#認知症フレンドリーテック アイディアソンへの参加|”認知症” との向き合い方
本日、認知症フレンドリーテックについて考えるアイディアソンに参加させていただきました。そこでの学び・活動をまとめる事で、自分自身の糧にしようと思います。
参加者の皆様ありがとうございました。
誰もが認知症と向き合うべき世界
認知症の最大のリスク因子は加齢です。誰もが遅かれ早かれ、認知症と向き合うことが必要となります。私自身は小売業に勤務している者ですが、私個人としても、小売業としても認知症について "正しく知る” ことが重要と言えます。
そもそも正しく知られていない認知症
認知症に伴い発生する障害というのはいくつかあります。
記銘力の障害
そもそも新しいことを覚えることが難しくなります。最近物忘れが激しいという言葉をよく聞きますが、それはどちらかといえば脳のメモリーから検索ができていない状態。認知症が進行すると、記銘、すなわち新しいことを脳内に蓄積することが困難となります。
それが、ご飯を食べたことを記憶できないなどの症状に現れてきます。
見当識障害
時間・場所・人の順に障害されていきます。最初は時刻や日付がわからなくなりますが、症状が進行すると自分がどこにいるのかがわからなくなり、徘徊のような行動につながっていきます。さらに進行すれば、自分の子供もわからなくなるという具合です。
視空間認知機能障害
前後左右の方向感覚が失われるともに、見えない道や建物を創造することが困難になります。ランドマークへの注意と記憶が難しくなり、やはり徘徊といった行動につながっていきます。
注意障害
広い注意と狭い注意の使い分けができなくなります(カクテルパーティ効果)
また、注意を向けていないと知覚できない、注意を向けていないことが気になってしまうといった症状も見られるようになります。
認知症の人の暮らしにくさと私たちの暮らしにくさの連続
認知症の人が暮らしやすい社会を作ることは私たち自身が暮らしやすい社会を作ることにもつながっていきます。
認知症フレンドリーテック
そもそもの詳しい説明はこちらの記事がわかりやすいです。
認知症フレンドリーテックとプロトタイピング
認知症フレンドリーテック領域はマーケットボリュームとしても大きいです。さらに、予防と共生、両面でのポテンシャルが存在しています。社会課題解決という文脈だけでなく、ビジネスとしても取り組む意義の大きい領域です。
しかしながら、多くの場合自分自身がターゲットとならないために、何をすれば良いのかが直感的にわかりにくく、課題の特定やソリューション作りにハードルがあります。知識として知ることはできても、当たり前の感覚として自身が持っているものが通用しません。重要なのは、
サービスを使う「本人」の話を聞く。実際の現場を見る
さらに言えば話を聞くだけでは不十分であり、困っていることに本人自身が気づいていない可能性が高いです。現場・現物・現実を捉えることが重要となります。主語を小さくする
お客さまを高齢者と一括りにするのはかなり粒度が大きいです。日本の人口30%を占めるわけですから、イメージとしては血液型がO型の人が使いやすいサービスやアプリケーションを考えるレベル感となります。実際に使ってもらう
良かれと思って作っても、それが評価されるかはわかりません。使っていただき、フィードバックをいただくのが一番です。
すなわち、プロトタイピングの文脈で開発を進める方式がフィットします。
KAERU|誰もがお買い物を楽しめる世の中にする
実際に優しいペイメントサービスとして運用されているのがKAERUです。
素晴らしいビジョンだと思います。規模が大きい小売業だからこそ、弊社も見習わなければなりませんね。
チームビルディング + アイディアソン
以上の内容をレクチャーとして受けた上で、実際のハッカソンに入っていきました。ハッカソンとしては全体で6つのチームに分かれ、実際に発生している2種類の課題について各1チーム、2つのモデルケースについて各2チームずつ、議論した上で発表しました。
「認知症になったら、お母さんがお母さんじゃなくなる」と思っていました
私は実際に発生している課題と、希望するプロダクトが既にあるチームに所属することとなり、議論を進めることとなりました。
