見出し画像

⑯中学生デート

貴方とプラトニックなデートがしたい。お互いに触れ合うこともできないような、中学生みたいなデートがしたい。と、言った私の願いを貴方は叶えてくれた。八景島シーパラダイスで、水族館を回り、海の公園の浜辺で暮れていく海を眺めた。

私の地元は、その日のデートコースがど真ん中に位置していて、中高生の時、友達はみんな彼氏とそんなデートをしてた。
10代の頃はホントに奥手で、むしろ少しだけ男の子が怖くて、ボーイフレンドなんて夢のまた夢だった私は、制服で楽しそうにデートをするカップルが羨ましかった。
その時に出来なかったことを、敢えて貴方としてみたくなって、身体を重ねながら、プラトニックデートをせがむ私を、貴方は呆れたように笑いながら、「いいですよ」と言ってくれたのだった。

夏は過ぎていて、もう肌寒い季節。私たちの他に人はあまりいなくて、陽が落ち切ってしまうと、2人だけ取り残されたような空間だった。一日中、手も繋がずに、微妙な距離を保っていた私たちだったけど、最後に貴方は軽いキスをしてくれた。
私の地元に貴方がいることも非現実的だったけれど、身体で繋がっていたような関係の私たちが、触れるようなキスをしたあの瞬間は、まさに夢のようだった。

ただ、結局、プラトニックでは終われなくて、その夜も私は貴方に抱かれたっけ。
私の家はすぐそこなのに、2人してわざわざ中野の方まで帰ったんだ。
1時間半の道のりを、無言で。

海の公園には、故郷の香りと貴方の香りが潮の香りに混ざる…。

読んでくださるだけで嬉しいので何も求めておりません( ˘ᵕ˘ )