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大人が地団駄を踏むはなし
地団駄を踏むとは
怒りや悔しさなどの感情の昂りから、地面を激しく踏む動作をすること。
大抵このように説明される。
では私がかつて見た、地団駄を踏んでいる大人の姿を説明してみたいと思う。
両手に拳を握り、肘は30度に曲げる。
右足で地面を激しく踏みつける動作と同じリズムで、両腕を激しく上下に振り下ろす。
表情は鬼の形相で、顎がしゃくれたり、時に両腕を振り下ろして右足が地面を踏んだタイミングと同時に、頭頂部が相手に見えるほど顔ごと振り下ろす時だってある。
「どうしてあーだこーだ!あーだこーだ!!」
と大きな図体でナースに向かって地団駄を踏んでいる医師が昔いた。
そんな大人の姿は、テレビや漫画で見る事以外あまり見かけないし、この医師以外お目にかかった事がないかもしれない。
しかしまだそれは健在らしく、前の職場の先輩が真似をして教えてくれる。
今週末、珍しく息子たちの部活が休みだったため、静岡の実家に帰り母の墓参りに行った。
御先祖様を大切にする父の影響もあり、私も墓参りには熱心なほうだ。墓に自分の親が入ったとなれば、また思いは身近になる。
墓離れが進み、墓じまいの言葉も耳にするようになり、母の両隣りの墓もいつの間にかなくなり更地になっていた。
その中で、墓参りや墓掃除など小さい頃から祖父に学び、息子たちには貴重な体験になっていると思う。
墓参りを終えると、お楽しみはランチである。
今回は父のリクエストで、少し足を伸ばして清水まで行ってきた。
清水と言えば、河岸の市‼︎
その中で父が行きたかったところは、ストップと言うまでまぐろ盛り放題の店だった。
私はインスタで知っていたが、父は何で知ったのだろう。場所まで把握していた。
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時間は13:00頃。店には2組しか並んでいなかった。
名前を書いて待つのであるが、マティと名前を書く欄の上に、まぐろいっぱい丼はここまでと線が引いてある。
珍しく大人気なく悔しさが込み上げてきて、店の人が出てきた時に、
「まぐろいっぱい丼はもう本当にないんですか?」
と、食べられないなら他の店行っちゃうぞ?並の勢いで聞いた。
もしかしたら地団駄を踏んでいたかもしれない…
店の人は
「注文されない方もいるかもしれないので名前を書いてお待ち下さい」
と私に告げ、私は心の内でどうか父に食べさせてあげてと前を待つ2組に願った。
次に呼ばれるのは私たちの番だったが、その願いも虚しく、マティ様と呼ばれる前に完売の札が貼られた。
「完売だって!完売しちゃったー!」
と、私は札を貼る店の人に聞こえるように叫び、もしかしたらまた地団駄を踏んでいたかもしれない。
店内に案内されて座るやいなや、
「あと二食でしたらまぐろいっぱい丼注文できます」
と教えてくれた。
たまには大人気ない事をする事も、効果有りかもしれない。
無事にまぐろいっぱい丼にありつけた。
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フードロスNO!NO!
ちなみにまぐろいっぱい丼を食べたのは私だけで、父は刺身定食を食べてらした。
noteでの出会いに感謝します
☺︎マティ☺︎