AgustDを通じて自分の心を救いたくなった話
2023年6月2日、AgustDのD-DAY TOUR in Japanに行ってきた。
私はこの日の前日、台風が近づいていることは知っていたが
あれほどまでに関東も暴風雨になることを知らずにいたので
仕事でお客様から「明日は雨と風すごいらしいから本当に気をつけるんだよ!」
と言われるまで、え?そんなことになってるんですか???状態だった。
天気よりも、6月2日の横浜の開港祭で夜は花火が上がるので
会場のぴあアリーナMM付近は大混雑で
私は果たして家に帰ることができるのかということばかり
数日間考えていたので、あ、花火ないかもしれないの?とプチパニック。
会場が比較的近所で家からのアクセスもさほど時間がかからないので
完全に気が緩んでいた。
当日暴風雨で空を飛べそうになるなんて思ってもなかった。
AgustDこと、BTSのSUGA(ユンギ)が日本入りした翌日、様々なメディアで
ユンギの姿が流れて、あ、いよいよなんだ。
と思ったら何故か涙が出そうになったが
当日にとっておこうと思って堪えた。
音源だけで聞き続けていたあの声を生で浴びる日がついにくる。
その前に当日のライブが始まるまでの道のりを記録しておきたい。
私の友達や家族があの天気の中、コンサートに行くんだとか言い出したら
なんで開催されるんだ!危ないだろう!と理不尽に怒ってしまいそうなほど
あの天気は狂っていた。でも中止になるかもなんて全然考えもせず、客観的に考えることもできない私も狂っていた。ただ私はAgustDに会いたい。あの音を生で浴びたい。それしか頭になかった。
今回はチケット1枚の当選だったので、一人で会場へ。グッズや特典を受け取ったら、開場までの時間はどこで潰そうか、みなとみらいにはよく行くけどランドマークタワーあたりはもう数年ぶりだし、路頭に迷っても迷惑をかける相手(同行者)もいないし、行き当たりばったりで過ごすか〜と思っていた。(どこまでも無計画)
でも朝から天気予報を見て少しだけ不安になったので、予定よりも2時間早く家を出て、ランドマークタワーを歩いてみて会場までの道のりを確認して、腹ごしらえをしてTwitterで「傘は意味ない!壊れるだけだよ!」という注意喚起を目にして、カッパを買うことを決意。身体は濡れたら拭けばいいけど、荷物は濡れたくない。
ランドマークタワー内のコンビニでカッパをGETしていざ、グッズ受け取りへ
と歩き出した瞬間突風でもう頭真っ白になりました。
なんだあれ、台風やばい(シンプルな感想)
カッパの中にしまい込んだリュックをギュッと抱えて全身ずぶ濡れになりながらなんとかたどり着き、まずFC特典の列に並ぶ。やっぱりおひとり様多いなぁと心強くなりながら、前の人に「QRコードの画面ってこれで合ってますか?」と聞かれてうんうんと頷きつつ、ここにいる皆、この雨風の中たどり着いた猛者たちかぁ。といろんな意味でワクワクしながら特典を受け取り、その直後に強風と雨が襲ってきたので慌てて特典が濡れないようにケースにしまって、次は反対側のグッズ受け取りの列に並ぶ。ペアで並んでる人も多くて、少し羨ましくなる。私も友達や、バンタンを好きなお客様を誘ったりしたかったな。と思いつつ、動かない列に並びながら四方八方から打ち付ける雨と風を浴びて笑うしかなかった。なんなんだこれ、台風やばい。
グッズを受け取っても開場までは3時間以上ある。また来た道を戻ろうかなと2階への階段を登り、向かいのビルまでの連絡通路を渡っていたら強風に煽られて止まれなくなり、そんな自分の姿がもう面白くなってきて「ヒィぃぃエェぇぇ」と変な声を漏らしながらただ風に押されてよろよろしている私を、見知らぬアミが風を避けている柱の影から手を伸ばして「こっちこっち!」と引っ張ってくれた。
私、あのまま風に押されていたらあと少しで
