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元教授、大阪駅でヨーロッパの鉄道旅を思い出す(その4、アイスワインとの出会い):定年退職20日目

アイスワインに関しまして、前回は話を始めたところで終わってしまいましたので、今回はその魅力をじっくりお話ししようと思います。ただ、私は専門家ではないのであくまで素人目線の話です。


ドイツの某化学会社にはワイナリーとレストラン(写真)が併設されていました。共同研究の打ち合わせを終えた後、そこで早い夕食を楽しんだ際に、ドイツワインを何種類か出していただきました。その中でも特に印象的だったのがアイスワインでした。名前だけ聞きますと冷やしたワインを想像しましたがw、実際には食後にチーズやデザートと一緒に楽しむとのことでした。それは、ワインとは思えないくらい甘くて、とても飲みやすいものでした。

どこかで飲んだことがある、そうだ、これは貴腐ワインだ!

と、フランスのボルドー近郊でいただいた貴腐ワインを思い出し、「フランスで飲んだことがあります。フォアグラと一緒だと美味しいんですよね(注1)」と知ったかぶりで話したところ、何と作り方が全く異なるとのことでした。先方の化学者魂に火が付いてしまったようで、それからアイスワインの作り方に関する説明が熱心に始まりました。


その内容はとてもリーズナブルなものでした。アイスワインはドイツとカナダともう一つどこかの国が三大産地で、そこでしか作れないとのことでした。少し科学的に説明すると、ブドウが完熟している時に急に零下の温度(-7 ℃)になるとブドウの水分だけが凍結し、残りの果汁(甘い部分のみ)が濃縮されます。そして、それを用いてアイスワインは作られるのだそうです。すなわち、この製造には厳しい気候が必須で、ブドウの収穫の時期に急に低温になるドイツやカナダでないと作れないのだそうです。私が以前飲んだ貴腐ワインとは作り方が違うとのことでした。


話が飛んでしまいましたが、とても懐かしい思い出です。当然、帰国前にはお土産としてそのアイスワインを購入し、大学の研究室のコンパで学生たちに振る舞いました(当然、教えてもらった蘊蓄も披露しました)。彼らも科学者の卵ですから興味津々でしたが、説明途中であっという間に飲み干されてしまいました。

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注1:フランスのボルドーでの学会のエクスカーションでサンテミリオンという観光地に案内されたことがあり、現地の名物のフォアグラ料理を皆で堪能することになりました。フォアグラは日本で一度食べたことがありましたが(もちろん美味しかったのですが、なんせ高かった!)、それよりも驚くほど柔らかく、その風味に感激しました(しかも安い!!)。そして、その食事の最中に地元の教授から「騙されたと思って、甘い貴腐ワインを合わせてみて」と提案され、(最初は違うワインを選んでいたのですが)思い切って注文を変えてみました。私も貴腐ワインはデザート用と思っていたので正直期待していませんでしたが、驚くほど素晴らしい相性でした(それぞれの味のマリアージュというのでしょうか・・・美味しかったです。表現が乏しくて申し訳ありません)。皆さんもよろしければ、この組み合わせをどうぞお楽しみください。

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