商品作りは「具体」x「抽象」
「好き」を仕事にする。という言葉があります。皆さんこの言葉をどんな意味で捉えているでしょうか?私は以前「好き、を仕事にする」という言葉にとても憧れている時期がありました。きっと誰もが一度は憧れる言葉ではないでしょうか?この考え方、確かにそれが出来たら最高なのですが、一方でとても注意が必要な言葉だと思っています。
ニーズがあって初めて成り立つのが仕事
文字通りで考えるのであれば、「好き」を仕事にできれば最高です。歌うことが大好きなので、歌を歌って収入を得る。文章を書くことが好きなので、何かを書いて収入を得る…。
一方、仕事(つまり収入を得る)という事の先にはそれに対してお金を払う人がいる、という事です。あなたが提供するあなたの「好き」を受け取る相手はそれを受け取ったことで何を得ることが出来るでしょうか?そしてその相手はそれを得たことでどんな良いことがあるのでしょうか?ここを理解して具体的に得られるものを明確にしていないと、お願いしてもいない菓子を友人に配る近所のおばちゃんとやっていることは変わらなくなります。
商品が手段止まりであることの危うさ
ひとり起業を考えている方の中に自分のやりたいことが「手段」で止まっている人が多い、という方が多々いらっしゃいます。
たとえば私の身近な例でいうと「コーチング」が代表的な例です。コーチングというのは、いわいる一種のコミュニケーションの方法であって、これは人が内省を深めたり、モチベーションを上げたり、物事を違う視点から考えるために用いる手法です。「この手法を使える」というところまでは良いのですが、この手法を使って何がしたいのか、どんな価値を相手に提供したいのか?が明確になっていない方が多いな、という印象です(過去の自分もまさにこれだ、という自戒も含めて今日は書きます)。
モノもサービスも飽和状態、テクノロジーの発展によりたくさんの便利ツールが存在しているいま、
「私は、○○ができます。」はもはやビジネスとしては成り立たない時代です。
「私は○○をすることで、あなたに▲▲をお渡し、あなたを◎◎にすることができます」までを明確する必要があります。
顧客が得られるものは具体から始めよう
「価値提供が明確ではない」という言い方をすると、「そんなことはない、ちゃんと価値提供はできている」という反論を過去の自分は言うでしょう。問題なのは…
「その価値本当に提供できていますか?」という問いです。
私がコーチングサービスを提供し始めた頃、私のコーチングでお客様に提供する物は
「自分らしさ」
「行動力」
「前向きな考え方」
などと謳っていました。今ここに書くだけでも恥ずかしくて顔から火が出そうなくらい、
言われた人は「は?」と思う事でしょう。コーチングを受けて得られる価値をこのように言語化することは間違えではないでしょう。ただしこの表現がお客様に響くかどうか、と考えた時には表現が抽象的すぎて本当に価値があるかどうか、が相手には伝わらないのです。
無形商材の販売にありがちなのですが、
提供する商品→お客様が得られるもの この「→」の間のステップがあまりにも遠すぎてその価値がお客様に伝わらないケースが良く見受けられます。またその抽象概念が「結果的に得られるもの」であって、提供者が直接的に提供しているのではない場合も多く見受けられます。
(例)コーチング
✕コーチングセッションを提供 → 自分らしい生き方を得られます
◎コーチングセッションを提供 → 強みを分析しながら転職活動をサポート →(結果的に)自分らしい生き方を得られます
抽象概念の提供も必須
一方で、抽象的な提供価値を考えると事もとても重要です。
有形商材にありがちなのが、抽象的な価値を表現せずに商品を作ってしまうケースです。
例えば手作りアクセサリーのブランドを立ち上げた場合
(例)
✕手作りアクセサリーを販売→カラフルポップなアクセサリーを提供
◎手作りアクセサリーを販売→カラフルポップなアクセサリーを提供→身に着けるだけで華やかな印象に、日常生活にスパイスを
有形商材の場合、商品そのものが具体的な価値になるので、そこで止まってしまう場合が多いのですが、その商品を手にすることで、お客さんはどうなることができるのか。そこをしっかりと決める事でその商品の価値を一段引き上げることが可能となります。さらにこの抽象的価値が他社との差別化やブランディングにもつながっていきます。有形商材を販売している方は、「この商品を提供することでお客さんがどのようになれるのか?」についてしっかりと考えてみてみると良いでしょう。
まとめ
商品を作るもしくは考える時に大切な考え方は
その商品の「具体的価値」x「抽象的価値」で考える。
ご自身のビジネスと照らし合わせて是非考えてみてください。