弟子は勝手に成長するが、師匠は一向に成長しない。
「ハシマ先生、お久しぶりです。松竹です。松竹リョウ(仮名)です」
留守番電話に入っていた声が名乗る名前は、随分と懐かしい名前だった。
でもその声には、懐かしさが感じられなかった。
僕が知っているリョウは、こんな大人の声ではなかった。
そりゃそうだ。
あの頃僕は二十代だったし、リョウも小学生だったのだから。
二十代の頃に数年間所属していた空手道場で、僕は子供のクラスの指導員をしていた。
あの頃の僕は底辺の舞台役者だったのだけれど、ある公演でいろいろやらかしてしまい、「もういい