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映画へGO!「チャレンジャーズ」 ★★★★☆

(※多少のネタバレあります)
キーとなるフレーズ、アクション、エピソード、ビジュアル、音楽などがハッキリしているので、まるでテニスのラリーのように時系列が行ったり来たりする展開であっても、比較的ストーリーの繋がりがわかりやすく、非常に吸引力の強いキャッチーな映画に仕上がっています。

主演のゼンデイヤが演じるタシのセリフにある通り、「テニスとは人間関係の表現である」をそのまま映画にしたような、3人の男女をコアに、そのバランスが刻一刻と変幻する、モダンなラブストーリーでした。

男同士の親友であるパトリックとアートは、タシに強烈に惹かれて、10年に渡って彼女を取り合います。
ちょっと説明のニュアンスが難しいのですが、タシはまるでその二人の男性の人格を同時にひとつのものとして愛しているかのようなイメージを受け取りました。

だから、タシが二人の男の間を行ったり来たりしているように見えるのも、ある意味自らの欲望や戦略に忠実なだけであり、スクリーンを見ながらほとんど違和感なくその展開を受け止めている自分がいました。

そして、一見そのややこしそうなラブストーリーを、一気一瞬にしてまとめ上げてしまうラストシーンのラリーからのタシの絶叫!
思わず唖然としてしまうと同時に、監督のストーリーテリングのセンス・手腕に脱帽するしかありませんでした。
思わず「かっこいい・・」と心の中でつぶやいていたのでした。。

演出面で言うと、皆が感じる通りで、音楽が印象的です。
テニスとラリーのシーンでは、ちょっとボリューム大き過ぎない?というくらい、ゴリゴリに低音が効いたテクノで押してきます。
自然とゲームに巻き込まれていく感覚を味わえますし、ダンスミュージック好きの自分としては、体でリズムを取ってしまい、映画館で席を揺らしてしまうのではないかという位、イマーシブな体験となりました。

あと、映像表現としてもユニーク。
テニスのシーンをいろんなアングル・テンポ・エフェクトで魅せてくれるのが新鮮で、エンターテインメント性も十分でした。
そこに日本のコミック・アニメの影響を感じたのは私だけでしょうか?ラリーの描き方は、まるで松本大洋の「ピンポン」かと。

結論としては、とても楽しめましたし、ドロドロした人間関係に沼るというよりは、なぜかむしろスカッとする映画です。
ブレているようでブレていない、タシの人物造形のなせる業だと感じました。

個人的評価:★★★★☆
とにかくゼンデイヤがチャーミング!
強さと弱さを抱えながらも自らをコントロールしていく女性像を熱演。
「DUNE」の時はあまり気に留めていなくてゴメンナサイ!






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