すかーれっとの開拓

すかーれっとはかいたくする

少女時代が終わりを告げ
庇護者を失うと
寡婦の儀礼もそこそこに
ダンスホールに舞い戻る

すかーれっとは開拓する
Twelve Oaks   マグノリアの並木
焦土に種を撒き
材木を買い付け
悲観も感傷もさしはさまず
男性社会で馬車を駆り　財を成す

”わたしはいつでもタラに帰ることができる・・・・・・・・・・・・・・・・・・・”
だからこそかの女は盤石で
揺るぎなく
そこだけは譲らない・・・・・・・・・

スカーレットは開拓する
”にほんのあしが立つ土地さえあれば
わたしの揺るぎない礎”

すかーれっとはかいたくする
チャールズ・ハミルトンの形式的な短い婚姻も
フランク・ケネディの財産付きの優しさも
いらない
レット・バトラーの華麗で野心的で分厚い慕情も
たぶんいらない

かの女は心の中にタラを描ける
幾ら北軍に押収されても
かの女の精神はいつでも
安全基地に舞い戻って行ける

わたしは
子どもたちの心にタラを開拓する
さんすうもこくごもどうとくもそれからだ。

略奪されず窓に残った緑のカーテンを勝負服に
材木を仕入れ　こころゆくまで分類する　
自然乾燥の満を持して
体系化された天然木で
一生 末代　孫子の代まで
朽ちぬことなき
棲み家を建てる

すかーれっとは開拓する
時折　季節的変動にこうべをもたげながら
こやみなく　かい探る
その地のおぼろげな青写真を

すかーれっとは開拓する
スカーレットは開拓する

09AUG2024
-s.