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元教授、トム・クルーズの映画で「英語の前置詞」を習う:定年退職90日目

私がトム・クルーズを初めて知ったのは、1986年の映画「トップガン」でした。彼の若さが炸裂するような、爽やかなアメリカ映画らしい作品で、当時、大学院での研究に没頭していた私は、とても眩しく強い憧れを抱いたことを覚えています(下写真、注1)。

1986年の映画「トップガン」より、トム・クルーズ(注1)


トム・クルーズは、ハンサムで若々しい俳優でしたが、それゆえに俳優としての個性を確立するのが難しいのではないかと感じていました。しかし、その後も彼は次々とヒット作に出演し、私は「レインマン」(1988年)、「ア・フュー・グッドメン」(1992年)、「ザ・エージェント」(1996年)などを観ました。彼の役柄は徐々に渋い二枚目になっていきましたが、ある時期を境にアクションシーンもこなすようになりました。


その代表作が、世界的に有名なスパイ映画「ミッション:インポッシブル」シリーズで、現在第7作まで続く人気作品となっています。最新作では本人によるスタントなしのバイクアクションが話題となりました。彼はこのシリーズで、まさにハマり役と言える役柄を掴んだと思います。

「ミッション:インポッシブル」の第1作目 (1996年) で印象的だったのは、トム・クルーズ演じるイーサンが天井から吊り下げられながら MD でデータを抜き取るシーンです。そのアクロバティックな動きや緊迫感が見事に表現されており、今でも鮮明に覚えています。また、当時フロッピーディスクしか知らなかった私にとって、MD という新しいメディアや最新鋭のセキュリティシステムは新鮮な驚きでした。


さて、今回お話ししたいのは、シリーズの第5作目「ローグ・ネイション」の冒頭シーンです。実は、そのシーンは私より奥様の方が気に入って何度も観ているのですが、私も一緒に楽しませてもらっています。それは本編ではなく、タイトルが出る前の一部分です。イーサン(トム・クルーズ)が離陸直前の飛行機にしがみつき、仲間のベンジーに遠隔操作で飛行機の扉を開けてもらうシーンです。

このシーンで興味深いのは、イーサンの位置を示す前置詞のやりとりです。最初本部からマイクで「何処にいるんだ?」と聞かれたイーサンは、「by the plane」と答え、飛行機の近くにいることを示します。すると本部から「in the plane か?」と、すでに飛行機の中にいるか尋ねられ、「違う、on the plane だ!」と返し、飛行機の上(そして横)に張り付いている状態を伝えます(下写真、注2)。

「違う、on the planeだ!」状態(注2)

この「前置詞だけで状況を伝える」やりとりが、英語らしく面白いのです。特に、最後の「on the plane」の「on」は、通常「〜の上に」と訳されますが、ここでは接触を示す前置詞で、「〜にくっついている」状態を表しています。例えば、ハエが壁や天井にとまっている場合は、「on the wall」や「on the ceiling」と表現します。映画からこんなふうに学ぶのも楽しいものです。


映画では、ベンジーがなかなか目当ての扉が開けられずに苦労しますが、最後には無事に扉を開けてイーサンが飛行機の中に潜り込み・・・気になるその後の展開は、どうぞ本編をご覧になってお楽しみください。ネタバレになる前に、この辺で失礼します。

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注1:BS 12 ホームページより
注2:BS 103 プレミアムシネマでの画面より




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