「黒革の手帖」本を読んだ感想
「黒革の手帖」松本清張(著者)
松本清張は、火曜サスペンスのようなドロドロしたクラッシックサスペンスのイメージが強く、手を出したことがなかったが、この作品はその想像をいい意味で裏切ってくれた。
読み始めは「ああ、銀座の夜のドロドロした話ね」という印象だったが、読み進めるにつれて「ん?医者の脱税や人工中絶、裏口入学などの社会の闇がテーマなのか?」となり、最終的には「男と女の欲望の物語か」と表情を何度も変えていく内容だった。
主人公の元子は自身の成功のため、プライドを傷つけられた仕返しのために、人の弱み「黒革の手帖」を用いてつけ込んでいく。そのやり方は効果覿面であるのは間違いないが、そのやり口は人の恨みを買ってしまう。やはり避けるべきなのだなと考えさせられた。
人の恨みは恐ろしい。