
食事・飲酒の指導における私のスタンス 食べたいものを食べ、飲みたいものを飲め
科学の発展とともに、がんや糖尿病など、さまざまな観点から「健康に良い食事」「健康に悪影響を及ぼす食事」についての研究が進んでいます。その結果、「これを食べたほうがいい」「これを食べないほうがいい」という食事に関する知見が徐々に明らかになってきました。
このnoteでは、話題に上がりやすい食事や食品について、エビデンスに基づいた見解を述べる予定です。
しかしながら、私の食事や飲酒に関するスタンスは次の通りです。
「食べたいものを食べ、飲みたいものを飲む。」
このスタンスを持つ理由について、2つの観点から説明します。
1. 人は幸せになるために生きているのであって、長生きをするために生きているのではない
食事や飲酒は、単なる栄養摂取や水分補給ではありません。それらは人間関係や文化、そして人生そのものを豊かにする重要な要素です。運動をしなくてもマイナスの影響がそれほど大きくない場合が多いですが、食事に関しては「何かを食べない」という制約を課すことで、明らかに生活の質(QOL)が低下することがあります。
食事は人間関係の潤滑油でもあり、食事や飲酒を制限することは、人とのつながりにおける喜びや楽しみを奪う可能性があります。また、食文化はその土地の歴史や風土、人々の生活を反映した貴重な文化遺産です。そのため、食の多様性を制限することは文化的な豊かさを損なうことにつながります。
人生には嬉しいこと、悲しいことなど、さまざまな出来事があります。そして、美味しい料理やお酒は、そうした人生の節目を彩る大切なエッセンスです。
私は、たとえ赤身肉が大腸がんのリスクを高めるとしても、ステーキを食べたいと思う方が食べることは問題ないと考えています。また、お酒についても、食道がんや咽頭がんのリスクが増加することが知られていますが、飲酒がその人の生きがいであるならば、無理に制限する必要はないと考えています。
2. 食事や飲酒に関する医学研究は、「食事や飲酒をしないことによる生活の質(QOL)低下」を測定していない
例えば、先述した赤身肉や加工肉は、大腸がんのリスクを上げることが複数の学術論文で示されています。しかし、多くの研究は「がん」と「赤身肉・加工肉」の関係性を調べるだけであり、それらを食べなくなった際のQOL低下については測定していません。仮に、ステーキの摂取を制限して大腸がんのリスクを下げることができたとしても、大好きなステーキを食べられないことによって気分が塞ぎがちになってしまうのであれば、本末転倒だと感じます。
まとめ
もちろん、これからお示しする「がんになるリスクを抑える食品」や「がんのリスクを高める食品」に関する知識を参考にして、ある食品を積極的に取り入れたり、逆に制限することで心地よい生活を送れるのであれば、それがベストです。
繰り返しになりますが、食事や飲酒に関してストレスを感じるほどであれば、情報に振り回されて過度に生活を変える必要はありません。正しい情報を手に入れた上で、自分が心地よいと思える変化を日常に少しずつ取り入れていってほしいと思っています。
Xでも情報発信しております。フォローをお願いします!