「銀行総務特命」本を読んだ感想
「銀行総務特命」 池井戸 潤(著者)☆3.5
帝国銀行で唯一行内の不祥事処理を任されていたし指宿修平を主人公とした短編集。顧客名簿流出や行員のAV出演疑惑、幹部の裏金づくりなど、様々な不祥事に指宿は立ち向かっていくのだが、ほとんどの短編が事件の真相を暴いたタイミングで物語が意図的に閉じられる。その後の物語というか、暴いたことによってどうなったのかが描かれないのだ。巻末の解説にもあったが、読者の想像に任せる感じなのだろうか。
池井戸潤の初期の頃の作品らしいが、キレッキレの文章はこの頃からのようで読んでいて気持ちがいいし、時には銀行員というものに切なさを感じる。続編が出てるなら読んでみたいと思った。