アップダウンと食欲とお母さんのご機嫌、など
9月のはじめからぐわっと食欲が出てきて、4月に転職してからひと月に一キロずつ減っていた(言い換えるとげっそりしてた)体重が、クン、と上向き、ひと月半で2キロ近く増えた。私の体重は私のメンタルと一緒で著しくアップダウンが激しい。
減りまくっていたから上乗せできるタメがあったとはいえ、2キロはほっぺたやお腹周りに確実に感じられるウェイト。こんなの欲しくないのに、どうして、食べてしまうのだろう?
そもそも思春期の頃から、調子が崩れるのと前後して、食欲に変化が見られた。ひと月で+5キロも珍しいことではなかった。どうしてわたしはかように、食べることに救いを求めようとするのだろうか?
――くだんのナイトくんワークで、自分に問い合わせてみたので、そのやりとりを書いておきたい。
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まずは命名。
高3の夏、初めての渡米から現実の受験勉強に上手くランディングできなくて元気なさそうにしていたら、母が言う。「美味しいものでも食べて、元気出しなさい」。旬の桃を賽の目に切って(ちゃんと皮を剥いたやつだ。)、その頃流行っていたカスピ海ヨーグルトに浮かべて出してくれた。
今回もそうだ。実家で、「休みなさい」「地元のもの、いつもは食べれないんだから、食べてといたらいいんだよ」のお言葉に甘えて、「そうだよなぁ、普段は忙しすぎるのかも。ストイックすぎるのかも」と食べて休んでいた結果、それが最後の一押し、でぷくぷくした。
要は大事にされた結果なのだ:
命名「箱入りさん」
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わたし:はこいりさん、こんにちは。何してるの?
はこいりさん:ああこんにちは。ええとのぅ・・・まもっているのじゃよ。
わたし:まもっている?お腹の肉でわたしをまもっているの?
はこいりさん:ああー・・・そうじゃよ。
わたし:そうなんだー・・・何から、まもってくれてるのですか?
はこいり:そうさのぅ…だって、おぬし、おちこんだら、いやじゃろう?周りについていけなくてつらくて、どうしていいかわからないのはいやじゃろう?
わたし:・・・
はこいり:おちこまないように、だめな自分にならぬように、ふつうにできるのがおぬしなのじゃ。
わたし:・・・そうかぁー…、できないわたしを、かばってくれてたんだね。・・・肉で(笑)
はこいり:そうじゃ、そうじゃ(うれしそうに)
わたし:できない自分、人並みにできなくて受け入れられない自分は、確かに辛いもんなぁ・・・。…でもどうして肉なの?食に走っちゃうの?
はこいり:じゃって、そうすればおぬしのお母さんが喜ぶしの。
わたし:母!?
はこいり:そうじゃ。お母さんはお母さんの言うとおりにやっていれば、喜ぶ。反対に、お母さんの意にそぐわないことをすると、イライラしていろいろ言われる。
わたし:・・・そうだったし、今もそうだねぇ…。短い友達や彼氏を優先したりすると、何らかの嫌味が飛んできてヒエッてなるから、こないだの帰省も親友に連絡取らなかったんだよねぇ…優先事項があったとはいえ。機嫌を取ろうとは、しちゃうなぁ…
はこいり:そうじゃ。お母さんの機嫌は心身の安全に直結するからの。お母さんには機嫌よく居てもらわんと。
わたし:うーん・・・。(3歳ぐらいの記憶を思い出す)何でかお母さんをものすごく怒らせて、家じゅうを追いかけられて、日本家屋で回廊式になってる家をぐるぐる追いかけられて、最後に階段からダダダって降りて来てる上からカセットテープが四方に10枚ぐらいずつ入るプラスチックの四角いケース投げられて、角ばってるし重いしちゃんと当たって、痛かった。あれ、覚えてるけど感情が抜け落ちてるんだよな。
はこいり:うーむ、あれはかなり、こわかったのぅ……!お母さんは怒らせちゃいかん、と身を以て知ったとはあのことじゃ。
わたし:うんうん・・・。・・・でもね、はこいりさん。
はこいり:なんじゃ?
