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映画へGO!「サンセット・サンライズ」 個人的評価:★★★☆☆
(※多少のネタバレあります)
脚本をクドカンが手がけ、主演に菅田将暉、監督に「正欲」の岸善幸という気になる組み合わせが揃った作品。
エキセントリックでは無い役どころの菅田将暉がどのような演技を見せてくれるのかにも興味を持ち、劇場に足を運びました。
全体の印象としては、肩の力を抜いて楽しめる、ほっこり映画でしたが、
地方への移住、東日本大震災の傷跡、空き家問題、男女の恋愛模様、そして地方の豊かな食文化など、テーマが多岐に渡って盛り盛りにされていて、やや処理しきれていない部分もあったかもしれません。
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それでも、私自身は菅田将暉と井上真央が演じるラブストーリーを軸に、映画に入り込むことができたので、感覚的にはストレスを感じることなく自然に楽しむことができました。
物語の中心と捉えたのは、震災で大切な家族を一瞬にして失った百香(井上真央)と、彼女を好きになっていく東京から移住してきた青年・西尾(菅田将暉)の関係性の変化。
二人が次第に惹かれ合う姿を見ながら、「早くくっついてしまえばいいのに!」とじれったく思う一方で、百香が背負っているあまりにも深い悲しみと葛藤を思うと、そう簡単にはいかない心の揺らぎにも大いに納得させられてしまう。
このまま結論を明確に示さずにエンディングを迎えるに違いない・・・と固唾をのんで迎えたラストシーン。
百香と西尾が選んだ道については、「あー、その選択があったのか」と素直に共感し、心地良き余韻を味わえました。
そして最後に映し出される海のカットは、作品の締めくくりにふさわしいものではありましたが、少し照れくさいほどの素敵さでしたね。笑
この作品では脇役陣も非常に魅力的。
中村雅俊、竹原ピストル、池脇千鶴といった俳優たちは、それぞれのキャラクターの人物造型を明快に表現し、物語に複層的な厚みと説得力を与えていました。
特に竹原ピストルが河原で感情を吐露するシーンは名場面で、その他も彼の喜怒哀楽の表現力には感動させられました。居酒屋でのユーモアいっぱいのやり取りとなど、はまり役といえますね。
こうした熱演があるがゆえに、多少のストーリー展開の無理も気にならず、映画全体として感情移入しやすい仕上がりになっていたと思います。
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『サンセット・サンライズ』は、多くのテーマを抱えながらも、優しく語りかけてくれる作品でした。
登場人物たちの選択や葛藤に少しづつ共感が芽生え、最後には温かな気持ちになれる、そんな一本です。
妻といっしょに鑑賞したのですが、映画館を出た直後は、なぜか自然と東北弁になっていました。笑
個人的評価:★★★☆☆
井上真央さんは、年齢を重ねてチャーミングな存在になってました。
池脇千鶴さんは、エンドロールに出るまで気づきませんでした!
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