課題を持ち込まれた方は、実際に介護をされている方でした。「認知症になったら、お母さんがお母さんじゃなくなる」という認識だったところで、母が認知症と診断され、まさに絶望の境地だったとのことです。しかし、実際はそうではありませんでした。
認知症になっても「おうちで迎えられる幸せな最期」があると知りました
しかしながら、その方はご自身で必死に調べ、適切な支援による介護をすれば、一番安心して暮らせる自宅で問題なくゴールまで辿り着けるということを知りました。認知症と診断されて月日が経ちましたが、今も問題なくご自宅で暮らされているとのことです。認知症について、正しく理解したことで、良いサイクルを築けているのです。
そして、そのご自身の経験を社会に広く発信することで、少しでも救われる方を増やしたいとのことでした。
チームで議論する中で、解決すべき課題と要望を3つに絞り込みました
認知症介護に直面すると想像を絶するほど本人も家族もパニックになる
いろんな情報が点在していて、”本当”にいい情報に出会うのが難しい
いいケアを提供するほど儲からないという介護業界の仕組みを改善したい
これらを解決するソリューションについて、議論を深めていきました
LINEのプラットフォームを活用したソリューション
グループとして、LINEを活用したプラットフォームを考案しました。そもそものメインターゲットはプレ介護者。そして実際に介護をされている方もターゲットと考えています。サブターゲットとしては、介護専門職の方も想定しています。大きな機能は3つです。
LINEで認知症介護シミュレーション
LINE公式アカウントを友達登録されたユーザー対して、LINEのpush通知機能を通じて、まるで認知症の家族を介護しているかのようなシミュレーションを行うことができます。
いざ突然やってくる介護のある生活をあらかじめ考えておくことで、”いざ”の時に焦らなくて済むというだけではなく、適切な介護の知識を備えておくことで、間違った選択を取らず、幸せな方向に向かうことができます。
こちらのnote記事を参考にさせていただきました。
LINEでどうしたらいいの?に出会う
介護情報は世の中に溢れかえっており、中には不必要に読む人を不安にさせ、高額な介護施設への入居に誘導させるようなものも存在します。更には、介護を始める人も何がわからないのかがわからない状態で、本当に必要な情報やサービスにたどり着くことが、非常に困難となっております。
そこで、利用者の「知ってる情報だけで知らないものに出会う」を実現していくソリューションが必要となります。具体的には、オープンソースである ”Civichat” のアルゴリズムを利用して、従来の階層型の検索ではなく、探索型の検索アルゴリズムを用いたChat Botとなります。
https://github.com/Civichat/civichat-chatbot
Civichatはオープンソースなのでgit cloneして使ってみましょう
サンキューカードでみんなのハッピーを連鎖する
“いいケアをする人” が“いいケアをもっとやろう”と
思ってもらえる環境・仕組みづくり をテーマに考えてみました。
以上の機能を実装したLINE公式アカウント上で、利用者は ”ありがとうカード” を購入します
LINEを利用されている方は、感謝の気持ちをカードに記載し、専門職の方に直接渡します
受け取った専門職の方はカードに記載してあるQRコードを、自身の端末で読み取ることで、チップを受け取ることができます
いわゆる投げ銭です。始めは少額かもしれませんが、この投げ銭システムで、介護業界の構造変化と専門職の方のやりがい搾取防止に繋がれば良いのではないかと考えています。
今後の展開
光栄なことに、主催者の方より賞をいただくことができました。私は寝ていただけなので、チームメンバーに恵まれたと思います。
今後ですが、本企画をプロトタイピング的に実装していきます。やはり、実際に作って試すサイクルを素早く行うことが重要ということですね。
私もLINE Botであれば猫の手ぐらいにはなるかと思いますので、簡単な実装の部分と、更に拡散していくときのマネタイズ設計などお手伝いできればと考えています。
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