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ちくわドリーム
先日の話。
三連休の初日にふさわしいランチは何かと私は考えていた。三連休の初日とはすなわち、喜びの象徴である。そんな日にぴったり、特別感のある、それで尚且つあとの二日にも希望を持てるような。そんなランチは。
炊飯器や野菜室を覗き、小一時間考えた結果、記念すべき三連休初日のランチはオムライスに決まった。だっておいしいじゃん。
オムライスが上手にできた日は、それはもう幸福な一日だ。その日のすべてが成功したと言って良い。最後の薄焼き卵をのせるところ(とろとろよりも、しっかり派なので)、ほとんどフライパンのテフロン加工ガチャとも呼べるあの行程がうまくいけばオールオッケー、大成功だ。うまくいかなくてもそれは私ではなくフライパンの責任なので、「おいおい、買い替えちまうぞ、良いのかい?」とフライパンに圧をかけて、あとはおいしかったら大成功だ。
人を幸せにする調味料、ケチャップ(と、私は隠し味?にお好みソース)を入れたらそれなりにおいしいので、ほぼほぼ幸せが約束されたメニューである。
冷蔵庫を開けた私は、自分の失態に気がついた。ウインナーがない。細かく切ったウインナーを入れたかったのに!
どうする?メニューを変えるか?
しかし、あらかた玉ねぎをはじめとした野菜はみじん切りにした後だし、もう完全に「オムライスの口」になっている。
そこで目に留まったのは。
ちくわ!
君に決めた!
代打、ちくわ。
ウインナーではないが、大きく分ければたんぱく質なので問題ない。そもそもちくわはポテンシャルが高い。焼いても煮てもそのまま食べてもおいしいんだから。
あとは、オムライスの他の材料たちと馴染めるか?がいちばんの課題だ。
ちくわの穴など無かったかのようにみじん切りにし(アイデンティティを奪ってごめんね)野菜や米たちと一緒に炒め、卵でくるむ。
テフロン加工ガチャに成功したので、めちゃくちゃ綺麗にできた。
そして、お味は…。
完璧だ!
ちくわは、オムライスに馴染んでいる。言葉を選ばずに言うと、存在感が消えている。オムライスの邪魔はせず、満足感を与えてくれる。なんて優秀なのだ、ちくわとは!
ちくわとは、すなわち希望、そして夢。
ちくわドリーム。
ちくわは食卓を救う。
それはつまり、世界を救う。
ちくわを崇める運動でも始めましょうか。
嘘ですけど。