようとイコライザーを駆使して頑張っていた事を思い出す、笑😅
ギターとエレピに呼応するベースのフレージングが素晴らしい😍
https://youtu.be/-1uFmwlK4fc

Rhayader Alone (Remastered 2023)

♬A Heart's Of Desire〜End Peace  (1982年)
透き通るような美しいバラードからギター・インストへと展開する。
この美しいクリーンなギタートーンでドラマチックに歌い上げるメロディアスなギターの哀愁が心に響く。
また、キーボードサウンドの深みと厚み、その奥行きのあるサウンドは圧巻だ。
どうやってこの深遠な音を作り出しているのだろう?
後半にはコーラスが重なり、複数のポリリズムのフレーズが絡み合うなど、アレンジの細やかさが際立ち、細部まで丁寧に作り込まれていることに感動を覚える。
https://youtu.be/1L6W4p7D_vk

A Heart's Desire End Peace - Camel מתורגם לעברית

♬ネットで拾ったLive音源♬  素晴らしい🥺
https://soundcloud.com/anne254satie/a-hearts-desire-end-peace-by-camel


♬Rose Of Sharon  (1991年)

ヴォーカル・パートを前後のセクションとも二重アンサンブルにするなどとてもポリフォニックな曲作り、そしてラティマーのメロディアスな優しいギターが美しい!
https://youtu.be/pVFAF-2-EBw

Camel - Rose Of Sharon

♬For Today  (2002年)
泣きのギター🎸に涙が込み上げてくる🥺
この感情表現逢溢れる熱量のあるギタープレイはデビッド・ギルモアにも、ゲイリー・ムーアにも決して引けを取らない素晴らしい演奏力なのにメディアではあまり取り上げられないのは何故だろう😢
後半のコーラスのドラマチックな哀愁にノックアウトされました😭😭😭
余談ですが、ラティマーの弾くこのレスポール、先だって破産したフェルナンデス製Burny/バーニー(80年代初期の頃のジャパン・ビンテージ)モデルである。
これもまた悲しい現実な出来事😓
https://youtu.be/ctCXnXgGFxk

Camel - For Today (The Opening Farewell | Live at Catalyst 2003)

連休だったこともあって長々と書きました、笑😆

キャメルも、J.S.バッハ、イタリアン・ロック同様に書き出したら止まらない💦
バンド・ミュージシャンというのは、それぞれにバンド・アンサンブルに拘りを持っているものです。
自分がいいと感じる感性もそれぞれです。
そんなミュージシャンが集まるのだからバンドは面白いとも言えます。

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