面接恐怖症の無い内定学生、面接官になる。
2017年の9月、私は額と小脇とその他ありとあらゆるところに汗をかきながら、途方に暮れていた。6月までにあるはずだった内定が、なかったのだ。押し入れの奥、向かいのホーム、こんなとこにあるはずもないのに。お祈りメールが止まらない、面接に行っても手応えがない。もしかして私、社会不適合者…ってコト!? それまでお受験・試験諸々を筆記で越えてきた私にとって、人生初めての"面接"は大きな壁であった。
内定がないことを親にも友達にも相談できず、就活浪人したいとも言えず、不安と焦りで毎日身が千切れそうだった。今内定がない学生さん、めちゃくちゃ不安だと思う。でもマジでどうにかなる、生きてさえいれば。新卒カードなんてどうってことない。私は結局、やっとの思いで入社した会社を3年も経たず辞め、今は人事部で面接官をしている。面接が怖くて怖くて毎回ブルブル震えていた私が。そしてやっと、面接のことがわかってきた。面接はオーディションではない。落ちても死なない。「相互理解」「デート」だ。そして企業はメンヘラだ。いくらでも言い寄られているくせに「私だけを好きだと言って?♡」とおねだりしてくるヤベェやつだ。デートを重ねながら、無理だったらごめんなさいすればいい。会社なんていくらでもあるのだから。失敗に失敗を重ねた私の就活を振り返りつつ、このLOVEの儀(面接)をどう乗り越えていけば良いか考える。
私の就活の敗因は、
①自己分析が全くできていなかったこと
②面接準備(企業研究)ができていなかったこと
③緊張しいな自分を受け入れられなかったこと
だと思っている。
まず自己分析についてだが、例えると私は何の根拠もないのに横浜流星と付き合えると信じて疑わない激痛いヤツだった。就活解禁した瞬間、私は横浜流星に告白した。横浜流星と付き合う(第一志望の会社に入社する)ためには、本人に認知してもらったり、好みのタイプや元カノを調査して見た目を整えたり、秀でたスキルを身につけたりして死ぬ気でアタックしないといけない。そんなこともわからなかった私は、裸一貫で急に横浜流星に告ってしまったのだ。結果は、「あなた誰?」「ごめんなさい」(超大手代理店、即書類落ちした) 長い時間をかけて良い女にじっくり言い寄られている横浜流星が、ぽっと出の正体不明の女に振り向いてくれるはずもない。なのに、私の何が悪かったんだー!と落ち込む。理由はわからないので特に反省もせず次のイケメンに突撃する。最悪のループ。
結局、就活では自分のやりたいことをやらせてくれて、かつ自分のレベルに合ったお相手(会社)を見極め、確実にアタックする必要があった。そしてデート(面接)を重ね、お互いのことを知っていく。だから同時並行でいろんな相手を吟味する必要がある。横浜流星・吉沢亮・新田真剣佑に予習や作戦、武器無しでいきなり告っても時間と体力の無駄。メンタルも死ぬ。頑固に自分をいい女だと思い込むのではなく、自分も相手もWinWinになれる相手を探すべきだった。
次に面接準備について、本当に私は横浜流星(第一志望)の"顔"しか見ていなかった。横浜流星は優しいので、私がデートでどんなに言葉に詰まっても、にっこりと微笑んで私の良いところを探そうとしてくれる。でも、顔しか褒めない私と2回目のデートをしようなんて思わない。顔しか褒めてこない女と、性格や、過去の役柄、空手ができるところ、雑誌での発言etc 褒めてくる女だったら、絶対に後者を選ぶだろう。顔が好き!の一点張りのやつなんて絶対田中圭の顔も好きって言うしな。
最後に、私は面接を完璧に終えたくて、毎回ガッチガチに緊張していた。(面接時にApple Watchが心拍数が早すぎると通知をくれたことがある)話すことを全て紙に書き、それが飛んだら頭が真っ白。横浜流星の目を見て話すことができなかったのだ。例えるならイレギュラーな状況に弱いDT。ドドドドドドドドドDTとバレたくないのでツッコまれないように必死に虚勢を張る。嘘を重ねる。自分の強みも曖昧、相手の好きなところにも確信がないから「俺の今後の仕事って、どうなっていくと思う?」という流星の質問に答えることができない。面接のとき、もっと流星の言葉に耳を傾けたり、失敗してもいいから流星が欲しい言葉をかけてやればよかった…と今すごく後悔している。面接という相互理解の場をもっと楽しめばよかった。 まあこれに関しては"経験"としか言いようがないので、キャリアドバイザーとか、友達とか石ころみたいな顔面の人で練習することをオススメする。
面接官をしてて思うが、運もめちゃくちゃ大事だ。私は体調悪くて大事なところを聞き逃してしまったり、学生時代の部活が一緒だったから訳もなく気に入ったりすることがある。すごく良いけど昨日面接した人の方が良かったからごめんなさいだね、とかあーすっごい顔面がタイプ、もそう。ともあれ、仕事なんて楽しくやりたいので、面接という短い時間すらも楽しませてくれる人は、魅力的だなあと思う。
面接は恐怖を感じる場ではない。面接官は敵ではない。これから面接する人は、好きな人とのデートだと思って場を楽しみながら自分をアピールしていってほしいと思う。
でも一つだけ。顔面が広瀬すずだったら、あのときどれくらい内定取れたのかな…それはちょっと気になる。