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映画へGO!「AT THE BENCH」 ★★★☆☆

(※多少のネタバレあります)
ポスターのビジュアルを見ると、「ジム・ジャームッシュ?」と一瞬見間違えましたね。
日本人の写真家であり映画監督の、奥山由之さんの作品でした。

じつは前日に、一冊の写真集から着想を得た映画「THE BIKERIDERS」を観ていたので、2日連続で「写真」につながる映画を鑑賞したことになります。
たまたまなのですが、無意識にそういうのを求めていたのかもしれません。

で、感想で言うと・・・、オフビートなユーモアにあふれていて、心地よく楽しめました。

コメディ要素がベースにあるのですが、いわゆるハリウッドの王道コメディーのように、笑いのタイミングがピシッと設計されていて、そこに俳優の演技・台詞やSEなどの演出が集約され、観客も一斉にドカンと受けるような、そんな狙いすまされたものではなく、
なんか微妙なズレやゆらぎによって、クスッとした笑いの波が多重に押し寄せてくるような、ちょっとひねりの効いたユーモアなのでした。
監督のセンスの賜物なんでしょうね。

俳優陣が若手中心ではありますが、とてつもなく豪華でびっくりです。
細かくエピソードが分かれていて、プロットやシチュエーションの都合上、舞台とはまた違うカタチで、個々の俳優は自らの存在感や演技力などの素材そのものが試される作品なので、なんとも言えないその緊張感ごと楽しめます。

私に一番刺さったのは、episode3の今田美桜と森七菜による姉妹のキレ芸応酬ラリーでした。笑
森さんの観客のココロを掴む迫力は、他のいろいろな作品で実感できていたのですが、それを喰うぐらいの勢いで、今田さんのなり振り構わない絶叫演技が秀逸でした。森七菜が押されているのを見たのは初めてかも。
ただし、このテンションどうなっちゃうの・・?という不安も、姉妹の激烈な愛のもとにうまく収斂されていくさまは、胸がスーッとしました。

あとはメインとなるepisode1と5で言うと、幼馴染の二人が恋愛フェイズに徐々に引き込まれていく甘酸っぱい感じは嫌いじゃないのですが、広瀬すずが役柄に入り込んでいたのに対し、仲野大賀が”誰かを演じている仲野大賀”に見えてきて、いまいち入り込めず。
仲野大賀さんに対しては、他の作品でもいつもその印象を抱いてしまうのです。演技とか上手いんですけどね。。

あと、episode4での吉岡里帆さん。彼女の使い方としては、もったいない!もっと面白い役柄にできたはず、と歯痒い気持ちになりました。草彅さんに監督や演出陣が気を使い過ぎたのでは?とうがった見方をしてしまいそう。

とはいえ全体として、90分弱というのも適切で、気持ちよく映画館を後にできました。

個人的評価:★★★☆☆
遅まきながらの鑑賞でしたが、観てよかったです。
各エピソード同志のつながりにもう少し洗練やひねりが効いていたら、もっと後味に深みができたかも。



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