エッセイ:春めいてきた
早めに職場を出た金曜日。ぶらぶら寄り道をしつつ帰りながらあれこれ考えたので、書いてみようかなと。
ほかの地域はわからないけれど、少なくとも私の住んでいるあたりはずいぶん春めいてきた。今日も職場で、開け放した窓から入ってきた風がなんとなく「春の風」に感じる。
春っぽい風、とか、雨の前の空気感、とか、人間はどうやって感知しているんだろう。人類に残された野性味みたいなものなのか。
よくわからないけれど、ふとしたときに「あ、春」と感じて、それがちょっと嬉しい。
小さい頃、春になると祖母と散歩に出かけて、つくしを採って帰ったことを思い出す。よく洗って、みそ汁に入れたり炒め物にしたりしたっけ。つくしの美味しさはいまだに理解できないけれど、春を食べているみたいでわくわくしたのを覚えている。
ちなみに、学生の頃はいちばん好きな季節は夏だった。理由は簡単で、夏休みがあるから。あと、クーラーの効いた部屋や、早朝や夕方のちょっと涼しい感じも好き。
でも、近年の夏って笑えないレベルで暑い。去年なんて災害レベルの猛暑だった地域もあるのでは。それに、早朝や夕方も普通に暑い。
夏は好きとか嫌い以前に「危険」だ。
冬は普通に寒いから苦手。小さい頃は雪が降るとはしゃいでいたけれど、社会人になってからは交通機関の心配をしないといけないから大変だ。ほとんど雪の積もらない地域なので、急に降ったり積もったりしたときの対応に慣れていないのだ。
そんなこんなで、最近は春や秋の方が好き。秋はちょっとおセンチになるから、やっぱりいちばん好きなのは春かな。
ただ、好きだけど服装に悩むのも春や秋である。
春めいてきたといえども、朝晩は冷える。朝早く家を出るから、その感じで服を選ぶと昼間が暑い。今日もそうだ。生地も色も「冬!」な上着を着てしまい、帰り道はごわごわするそれを腕に掛けて歩くはめになってしまった。
服を選ぶ、って、よく考えるとめちゃくちゃ難易度が高い行為なんじゃないかと思う。
だって、その日の気温を考えて、TPOも考えて、自分に似合うものを考えて(骨格やらカラータイプやら取り入れようとすると、もう大パニック)、なおかつそれを朝の短時間にこなさなければならない。
いや、無理。
大人も制服が欲しい。
夏服と冬服の移行期間だけ悩めばよかったあの頃が懐かしい。
AIも発達してるんだったら、小説を書いたり絵を描いたりしてないで(そういうことは人間に任せてほしいし、私は基本的にはAIが創作するのはなんだかなぁ、と思う派。人それぞれでしょうな)、毎朝私の服を決めてほしい。
「矢口サン、今日のセットはこれ!」
みたいな。
もしかしたら、そういうものってもうあるのかもしれないけれど。
画像は去年の河津桜。
今年はまだ見に行っていない。
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