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「ゲルニカ」をめぐる時空の旅(原田マハ)

まず言っておきますと、私には芸術的感性はほとんどありません。

私の絵心

ドラえもんの絵を描いたら、

「目が死んでいる」

と指摘されたことがあります。

そういう私ですが、「ゲルニカ」とダリの絵にはちょっとだけ思い入れがあります。

本物を見たことがあるからです。

ゲルニカの「旅」

「ゲルニカ」はスペインで生まれたピカソが描いた作品ですが、この絵はパリで描かれ、パリ万博(1937年)で初めて出店された作品です。パリ万博後、この絵はスペインではなくアメリカに渡り、ニューヨーク近代美術館(MOMA)に収蔵されています。スペインに「返還」されたのは1981年。40年以上海外に居続けた作品です。

私がマドリッドでこれを見たのは1995年か96年あたりでした。

想像以上にデカくて驚きました。絵画というより「壁画」に近い感覚です。描かれた歴史的背景など、その当時はまったく知りませんでしたが、とにかく迫力がすごく、右へ左へ移動して隅々まで見たくなる。正面に立ってしばらく全体を見ていたくなる。いろんな見方ができるなぁと思いました。

今は作品の前に警備員が常時いるらしいのですが、当時はそんな人いた記憶がないです。当然さわることはできませんが、割と間近で見れたと思います。

個人的には、ダリのグニャグニャの絵も「おー」と思いました(←浅い感想ですみません)。すばらしい所蔵物がたくさんある美術館です。スペインってすごいなぁ。。。

作品

この小説は、9.11があった当時と、パリ万博があった当時の2つの時代を行き来しながら書かれています。そして、この二つの時代をまたいで登場するキーマンがいます。これが秀逸なのです。「史実に基づいたフィクション」と書かれていますが、本当にいたのではないかと錯覚するような感覚に陥ります。

「ゲルニカ」は、作品が大きすぎるため、動かすことが極めて難しい。日本でも、海外の絵が東京などで期間限定で見られたりしますが、絵を移送させるのは非常に難しいという事が、この小説を読んでよく分かります。

移送の難しさを逆手に取ったようなおもしろい作品です。

#読書感想文  

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