わたし:わたしも母になって思うんだけど、自分の機嫌は自分で取らないといけないなって思うんだよ。子どもにイライラで自分の意のままに扱おうとしてるんだな、幼いなって、自分でも思って、今はそれをどうにかしたくって、がんばってるんだよ。
はこいり:ほうほう。
わたし:イライラはね、子どもだけから来るものじゃないの。パートナーとの関係性とか、自己実現みたいな、職場や社会での人間関係とか、そういうものの難しさから、心のHPみたいなのがメンテされてないときに、最後に一番感情的に身近にいる子どもが、ひきがねを引いてるに過ぎないの。
はこいり:なんとな。おぬしのせいじゃなかったのかの。
わたし:うん。そうだと思う。お母さんも、確実に今で言うHSD特性をもってるし、同じくコミュニケーション上の特性をもってるパパが夫で、時代も時代だし、決して思い通りの理想的な状態で、母親業をやってたわけじゃないと思う。専業主婦でクローズな状況で、情報も今よりない分、そこは大変だったのかな・・・でも、地域や親戚関係がもっとあって、そこは助けだったのかもしれない。
でもそれは、お母さんの人生であって、わたしが機嫌を取らなくっても、いいんだよね。今は大人同士、人間として失礼のないように、でも自分の人間関係や感情は、それはそれとして、優先させることがあってもいいんだよ。母を一番にしなくても、いいんだよ。そうしたかったらしてもいい。でも、それでわたしの心身の生死が決定することはない。わたしの心身を生かしておけるのはわたしだけ。わたしももう、39歳、大人なんだよ。大丈夫なんだよ。
はこいり:おぉ・・なんと。
わたし:それとね、はこいりさん。
はこいり:なんじゃ、なんじゃ?
わたし:お母さんがそうであったように、わたしはゆらぎのある存在なんだ。アップダウンがたくさんあって、しかも落差が激しくて、でもその落ちるところがあるからこそ、山頂や尾根道の景色は恐ろしく美しい。
はこいり:・・・
わたし:落ち込むのは、怖い?
はこいり:…いやじゃのう……できないこと、コントロールが効かないことは、嫌じゃのう…。できるって思われたいのぉ…。弱みを見せて集団から攻撃されるのは、嫌じゃ。
わたし:おお、そうなんだねぇ…。溶け込めないことで、小学生のとき、なんだかさんざん、仲間はずれにされたり先生からいやなあつかいを受けたもんね・・・できるって思われてれば、仲間外れにされないのかなぁ?
はこいり:そうじゃ。集団のものさしで、目に見えるもので、一つでもできてれば、そこで一目置かれる。自分の立場ができる。どこでもない、だれでもない(Nobody Nowhere)に、ならずに、すむ。
(ここで、Sejalが顔を出す。くりくりの金色の髪の、無邪気な女の子)
Sejal: わたしは、ちゃんと居場所のある人。所属。belonging. I wouldn't be lost; I belong. Worthy, loved, confident. How dare could you leave me? (She chuckles.)
わたし:なんだか、にぎやかになってきたね。
・・・ええと、つまり、集団の心理や雰囲気の読めないわたしは、何かに秀でてないと、そこでの居場所を失うように思っていて、それを確立せんがために、できる人になりたい。
はこいり:そうじゃ。
わたし:・・そうかぁー、うんうん、隙があったら、つけいられる感じがしてきたし、読めないのがバレないように、読めてるフリをせめて、してた方が、社会生活上、スムーズだったりもするんだよねぇ…。
でもさ、読めてるフリって、子どもたち見てると、気づくよね。ああこの子、頭に葉っぱ乗っけて化けてるけど、しっぽだけ化かすの忘れてしっかりバレてる、みたいな(笑) あれと一緒かもしれないね。
はこいり:なんじゃと・・・!?
わたし:うん、悲報だけど(笑) いくら装っても、私が読めてないことはすでに、職場の人にもバレてると思う。
はこいり:そうか・・・
わたし:集団の空気や暗黙の了解が読めてない自分て、だめなのかなぁ?読めません、教えてください。でもやれるだけやります、だと、無防備なんだろか?
はこいり:わからぬが、フリをするよりは、もしかしたら楽なのかも、しれぬのぅ・・・擬態は、疲れるのぅ…
わたし:そうだよねぇえ・・・。そしてねはこいりさん、わたし、繰り返すようだけど、ゆらぎがあるの。ゆらぎや感情の降下に、お腹の肉が加わると、さらにメンタルに来るっていうか(笑)
Sejal: I need myself to be pretty. I wouldn't budge or else.
わたし:そうなんだよねぇ…自身のあるわたしは、体重のゾーン外に出ちゃうと、極端に出づらくなるんだよねぇ…。そのあたり、またお話ししようか?Would you peak your head to poke my vulnerable heart Sejal? It needs constant poking by someone truly interested. It'd be fun and I'd paint the roses yellow.
Sejal: Teek.
わたし:はこいりさんも、今日はどうもありがとう。おかげで、いろんなことがわかったよ。また、お話ししようね。
はこいり:そうさの。
わたし:お茶でも淹れながらね。
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自分で自分をだいじにする、には、自分の凹んだ部分、病めるときもふくめて、抱擁してゆきたいなぁと思いました。
ここまでお付き合いくださった奇特な方、どうもありがとうございました。どうぞよい休日、もしくは一日をお過ごしくださいますよう。