【コンテンツドリブンかを意識する】スポーツの「顧客視点」とは何か?実際に取り組んだ事例から「顧客視点」を振り返る - 後編 -
こんにちは。佐藤奨(さとうつとむ)です。
スポーツの「顧客視点」とは何か?実際に取り組んだ事例から「顧客視点」を振り返るというテーマでの記事の後編です。
この記事は、これからスポーツは「商品」の視点、つまりは「顧客視点」で捉えた取り組みが求められている、という流れの中で、私が関わるスポーツビジネスでは「顧客視点」をどう捉え、取り組んでいるのか、実際に取り組んだ事例について触れた記事の後編です。
前編の記事
前編では、まず自分たちbb projectが「顧客視点」を考えるためにまず「現実」と向き合う「現実」を考えた上でできることは何か?を考えること「顧客視点」で考える場合、競技の押し売りになってはいけないというポイントで書きました。(活動の沿革はこちら)
それでは後編の内容に入ります。
目次
・「顧客視点」では「受動的」がキーになる
・「受動的」にするための「起点」や「接点」を創出する方法
1. SNSの運営やオウンドメディアに力を入れ情報発信基地へ
2.「写真」や「映像」の質を意識する
3. リアルイベントの実施
・「コンテンツドリブン」なコトを作ることが武器に
a. 競技場ではなく集まりやすい場所に出向く
b. ファシリティに依存しないパッケージ
c. 魅力で惹きつけできるか?つまりコンテンツドリブンであること
「顧客視点」では「受動的」がキーになる
前編でも触れましたが、私が関わる競技の場合で意識しているのは、「知名度」という尺度の中では、BMXを、サッカーや野球、バスケやテニスなどのように、すでに知られている競技と同じ打ち手が取りにくいです。
ほとんど知られていない状態から「競技」を知ってもらう時は、押し売りにならないようにする必要があります。
またスポーツをコンテンツと捉えると、「映画」や「音楽」と同じであり、「映画」の予告編や「音楽」などと同じように、完全パッケージされた内容じゃなく、小出しでも良いからそのスポーツに触れて知ってもらう視点が必要です。
中継がない「競技」を観てもらうには競技場に来てもらうしかないですが「競技」を知ってもらうには、必ずしも競技場に来てもらう必要がない。つまり予告編やCMで一部だけが使われる音楽などのように一部となっても知ってもらうきっかけが作れるわけです。
「受動的」にするための「起点」や「接点」を創出する方法
一番多くの方に「受動的」情報が届く方法は間違いなくキー局のテレビ中継となりますが、視聴率が大切なテレビでは、まだ多くの方に知られていない競技が中継をしてもらうことは非常に難しいです。
そうした自分たちでコントロールできないところだけに意識を傾けていると、一向にチャンスが巡ってこないことも起こります。
ゆえに自力で自分たちでファン獲得をして、自分たちのコントロールできる範囲の中で競技普及に向けた行動をする必要があります。
そのためにbb projectが競技を「受動的」に触れる「起点」や「接点」づくりのために取り組んでいることは大きく分けて3つ。
1. SNSの運営やオウンドメディアに力を入れ情報発信基地とする
2.「写真」や「映像」の質を意識する
3. リアルイベントの実施
それぞれ掘り下げると
・SNSの運営やオウンドメディアに力を入れ情報発信基地へ
これはSNSの特にfacebookの運営には、活動の当初よりかなり力を入れているSNSだと考えています。
今は、登録者は8000名を超えており、知られていない部類に入るスポーツの活動団体としては、かなり多くの方々に支持をいただいているのではないかと考えています。
SNSの運営やオウンドメディアに力を入れ情報発信基地とすることを意識しています。
・「写真」や「映像」の質を意識する
「写真」や「映像」に素材に力を入れるというのは、上記の1にも紐づくことですが、触れてもらうコンテンツの質が低いと、振り向いてもらうことが難しいのです。
(bb projectのinstagram)
特に各SNSの特性を知ることも必要ですし、動画の場合はSNSやYoutubeの特性も理解して、的確に情報を届ける必要があります。
ここでの動画の特性というのは、ユーザーの年齢や性別という特性だけでなく、利用者目線で考えることが必要です。
つまり、動画の配信を考えた時に、Youtubeは、どちらかというとファン向けなものとなり、SNS向けは、タイムライン上で、いかに指をとめてもらえるか?が求められる作り込みとなります。
Youtubeがファン向けになる理由は、検索するキーワードが明確な人や、チャンネル登録をしている方が集まる傾向になります。つまりYoutubeは(短期的には)新規ファン獲得にはそこまで向かない媒体になります。
SNSの場合は、動画は基本的に自動再生されますよね。そこがキモで、facebookやinstagram、Twitterのタイムライン上で、動画の自動再生によって受動的にコンテンツに触れてもらうことが可能なのです。
知らなくてもコンテンツの魅力があれば指を止めてもらえる。そのポイントが新規ファン獲得に向けて非常に効果的であると考えています。
