「米留組」と沖縄
予備知識ゼロで読みました。
動機
これまで、沖縄関連の書籍を何冊か読んで来ました。その一部がこちらです。
沖縄は日本本土よりも台湾や中国に近く、本州とはかなり違う歴史を歩んで来ました。私が学んだ当時の「日本史」では、沖縄は近現代史にしか登場しません。
「その前、どうなってたの?」
そもそも私は、「メジャーではないほう」に興味を持つ性格です。
自分でもよく理由が分かりません。
たとえば織田信長にはそれなりに興味はありますが、なんであれよあれよという間に秀吉にいいとこを持ってかれたのかを、信長の子の視点から書いたものはないの? と思うタイプです。
武田信玄よりその子・勝頼ってホントはどんな性格だったの? 若干ダメ人間扱いされている節があるけど、ホントにそうだったの? と思うタイプです。
WBCでも、台湾ラウンドばかりに興味を持っていたタイプです。
余談が長くなってしまいましたが、「日本史」とは違う歩みを続けて来た沖縄にも興味が尽きず、言葉も勉強しました。
たぶん検定があれば5級か4級は取れると思います(たぶんないけど)。
概要
終戦後、アメリカの国策として、沖縄にいる人から選抜して、アメリカへの留学生を年に数十名送り込んでいました。その人の声を集めた本です。
アメリカの大学に数年間留学すると、英語が堪能になるのは当たり前ですが、アメリカやその他の国の文化も深く知る事ができます。沖縄に帰ってから、その経験を生かして沖縄の地でアメリカ人との架け橋役を担ってほしい、という意図が、この「米留」にはありました。
一方で、沖縄県人から選ばれる人たちは、現地住民との生活の違いを肌で感じることにもなり、県民同士の「分断」を呼ぶのではないかと予想され、実際そういう空気もあったようです。
感想
ただ、この本を読むと、そういうものはどれも「一面」に過ぎません。選ばれた人たちも、その出自は実にさまざまでした。終戦時に沖縄にいた人は、厳しい戦場のど真ん中にいて沖縄文化の中心にいたわけですが、終戦時までずっと本州にいて、戦後事情があって沖縄に移住した人も結構いて、そう言う人は触れていた文化が全く違っています。なので、
という証言もあります。
なので、「一面」で全てを言い切ってしまうのは危険だと思いましたし、実際、米留組のその後もまちまち。それを丹念に取材し、紹介しているので、多様性をとてもよく知る事ができます。
また、こんな事が書かれていました。
私はもともと「多数決」が嫌いです。必然的に少数意見を切り捨てることになるからです。
それは「少数意見は排除」につながります。
少数意見のほうがイノベーションを生むことだって多々あると思うのです。