目の前の階段から落ちて大怪我をするところでした。
名も知らぬアミの方(アミの方?)、本当にありがとうございます。
これがドラマだったらラブソースイートが流れて恋が始まるところでした。
恋は始まらず、またも突風の中ぴあアリーナ向かいのドトールに行ってみたけど席数も少なめでレジは長蛇の列。そうだよね・・・。と即諦めてランドマークタワーに戻ることに。カッパを整えて信号が青になるのを見計らってビルからビルへダッシュ。
この日に一体何本の傘が折れる瞬間を見ただろうか。本当に危ない。
ランドマークタワーのHARBSに入って、
立ってるAgustD様でありますようにと願いながら
ラキドロを開封して、座ったSUGAさんも素敵!と思いながらケーキを待った。
(いいんです、私のところに来てくれたらどんなユンギでも)
特典のトレカとケーキを撮影したら、地方に住む友達と
台風やばい!台風まじやばい!的な本当に他愛もないやり取りをしながら
延々とセトリのプレイリストを聴いて、サウンドチェック始まったかな。と
ケーキを頬張りながら向かい側のぴあアリーナに思いを馳せた。
16時ー17時半ごろがピークで暴風雨が酷くて、
HARBSにいる、アミであろう人達も外をしきりに眺めては笑っていて
わかる、笑いしか出てこない。私本当にこの中を歩けるの?という笑い。
開場は17時半、その時間に行っても長蛇の列で雨風にさらされるし、
だからと言ってあまり時間が迫ってももしものことがあったら困るし・・・。
と17時40分にぴあアリーナに着けるようにトイレも済ませて出発。
さっきの突風が怖くて地上から会場に着くルートで向かうも
会場まではもう無我夢中、やっとの思いで会場についても
列の最後尾が見つけられずずっと雨風に打たれながら歩く。
途中で列に合流し、慌ててチケットを出してスルスルと会場内へ。
ドリンクとフードを購入していざ自分の座席へ
もう髪はボサボサ、膝から下はびしょびしょ。それでも全然気にならなかった。
だってやっとユンギに会える!
私は一人参加だったけれど、両隣はペアだったので、いいなーいいなーと思いながら
左側のお二人はどうやらアミではなく、Kポが好きな方達なのかな?という感じ
みんなが持っているアミボムを見て
「みんな持ってるけどどこで買えるんだろう」と会話しているのが聞こえた。
右側はアミお二人組。開始直前のミンユンギコールに小さな声でバンタンの
他のメンバーの名前もコールしたりしながら「つい言いたくなっちゃうよね」と
キャッキャしていて微笑ましかった。
だんだんと高まる会場のボルテージが空気で伝わって
ついさっきまで暴風雨の中にいたことなんて綺麗に忘れていた。
家で何度も整えた髪もボサボサだし、雨でふやけた足の指はサンダルで靴擦れしていたけど、そんなことももうどうでも良かった。
大きなスクリーンに映るVCRや、鳴り響く音響、
地鳴りみたいに空気が震えるほどの歓声のなか、AgustDが現れた。
そこからはもう、本当に無我夢中。全身の水分が蒸発してるんじゃないかと
思うほど、圧倒的なステージに魅了されていた。
会場で購入したレモンサワーは前半が終わる頃には飲み干してしまって
持ってきていたお茶でも飲みたかったけど
今目の前にいるユンギから目が離せなくて、このまま干からびても良いやと
思いながら歌って叫んで跳ねて、時折見せるあの可愛い笑顔につられて一緒に笑った。
音楽の専門的なことはわからないし、評論家じゃないから何も評価もできないけど
生のバンド、曲ごとに形を変えるステージ、目まぐるしく変わる演出、
このアリーナを丸ごと一人で掌握するミンユンギの魅力に文字通り圧倒されていた。
風邪を引いているとか、咳き込んだり、体調が万全じゃないとか
正直全然気にならなかったし、彼はどこまでもプロだった。
むしろ体調が万全だったらさらにこれを凌駕してくるってこと??
