映画へGO!「スオミの話をしよう」 ★★☆☆☆
(※多少のネタバレあります)
そこまで過度に期待していたわけではないのですが、三谷幸喜さん監督・脚本ということで安定の面白さがあるだろうという安心感と、何より長澤まさみさんのコメディエンヌぶりを堪能したいという動機から、映画館に足を運びました。
結論から言うと、その決して高くはないハードルを超えることができず、少々フラストレーションが残る出来だったのでした。
う~ん、残念・・・
”長澤まさみ演じるスオミとその元夫5人の織り成す物語”というと、TVドラマの傑作「大豆田とわ子と三人の元夫」をつい連想するので、基本設定自体にそれほどの斬新さがあるわけではなかったのですが、そこを起点にした豪華なキャスト陣による奇想天外なドタバタ劇が繰り広げられる様子が容易に予感できます。
ただ、今回はその5人の元夫の人間模様が絡み合って化学反応を起こし、面白さがドンドン加速していくようなドライブ感が、思いのほか無かった気がします。
ツボをちゃんと押さえてキャスティングされた5人の男優陣(西島秀俊・松坂桃李・遠藤憲一・小林隆・坂東彌十郎)も、それぞれが自分の持ち場を芸達者に演じていましたし、台詞回しや役者の動きが敢えて舞台っぽいのも、緻密な計算の上で的確に視点が変わるカメラワークと相まって、なにか新しい映画体験がはじまるようなワクワク感は冒頭にはあったのですが、段々見慣れていきました。。
そして後半の謎解きのフェイズに入ってからは、ちょっと間延びしたような展開に陥ってしまい、サスペンスとしてのプロットは弱く、とはいえ三谷さんのことだから、このままで終わるはずはない、最後の最後に何かとんでもないオチが待っているに違いない、という期待もとうとう肩透かしに終わってしまいました。
エンディングのミュージカルシーンは楽しくて、長澤さんの唄と踊りも素敵でしたが、全体の印象を覆すほどの意味合いはなかったです。
で、三谷さんの作品には必ず付きものの”腹を抱えて笑う”シーンも、今回はなかったのですが、三者面談での会話が全く噛み合わない遠藤憲一さんのエピソードとか、NHKのコント番組「LIFE」で秘密戦闘員に扮した長澤まさみさんを彷彿とさせるシーン、バディーとして脇でしつこく登場する宮澤エマさんの多彩な演技プランなど、そうは言っても、随所随所では相変わらずの切れ味を見せてくれ、爪跡を残してくれました。
どうしても三谷さんと言えば、舞台や連続ドラマでの高いテンションに比べると、映画というフォーマットでは弱くなるという印象を持っている人は結構いると思います。
が、次は想像を超えて、笑い死にしそうなとんでもない名作コメディを生んでくれることを祈ります!
個人的評価:★★☆☆☆
とはいえ、長澤まさみさんのコメディエンヌとしてのセンスは大好きです。