映画へGO!「熱烈/One and Only」 ★★★★☆
(※多少のネタバレあります)
「楽しかったー!」とストレートに思えるエンターテイメント・ムービー。
スパイ・ノワール映画「無名」で初めてお見かけし、トニー・レオンを超える存在感を発揮していたのに驚き、注目もしていたワン・イーボー。
彼を目当てに観に行きましたが、今回も、ちょっと影のある内向的な二枚目でありながら、でも内に秘めた瞬発力ある強いエネルギーを感じさせる、とてもユニークなスターだと改めて確認できました。
で、そのワン・イーボーがめっちゃダンスを頑張っていて、単なる芸達者というより、本当に踊ることが好きなんだな・・と信じさせるレベルだったのは流石ですね。今後もさらに注目しようと決めました。
ブレイキング的なダンスバトルの世界を軸に物語は描かれていますが、もちろんオリンピックのような競技中継ノリの撮影ではなく、目線の高さで画面を前後左右上下に大胆に揺らしながら、非常にライブ感と熱量を溢れさせているのがスリリング。否応なしにダンスの魔力に巻き込まれ、アドレナリンが出ます。
酔っちゃう人もいるかもしれないのですが、「今この瞬間、世界にはダンスしかない!」くらいの場の感覚を伝えようとする監督の意志を感じました。
よって、大画面・大音量で鑑賞するのがいいですね。
映画としては、今まで観たこともないような斬新なチャレンジがあるというよりは、全体的に懐かしい感じの演出であり、オーソドックスなストーリー展開と言えるでしょう。
が、それが退屈さを引き起こすのではなく、むしろ伝わってくるのは、普遍性のある魅力です。
監督・キャスト・スタッフが一丸となって、観客を楽しませることを目指した結果だと感じました。
欲を言えば、ダンスバトル以外のサイドストーリー、例えば主人公の親子関係、ジャーナリストの女性との感情の交わり、胸糞悪い敵役の本当の姿・・などの描き方に深みがあると良かったですし、最後に登場するダンスの大技のオチにはズッコケましたが、そんなこともさほど気にならなくなる、エンターテイメントとしての圧があったことが、この映画の魅力ではないでしょうか?
主人公のワン・イーボーが、本番の緊張を解き放つために、ステージの床をそっと手で触れたり、いいパフォーマンスをした後に、ステージにキスするなど、ダンスへの愛と敬意を象徴的に表明していることにも共感できたのでした。
個人的評価:★★★★☆
中盤のダンスイベントのシーンで、主人公の心象風景のインサートと共に、盛り上がりのひと山があるのですが、それ以降もテンション切れることなく、エンディングまで持ち込めていたのも監督の力量ですね。