先日のペット病院でのLGBTカミングアウト(いい話)
実は7月、トメの体調が良くない日が続いてしまって、
いつもお世話になっている近所の獣医さんではなく、
少し離れた大病院に出向くことになった。
いつもの先生に紹介状を書いてもらって、
当初、僕とトメとで電車に揺られ行く予定が、
旦那さんの仕事のスケジュールの都合がついて、
2人と1匹で、炎天下の中、病院を目指した。
さて、受付で手続きをしていた時のこと。
ちなみにトメが病院にかかる際は、原則、僕が飼い主登録をする。
保険の名義も僕だし、トメの苗字も、僕の苗字にしている。
トメをベンチに座る旦那さんに任せて、僕が代表者として
カウンターで受付の方から渡された問診票の必要事項を書き、
「こちらでお願いします」と提出して、二人の元に戻ったら、
書類を持った受付の方が、待合室にいらっしゃった。
「あの…、もしよろしければ、お連れ様の連絡先も
こちらで登録をさせていただければと思うのですが…」
いつも僕は、こういう瞬間に、2秒だけ、緊張する。
「そうですね、ありがとうございます。電話番号は…」と、
僕が旦那さんの連絡先を口頭で述べると、
受付の方がサラサラとペンを走らせる。
「あの…、失礼でなければ…ご関係は…?」
きた。
キターーー。
(↓の写真は全く関係ないけど、トメがたまにする顔)
こんな時、いつも、どう説明していいか、迷う。
カミングアウトすることが嫌なのではなくて、
正直に話すことで、相手に「どう反応したらいいのだろう」と
戸惑わせてしまうのが、僕は個人的には嫌なのだ。
「あの…、ご兄弟ですか?」と訊かれることもあって、
どうみても、旦那さんは、タヌキ顔(こってりソース顔)。
僕は、キツネ顔(薄口のしょうゆ顔)だから、
「苦肉の策の質問かなぁ」と勘繰ってしまうこともある。
「あ、えっと、パートナーです」
いつものごとく、ちょっと声を潜めながら、
でも、「別に自然なこと」と涼しい姿勢を見せながら、伝える。
(さて、どう受け止めてくれただろうか…)と不安がよぎる中、
受付の方は、特に動揺をするわけでもなく、ペンを走らせながら、
「あ、分かりました。お名前もお伺いできます?」と続けた。
ほっ。
この、ちょっとしたやり取りが、僕の日常には沢山転がっていて、
その都度、よく分からないけど、「申し訳ないな」という気持ちと、
「別に申し訳なく思う必要はない!」という気持ちとがせめぎ合う。
でも、トメについては、いざという時に、
もし僕が連絡が取れない場所にいたら、
代わりに旦那さんに連絡をしてもらえるのが都合が良いし、
その時、病院の関係者が迷わずに電話してくださる方が有難い。
「相手を困らせてしまったら、どうしよう」と躊躇したことを、
ほんの少しだけ恥じて、トメの診察を待った。
待合室には、他の家族もいて、
おじいちゃんとおばあちゃんと犬、
若い感じの男性と女性(夫婦かな、恋人かな、兄弟姉妹かな)と犬、
お母さんらしき女性と娘らしき女の子と犬…
はたからみたら「家族」と見える人間模様も、
本当のところは、本人たちしか知らないんだわ、と思って、
「トメちゃーん、2番診察室にどうぞー」と呼ばれる、その時を、
旦那さんと僕とトメは、静かに待っていた。