とちょっと恐ろしさすら感じた。
年に何公演も色んなアーティストのコンサートに行く私だが
そのどれもがそれぞれに素晴らしくて、楽しくて心に残ってはいるけれど、
これまでの人生で身体中の水分がなくなるんじゃないかと思ったほど
楽しんだ公演は、このライブの前には1つだけ
10年以上前に参加した日産スタジアムでの、あるアーティストのライブだった
夏の終わりに、時間も忘れて飛び跳ねたあの楽しい時間は
未だに思い出しては、人生の中でも貴重な経験だったし
なかなか今後経験できないかもしれないと懐かしく思っていたものだけど
今回のAgustDのD-DAYの公演があの時よりも10年以上歳を重ねてもなお
足の疲れも忘れて、普段の生活で起こる様々なモヤモヤも
これからの未来に感じていた正体のわからない不安や不満も
全部吹き飛ばすような魂の昂りを私にくれた。
きっとまた次に会えるときまで、私の人生の糧になる。
大袈裟に聞こえるかもしれないし、もちろん記憶はどんどん美化されているだろう。
それは否定しないし、あの日あの場にいた人が
必ず同じように楽しめたわけではないと思うけど
私にとっては本当に特別で、最高で、この上ない幸せな夜だった。
一人で参加したこともあって、レポで楽しい気持ちを共有したかったけれど
掛け声のことや端々で色々な有象無象がうごめく巨大なファンダムの
たくさんの感情を目の前にしたらちょっと眩暈がしたので
レポを探すのはやめた。部活みたいになってるのもなんだか苦しかったし、
SNSとは程よい距離感が必要だし、タイムラインは自分で作るもの。
残りの2日は私は仕事だったのでどれも観ることはできなかったから
ライビュやオンライン配信を見た人たちや、2日目3日目に参加した人たちが
どんな初日を想像したかはわからないけど
6月2日のあの夜、ただただ最高に幸せな人も沢山いたんだ。
少し掛け声のタイミングの合わない瞬間ももちろんあったし
自信がなくて声がだんだん小さくなってしまう会場の雰囲気すらも
私はなんだか愛おしかった。何より、ユンギはとっても楽しそうだったよ。
ライビュも配信もされていない初日の様子はどこにも映像が残っていないから、
たくさんの人が知ることはできないかもしれないけど
公演直前のアミボムが一斉にライトアップされた瞬間の
会場の感嘆のどよめきに思わず鳥肌がたったり、
舞台から見て左側の2階スタンドから会場全体を見渡した時の綺麗さや
ぴょこぴょこ飛び跳ねて揺れるアミボムの方に
自然と足が向かうユンギさんの後ろ姿がとんでもなく可愛かったり
手に持ったドリンクを少しだけ上に上げて
舞台後方に移動しながら小さな声で「カンパイ」と日本語で
言ってくれたユンギさんに心で「カンパイ!!!」と思いながらキュンとしたり
隣のKポ好きなお姉さん二人が
「斬新なステージだな・・・。歓声もすごいし、格好良いし。」
とだんだん声も大きくなって、アミボムの代わりに両手を上げて曲にのるのを見て
アミ以外が見ても楽しくて格好良いでしょう!?と謎の自信がついたり笑
何より、舞台に立つミンユンギは最高に格好良くて、綺麗だった。
AMYGDALAの時の会場全体の一体感が忘れられない
ユンギの声もよく伸びて際立っていたというのもあるけど
あの会場全体からの祈りのような、願いのような、叫びとも違う綺麗な声は
AMYGDALAの歌詞に相まって、私にはとてもヒーリングになったというか
私にも私自身の心を救うことができるのかもしれないと
思わせられた瞬間だった。
↑AMYGDALAの公式MV(年齢制限あり)
どんなコンサートも誰にも平等ではない、チケットも自力で頑張れば
確実に取れるものでもないし、人気が高くなれば値段も高くなるし、
抽選自体も、ずっと当たり続ける人もいればずっと外れ続ける人もいる。
参加したとしても感じ方も違うし、その日の体調も違うし、
あの悪天候で会場に辿り着けなかった人もいる。
あの会場で楽しめなかった人もいるし、ただただ楽しかった私のような人もいる。
それをただ大きな主語でまとめないで欲しい。勝手にジャッジしないで欲しい。
私はミンユンギ本人ではないから、何もわからないけど
楽しそうに公演する彼につられて一緒に楽しくなった私は
また彼とあの空間を共にしたいと強く思うし
何度も何度も伝えてくれた「次に日本に来るときは7人一緒に」という言葉を胸に
ままならない日常をなんとか乗り越えてその日を待ちたい。
日本に来てくれて、最高のステージを体験させてくれて
本当にありがとう。どうかまた会う時まで
お互いに心身ともに健康でいましょう。