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2022.05.17(火)

 早朝。渋谷の吉野家。人目を気にせず大喧嘩をするカップル。男性曰く「普通に口の利き方に気をつけろよ!普通にいっつもムカついてっから!普通に!」そんなに腹が立つなら怒鳴らないでとっとと別れればいいものを、それはできずに傷つけあっている様子が味わい深い。ロマンチックな朝。

 昼過ぎに空気は湿り、予報になかった雨が降る。

 四ツ谷を車で通過する。赤坂迎賓館前はバイデン大統領の来日を控えて、大勢の警察隊が予行演習をしている。米国大統領来日ともなると5日前から物騒。
 ウクライナ侵攻で不安定なロシアとの外交から北方領土返還の糸口を模索している今、米国と緊密な姿を国際社会にどれほどアピールできるか、とかなんとか。知らんけど。日本政府の気合いの片鱗を伺えたような気がした昼下がり。

 仕事終わりに上司とラーメンを食べる。近ごろ食べすぎである。自制心を持たねばただの豚だ。豚にはなりたくない。 
 でも「よく頑張ってくれたからご馳走するよ」と言ってくださるご厚意を無下にする人間にはなりたくないじゃないか!だから食べる。豚であることを甘んじて受け入れる。人懐っこい豚は可愛いじゃないか、と自分に言い聞かせる。

 電車の改札口で別れを惜しみ抱き合う男女が目に止まる。手を繋ぎ、抱き合っている。男性は女性の髪に顔をうずめ、女性は甘えるように見上げる。
 僕は目線を下げる。男性の股間がモッコリしてるのに気がついた。その股間を女性の太ももに擦り付けていた。あれは絶対に女も気づいてる。
 「セックスしたい」を「帰りたくない」に換言する二人。自分の欲望をチラつかせ合っている。見応え抜群。理性と欲望の間で揺れる人間の表情は豊か。草葉の陰でずっと見てられる。

 最寄駅に到着。終電近く。
 夜道でパトロール中の警察車両とすれ違う。法定速度でゆっくりと人気のない夜道を走る姿が、街を舐め回し犯罪者を探すように見えて、なんか下品。
 例えば世界に犯罪がなくなったら、彼らの存在意義は相当薄れる。警察官は犯罪者がいるから、正義の味方でいれる。だから程よい頻度で犯罪者を見つけたいんだろうなぁ、とか思う。
 いやいや、警察官はいるだけで犯罪の抑止になっているんだよ。平和なのは警察官がいるからだよ。って言い分。これは最強。この盾があれば警察は夜道をドライブしてるだけで、正しいことをしてる快楽に浸れるもん。それは気持ちいい事でしょうね。とかなんとか、青くさいことをぼんやり思う真夜中。

 夜空には月が浮かんでいる。薄曇に覆われてぼやけている。おぼろげ。

 俺はコンビニで買った飲むヨーグルトを口にする。1日分のカルシウムと鉄分を摂った気になる。

 明日もきっといい糞になる。

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