どの子も書けるようになる読書感想文の書かせ方
基礎学力が気になる子でも読書感想文が書ける「山田式読書感想文指導法」の修正版を紹介します。
次の手順で書かせます。原稿用紙二枚程度を想定しています。
1 主題の明確な共通教材を読ませる。
2 話の中で一番心に残ったことを書かせる。 200字程度
3 2で書いた内容に似ている自分の体験を書かせる。 400字程度
4 1と2を比べて考えたことを書かせる。 200字程度
5 本を読んで得たことやこれからどう考えていきたいかを書かせる。
1~2文程度
1 主題の明確な共通教材を読ませる
読書感想文の書かせ方を理解させるために最初は共通教材で取り組ませます。
高橋桂子氏は『朝日作文コンクール「子どもを変えた親の一言」作文25選』(明治図書)に収められている「努力のつぼ」を共通教材で読ませています。
この作品は「努力」という主題が明確で、読書感想文指導にうってつけです。最初の指導にはこれがいいと思います。
主題が「協力」「感謝」「友情」などと二字熟語で明確に示せる作品がよいのです。
2 話の中で一番心に残ったことを書かせる
ここからは書く活動です。次の書き出しで書かせます。
「この作品を読んで一番心に残った場面は、」
この後の文には一番心に残った場面を原稿用紙に描写させるようにし、自分の感想や意見は極力書かせないようにさせまる。その際、できるだけ「主題」に関連する場面を取り上げるようにさせます。
例えば、次のように書かせます。(わかりやすくするため「浦島太郎」を例に取り上げています。主題を「誘惑」としておきましょう。)
この作品を読んで一番心に残った場面は、浦島太郎が誘惑に負けて乙姫様との約束を破り、玉手箱を開けてしまった場面だ。その結果、浦島太郎は年寄りになってしまった。
3 似ている自分の体験を書かせる
まず、書き出しを指定して書かせます。
「ぼくはこれと似た体験がある。」
この後、2で書いた「一番心に残ったこと」と似た自分の体験を書かせることになります。「似た体験」とは「同じ主題の体験」というふうに考えます。浦島太郎のように年寄りになった体験の持ち主などいるわけがありませんよね。浦島太郎のように「誘惑に負けて失敗した体験」を書くようにするのです。これなら書けます。主題が「努力」であれば、自分がこれまでに努力してきた体験を書かせればいいわけです。
例えば、次のように書かせます。
ぼくはこれと似た体験がある。
弟が、
「これは絶対に開けてはいけないよ。」
と言って置いていった箱があった。ぼくはどうしても開けてみたくなり、弟がいないうちにそっと開けてみた。
すると、中から何かが飛び出したのだ。ぼくはびっくりして飛び上がった。なんとその箱は弟の作ったびっくり箱だったのだ。
4 1と2を比べて考えたことを書かせる
こうして「作品を読んで一番心に残ったこと」と「自分の体験」が書かれました。次はこの二つを比べて考えたことを書かせます。書き出しは次のようにします。
「主人公と自分の体験を比べてこう考えた。」
「努力」という主題であれば、本の主人公の努力と自分の努力を比較させます。その結果、どこが似ていてどこが違うのか、その共通点や相違点についてどう考えるのかを書かせていきます。
例えば、次のように書かせます。
浦島太郎と自分の経験を比べてこう考えた。太郎もぼくも誘惑には勝てなかった。だけど、誰だって「見るな」「するな」と言われるとやってみたくなるものだ。ぼくも浦島太郎もよく似ている。
5 本を読んで得たことやこれからどう考えていきたいかを書かせる
最後に読書感想文のまとめとして本を読んで得たことやこれからどう考えていきたいかを短く書かせます。
これからは誘惑に負けない強い自分になりたい。
以上の手順で書かせることで、本来よくあるような「粗筋」にちょっぴりの「感想」を付け加えたような読書感想文から脱却できます。
しかも、書き方・書くことが明確なので誰にも書くことができます。
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