あれから、

突然の、別れだった。



わたしは、当時とあるグループのファンだ。
いや、ファンとは言えないのかもしれないのでにわかファンだと言っておこう。

そのグループを知ったきっかけは、別のアーティストのヲタ友の紹介だった。

曲がとても良く、ダンスが揃っていて見ていてカッコいいグループだと思った。
そして、そのグループのメインボーカル、リードボーカルの二人の声がとても良かった。

言葉は、日本語で歌っていないので、正直意味は分からない。
けれど、そのグループがきっかけでK-POPの音楽に出会い、これいいな!と感じた曲を聴くことは今もしている。

わたしが好きになった、そのグループのメンバーは本当に唯一無二で心を揺さぶる声の持ち主だった。

そのヲタ友と共にツアーも何回か参加し、彼を含むグループのメンバー全員の人柄の良さを感じた。
そして、彼自身の素晴らしさも感じた。

パワフルで、でも可愛い。
心が繊細な感じで、感動してよく泣く人。
そんな彼の魂のこもった声に、わたしは涙した。


そんな彼がいなくなって、もう5年経ってしまった。

わたしの唯一の肉親を喪ってから、ほぼ半年後、突然彼は旅立った。
とてもショックだったし、何故彼が?という気持ちだった。

彼は、わたしたちなんかが想像する以上に、こころが繊細で葛藤していたのだろう。

「お疲れ様と言ってくれ。」

【その道】を選ぶことしか、楽になれる道がなかった。
それだけ、頑張って生き抜いたんだよね。

美談にしてはならない。
そのことは理解はできる。
けれど、こころが壊れてしまうと、【その道】に向かう為の準備や行動をしてしまうのも理解できる。

わたしは行動できていないだけで、ある意味彼の行動に羨ましさと尊敬の念を感じている。

……わたしは、いつ、そっちに踏み出せるだろうか。



あれから5年経って、この世は大変になったよ。
わたしは、いや、あなたのファンはあなたの遺してくれた作品をずっと聴いているよ。
それは、あなたがさまざまな葛藤を抱えながら生きた証であると思うから。

空の上で、好きな音楽を好きなだけ創ったり歌ったりしているといいなと思いながら、今年もこの言葉を届けます。

「本当に、お疲れ様でした。ゆっくり休んでください。」

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