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「あなたと同じ命になれてよかった」

「あなたと同じ命になれてよかった」

その女の人は確かにそう言った。

本日のBGM:Idina Menzel "Show Yourself"

ぜひかけて、読んでみてくださいね;)

* * * *

泣きながら目を覚ましたのは初めてだった。「君の前前前世」の映画の主人公のようだった。ぼろぼろと、不思議な懐かしさ

「僕」は大海原の魚として産まれた。餌を求めて、方向はこっちでいいのかな?と不確かながらも、進んでいく。そのときから「彼女」は、僕の横を泳いでいた。

「僕」は次に鳥になっていた。そんなに飛ぶのが上手いやつじゃなかった。アヒルかカモか、そんなやつ。僕は、水面から飛び立たなくちゃいけない。彼女の声が聞こえる

「大丈夫。恐れずに。飛べることを信じて飛んで」

という意味のことを、イルカの言語のような通信方法で彼女は伝えた。

思い切って羽を動かす。パタパタ、少し浮いて、着水。

水に潜った魚となって、僕は気づくと実家の近所の生協へ徒歩10分のバス通りを、歩いている。車道の脇を控えめに通る細い歩道だ。

僕は確かに、オジサンの姿で、よろめいて、歩を進めていた。

隣には彼女が伴走していた。

いや、正確には僕も彼女も「わたし」だった。

僕らは表象しているかたちとしては魚だったり取りだったりしていたが、その内実は手をつないだ僕と彼女だった。

生協まであと数分、出光のガソリンスタンドにさしかかるあたりで、彼女と僕は残された時間がわずかだということに気づく。

「終わり」じゃない。でもおじさんの僕の方は、もうこの魚なりアヒルなりではあり続けられないのだ。

出光の角のあるT字路を渡り切ったあたりで、僕らの手はほどけてしまう。僕は次第に正体を失う。

彼女は、僕のヴィーナスは、別れ際に涙をこぼしながら、その美しい唇で言ったのだ

「あなたと同じ命になれてよかった」

その顔に満ちていたのは、悲壮感ではなく、慈愛だった。

薄れゆく意識の中で僕は気が付く

「スカーレットだ」

水面のパンくずとして漂うような映像があって、でもやはりそれは哀愁をまとってはいなかった。

次があることを知っていたから。

顕在意識に戻って、つまり目が覚めて、私は朝の暗がりの中、毛布に顔を半分埋めたまま、涙を流していた。

オジサンの僕を、彼女は最後まで抱きとめていてくれた。トロいからって邪険にしたりしなかった。歩を進められる喜びを、彼女は体現して凛としていた。

ありがとう、スカーレット。私の女神様。

いつか手を離さなきゃならない日まで、僕は泳ぎ方も飛び方も練習して、もっと上手になるよ。トロいけど、少しずつ、良くなる。

「善きことは蝸牛の速さで進む M.K. Gandhiji」

って先人も言っている。

* * *

それにしても、私の女神にとっての私という意識は、トロいオジサン、の表象なのか。しかも赤いジャージ着てたな……((´∀`))ワラウシカナイゼ

OK teeke Scarlett my dear. 

もっと本当の紳士に成長して、貴女をエスコートするんだからね。凛々しくて働き盛りでかっこいいやつ。

そこは時間も空間も点でしか存在しないのだから


”Every inch of me is trembling, but not from the cold

Something is familiar, like a dream I can reach but quite whole"

”なぜか懐かしい 震えてるの

不思議だけど いつか夢でみたような”


dream #Jan 5, 2020

Satomi Scarlett O.


ここまで読んでくださった方へ

こんにちは、はじめまして。貴重なあなたの時間を、わたしの創作を読むために費やしてくださり、ありがとうございます。

わたしは Satomi Scarlett Obataという名前で、創作をしています。PDD(広汎性発達障害)スペクトラム、つまり発達障害のグレーゾーン濃いめ(検査中)です。

周りが良くも悪くも見えず自己完結していた学生時代は「まじめな優等生」で「問題なく」毎日を過ごせていましたが、社会に出た途端、求められる「シャカイジン」になり切れず、先々で叱責され職を転々とし、自信を大いになくして次第に自分を閉じて行きました。

自分を閉じて感覚を鈍らせることが、鋭敏な感覚を疲弊させず世の中の不条理にも従順に生きていける、戦略だと信じたのです。それしかなかった、でも苦しかった。

そこから今、助けや情報を求め、知るという意思の力で、ようやく抜け出せそうな光が見えてきたところです。その過程で発達障害グレーゾーンのアイドルになりたいと思うようになりました(唐突w!)こんな不完全な私が、楽しく創造的に生きていたら同じグレーゾーンで支援のセーフティネットにかからない同胞の、希望になるのではないかと直感したのです。

その、トンネルから抜け出すために出会うべくして出会い、動員してきた方法や考え方――ホメオパシーや心と体の相互作用、コーチング、発達障害の勉強、英語教員としての仕事とそこからの発見等々――を織り交ぜて、情報発信しています。また、これらの経験を総合したサービスを個人で行うべく、準備を進めております。

もう少しで、総合メニューができるのでもうしばしお待ちください。もう、頭の中にはあって、機が熟すのを待っている。多分そんな破裂する直前の熟した木の実のような、じりじりした勢いを、今はお楽しみいただけたらと思います。

わたしの仕事が、必要な人に届きますように。

世界が一歩、楽園に近づきますように。

abduel, I am a servant to God.

Jan 31, 2020 追記

-satomi

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追追記

もっと本当の紳士に成長して、貴女をエスコートするんだからね。凛々しくて働き盛りでかっこいいやつ。

その前には、やっぱり、わたしのQueenを癒して満たさないと、ということを、裏ブログでこっそり書いています。それが統合されてきている。もうちょっと、並走させようかなと思います。立春ぐらいに、こちら(表)と統合する予定です。スカーレットは自由気ままで、矛盾をはらんだ存在です。ついていけないわ~って人や、嫌な人は読まなくていいからね!オジサン気が小さいから、文句は言わんといてくださいませ





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