見出し画像

千年前の“いま”を聞く 『百人一首という感情』 #616

「和歌」と「短歌」の違いってなんだろうと思って調べてみました。「短歌」という呼び方は、リバイバル復活したものなのだそうです。

奈良時代に「大和歌(やまとうた)」と呼ばれていたものの中で、平安時代に残っていたのが「短歌」で、「和歌」と呼ばれるように。「漢詩」に対する言葉として生まれたのが始まりです。

たぶん一番身近な「和歌」といえば、「百人一首」なのではないでしょうか。『ちはやふる』の人気はもちろん、子どものころは「ボウズめくり」をしてよく遊びました。

そんな「百人一首」の現代語訳に挑んだ最果タヒさんが、訳しながら考えたこと、感じたことを語った本が『百人一首という感情』です。

「100の“エモい”を大解剖」と帯にあるとおり、詩人の言葉を通して語られる千年前の風景が、ググッと迫って来ます。どういう解釈の中で選び取られた言葉なのか。和歌の翻訳解説本というよりも、100編の小説を読んでいるような気持ちになります。

ぜひ、現代版の『千年後の百人一首』と一緒にご覧ください。こちらには、それぞれの歌が詠まれた背景や、人物の解説も収録されています。

「大和歌」が「和歌」となり、そして再び「短歌」と呼ばれるようになったきっかけは、正岡子規です。「写生主義」の正岡子規にとって、平安時代の歌はオシャレすぎてウェイウェイした印象だったのかもしれませんが。

恋も、四季も、人間の営みも、変わらない。千年前の人たちだって、自分の「いま」を生きていたのだから。時空を超えて届く言葉に、ちょっと夢を見る気分なのです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?