3. リアルイベントの実施
リアルイベントの実施ですが、ファンが望むイベントの実施と新規で競技を知っていただくために行うイベントは意識を分けています。
掘り下げると、bb projectが行うイベントで意識しているのは「BMXや活動を支えてくださるファンの皆様に向けたもの」「まだぜんぜん興味がないけど興味を持ってくれそうな人を集めて行うもの」「全く無関心だけれども振り向いてもらうためのもの」3段階くらいに分けられると思っています。普及のためには全部必要です
今回は、上記3つのうちの後者の2つ、新規で競技を知っていただくため、新規ファン獲得のために行うイベントについて触れていきます。
新規で競技を知っていただくため、新規ファン獲得のために行なっているイベントは3つあります。
#空飛ぶチャリ AIR TRICK SHOW
アクティブキッズフェスタ(1万人を集める子供向けイベント)
Compact Bike Race(パンプトラック体験)
「コンテンツドリブン」なコトを作ることが武器に
上記のSNSやリアルイベントに共通することですが「コンテンツドリブン」なコトを作ることが非常に大切であると考えています。
つまりコンテンツとして魅力あるものを自分たちでつくるということです。
コンテンツを作る上で意識しているのは以下の3つ
a. 競技場ではなく集まりやすい場所に出向く
b. ファシリティに依存しないパッケージ
c. 魅力で惹きつけできるか?つまりコンテンツドリブンであること
a. 競技場ではなく集まりやすい場所に出向く
#空飛ぶチャリ AIR TRICK SHOW に関しては、JumpersStoreという団体と連携して実施していて、BMXやMTBのフリースタイル競技の一部分をショーとして見てもらうことを意識しています。
2018年はF1の発表会、Bリーグのハーフタイムショー、ショッピングモールの館内で実施するなども行うことができました。
(F1の発表会で行なったショーの様子)
アクティブキッズフェスタ(1万人を集める子供向けイベント)では、競技をあえて前面に押し出すことはせず、子供向けのファミリーイベントを形にして、たくさんのファミリーに集まってもらった中でBMXのショーや体験をしてもらって競技を知ってもらう順番で設計しているイベントです。
このアクティブキッズフェスタについては、以前にこちらの記事でも触れました。
こちらは、競技場で開催するBMXレースへの参加となると、敷居が非常に高くなることから、BMXレース日本代表の監督である三瓶将廣氏と連携してCompact Bike Raceという新しい競技を作りました。
Compact Bike Raceとは、BMXの普及が目的として作った競技ですので、参加可能な自転車は、BMXに特化せず、ママチャリでも参加出来る、凹凸のコースを利用した競技です。
b. ファシリティに依存しないパッケージ
BMXのレースや、フリースタイルの競技が出来る場所は、郊外の人が少ないエリアにありますから、競技会場に来てもらうことではなく、我々から人が集まる場所、集まりやすい場所に出向いて、競技を知ってもらうことを重要視しています。
さらに、出来るだけファシリティ(競技場など会場)に依存しないこと。つまり競技を知っていただくことが目的なので、競技会場での開催だけに依存しないでできるパッケージが必要です。
こうしたパッケージにすることで、Bリーグのハーフタイムショーや、ショッピングモールの中でもショーを行うことが出来、数千人の方々に競技に触れていただくことが出来たのです。
(ショッピングモールの中でショーを実施。)
c. 魅力で惹きつけできるか?つまりコンテンツドリブンであること
特に、#空飛ぶチャリ AIR TRICK SHOW に当てはまりますが、コンテンツドリブンであることを意識しています。
この分野においては、我々も仕事で連携をさせていただいているRedbullさんが圧倒的ですよね。
上述した #空飛ぶチャリ AIR TRICK SHOWを各地で行うことで、1年間に数万人の方々に、この競技の魅力に目の前で触れてもらうことができます。さらに、SNSを介して数百万の方々にショーに触れてもらえます。
魅力で惹きつけ、足を止めることが出来るコンテンツであることを意識しています。
これらの活動の波及効果の一つとしては、自前の運営施設である「YBP」の付近にあるムラサキスポーツ様(ラザウォーク甲斐双葉店)に、国内でも先駆けてBMXコーナーが出来たこと。
また、YBPの利用者も、2014シーズンに比べると、この5シーズンをかけて来場者が10倍に増えるなどの波及効果がありました。
まとめますと、bb projectが「顧客視点」で取り組むことは、BMXの普及活動では、相手側が競技を知らない可能性が高いことに向き合い、知られていないことを前提としたコンテンツの作り込みが大切です。
コンテンツを作る上で大事なのは、コンテンツドリブンであること。魅力で惹きつけ、街中で受動的にその競技に触れた人の足を止めることが出来ること意識してリアルイベントの実施に力を入れているというお話でした。
bb project WEB
BMXショー「AIR TRICK SHOW」