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トメとの闘い。トメは散歩の行きと帰りで人格(犬格)が変わる

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毎朝・毎晩、散歩が必要なトメ。
これは台風でも嵐でも、変わらない。

基本的には外でしかトイレをしないから、
旦那さんか僕か、あるいは2人揃って、
毎日、トメの散歩に出かける。

トメは「お散歩!」と声をかけると、
「はい!待ってました!」という感じで、
玄関まで走ってくる。

首輪をつけて、リードをつけると、
マンションの内廊下を走し抜けて、
エレベーターに向かう。

1階のエントランスの自動扉が開き始めると、
「はい! 出発です!」と4本の脚を器用に動かして、
外に向かう。

一応、マンションの敷地を出たところで、
「今日は右に行くんですか? 左ですか?」と
立ち止まって僕や旦那さんの様子を窺うものの、
方向が定まると、猛ダッシュを開始する。

散歩の行きは、基本的に、トメが先導する。
リードを持つ人間が、引っ張られる。

順調に前に進む数分が経過すると、状況は変わる。

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「トメ、行くよ!」と促し、リードを引っ張っても、
トメは「私、もう疲れました」と言わんばかりに、
道の真ん中で、動かなくなる。

立場が逆転して、今度はトメがリードで引っ張られる。

トメの体重は10kgだから、動かないトメを
引っ張るのは、なかなか大変である。

さらには、「前には進みたくないんです」と、
細いのに筋肉のある4本の脚で踏ん張って抵抗するから、
リードの重みは10kg以上になる。

ここからは闘いだ。

人間がしゃがむと、何故か、トメは近寄る。
「どうしたの? 大丈夫?」とでも言いそうな、
優しい顔をして、口を開けて、近寄ってくる。

でも、人間が立ち上がって、歩み始めようとすると、
「私は、一歩も、歩きません」とモードを変える。

「ねぇ、おうちでご飯を食べようよ」と優しく言っても、
「トメ! 抵抗しないの!」と厳しめに伝えても、
トメは可愛いお尻を地面に下ろして、
涼しい顔をして、風の匂いに鼻をひくひくしている。

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町行く人たちが、笑いながら、見ている。
「ワンちゃん、可愛いね」と話す親子にとって、
必死でリードを引っ張る僕は、“ひどい人”に映るだろう。

トメは、そういった人間の心理をわかっているのか、
「私、引っ張られているんです」という表情をして、
すれ違う他者に、訴えかけようとする。

虐待を疑われかねないので、僕は猫なで声で、
「トメちゃーん、帰りますよー」と、おだてる。

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必殺技は3つある。

1つ目は、トメのお尻を、ちょいちょいっとつまむこと。
何故か、トメは尻尾の付け根を触られるのを嫌がる。
だから、ちょいちょいっとすると、トメは慌てて、
「何するのよ!」と憤って、前に進む。

2つ目は、お菓子作戦だ。
カバンからごそごそとお菓子を取り出そうとすると、
トメのモードが変わる。
耳をピンと立てて、口を広げる。

「あれ、もしかして、私の好きなやつですか?」と、
目を輝かせて、道の前方にいる僕に近寄ってくる。

ただ、おびき寄せることができるのは3メートルまでで、
それ以上は、「こっちだよー」と案内しても、
「その手には乗りません」と、一歩も動かなくなる。

3つ目は、僕はやらないのだけど、最終手段で、
旦那さんが「仕方ないなー」と言って、抱っこする。
担がれたトメは「あら、楽ちん」という表情をして、
旦那さんの腕の中で、静かに空を見上げたりする。

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SNSやインターネットの記事を見ると、
柴犬はどうやら、わがままで、自由きままな性格のようだ。
トメは大人(成犬)になってから、我が家に来たから、
「躾がなっていないのかな」とか、
「飼い主への忠実性が足りないのかな」とか思っていたけど、
どうやら、柴犬の特有な性格らしい。

ツンデレな側面も魅力、というわけか。
それを本人(柴犬たち)はどこまで自覚しているのだろうか。

今日もまた散歩に出かける。
行きは引っ張られ、帰りは引っ張る。

柴犬を連れた飼い主が、リードを引っ張っていても、
決して虐待だとは思わないでいただきたい。

この毎日の奮闘もまた、愛犬と過ごす、貴重なひと時なのだ。
(汗だくになるし、本当に大変な時間なのだけれど)


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