私達は最期まで安全に歩きたい。手押し車と三人のシニア。

後期高齢者の腰の曲がったハイシニア女性が

手押し車を押して歩いていた。


その娘位の年齢だろうか、

二人の高齢者の知り合いシニア女性が畳み掛ける。

「今度からこう言うの利用すれば良いよ、押していれば安心じゃない⁉」

「そうだよ、押せば良いんだよ」


黙って押し歩く女性が一言

「なるべく押さないようにしてるんだ」


それを受けて二人の女性は

「我慢しなくったって、楽にすれば良いんだよ。押しなよ」


手押し車の女性は一方通行の道でもあるかのように、

無言で歩いて行く___。

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通りすがりの三人の

後ろ姿を  見送る私は整体師だ。


死ぬ迄付き合う、換えのきかない身体。

どちらも間違ってはいない。

否どちらも見落としている。


耐え忍ぶ事も、甘やかす事も、

寄りかかる事も、見放す事も、

違う気がする。


言葉や表情に  置いて行かれた背中。

三つの背面。


死んだ時に拝まれるのは表の自分だけれど

死ぬ迄 支える後側の自分はどうやって、


活き活きと歩めば良いのだ。

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