見出し画像

ギャップを埋める楽しさに気づいたら、こっちのもの。「成長の余白」を見つけて、作文力を上げていこう!

書く」「描く」「画く」。

かく」と発音する言葉にも、いろいろな日本語がありますが、僕はその行為がすごく好き。文章でも、作曲でも。絵は苦手なんですけれどね。どれも楽しいと心から思います。

ただ、「かく」ことは、理想とする完成形と、現実に持っているスキルとの隔たりに苦しみを感じることとともににある世界。

実際に僕は、いつも締切でやむを得ず、理想的な仕上がりでなくても「完成しました」とアシスタントに報告して公開しています。「完成」というのは、諦めの瞬間かもしれません。山下達郎さんも、かつてそう話していました。

頭には理想が浮かんでいる。でも、それがアウトプットとして出てこない、満足行く成果ではないのに公開せざるを得ない。そんなことがあります。

僕が最初にその苦しみにぶち当たったのは、約20年前。音楽制作を始めたときでした。ビートがこんな重さで、ギターがこういう音色で鳴っていて、ベースが弾んでいて・・・。頭では浮かんでいるのに、それが形にならない。悔しい思いをしたり、才能の無さを感じることが多かったです。でも、「なぜ自分にはできないのか」と考えて研究したり、留学や修行を経て、少しずつ理想と現実のギャップが埋まっていきました。

やがて編集者を始めて、また理想とする完成形から、自分が遠い場所にいることを思い知らされます。音楽づくりは自ら志して始めましたが、編集者は「知らぬ間になっていた」肩書きでした。そもそも「編集者」って何者なのだろう? 何を磨けばいいのだろう? そもそも理想とは? そんな葛藤からのシビアなスタートでした。

画像2

そんなシビアなスタートを切った頃。いきなり英語媒体の編集長を任され、悩みと不安とともに編集会議をしていました。

このような、理想と現実のギャップを感じる苦しみ。しかし、これを「成長の余白」として前向きに捉えることもできます。ポジティブに楽しんで進化していこうというマインドセットは、何事もスキル習得の近道ですね。

僕は「苦しみ」だけではない感覚で、そのギャップを見つめるように心がけています。なぜなら自分がステップアップをしていっても、追い求める理想形というのはどんどん進化・変化していきますから、そのギャップがゼロになることはないのです。

「ここまで質を上げられるようになったら、次はあそこを目指してみよう」
「今までとは違う、こんな作風もできるか試してみよう」
「かく」こととは、そんな冒険心とともにあるのではないでしょうか。

こうしてギャップは狭くなったり、広がったりし続けます。でも、それにうんざりせず、前進し続ける冒険心が大事になのです。冒険心を忘れてしまうと、創作表現者としての可能性はついえてしまいます。厳しく感じるかもしれませんが、そのシビアさを楽しめるようにならないと、なかなか続けていけません。

僕は、そのシビアだけれど面白くて、ときにすごい快感をくれる「かくこと」の価値をいっぱいの人びとに伝えたい。「編集者」という今の肩書きで、何ができるだろう。熟考の末に始めたのが、実践的な作文スキルの成長機会を提供する「作文の学校(現在名称: 作文の教室)」でした。

「書く」スキルを手にして、見たことがない景色に出会いたい。そういう人が集まるクラスをつくりました。うれしいことに、これまで4年間で全5期のゼミを開催し、東京を飛び出して全国各地で出張1Dayクラスを展開するほど、ご好評いただいています。

この「作文の教室」の初回では、「あなたの書き手としての理想形をイメージしてください」と考えてもらうワークショップを欠かさずにしています。そう、それは受講生たちに「成長の余白」を可視化してもらうためでした。

画像3

なつかしい第1期の写真。未だに卒業生向けのイベントを開くと遊びに来てくれる方も。

「作文の教室」は、平均20名ぐらいの受講生でガヤガヤ話しながら行うクラスです。この「ガヤガヤ」が大事なのです。

「成長の余白」を埋めることは、ひとりではできませんから。理想形はどこにあるか、そして何が今の自分に足りないのかを見つけたいときはコミュニケーションが一番です。

編集校正してくれる人、叱咤激励をくれる先輩や同期、公開したコンテンツを受け取ってくれる人。そんな人びとと出会って、文章というアウトプットを交換しながら深め育てていくと、成長の余白を埋める作業も苦しさより楽しさが勝ります。そして、文章への感想や意見を受け取ると「社会とつながっている」実感を覚えることもできるんです。

画像4

学びや気づきを棚下ろすことの美しさ‥‥!

社会とつながる」と書きました。これは兼松佳宏さんが「グリーンズの学校」のカリキュラム作成の過程で、全開催クラスをカテゴライズしてみたとき「作文の教室」に見出してくれた言葉です。

「社会と自分の接点を見つけるために表現=作文をしよう」
「表現=作文をして、発信した先に美しい世界がつくれるか挑戦しよう」
そんな意識をもともと持っていた僕にはすごくピンと来ています。

greenz.jp副編集長になって約5年。僕は、表現力豊かなコミュニケーションをしたことで花開いていった社会運動やNPO、美しい暮らしを実現していくカップル、社会的課題が解決していく瞬間をたくさん目撃してきました。

その一方で、表現の工夫や配慮が足りなかったことで頓挫してしまったり不和が生まれるチーム、逆に社会的課題の解決から遠ざかっていく様子もたくさん見てきたのです。 つまり表現の精度と社会の健やかさは比例するのだと思います。

表現力を育む場を多くの人々に開放すれば、みんなが気配りをし、創造豊かになるので、平和な社会、人の心が満たされることを最優先とする美しい暮らしの実現に近づきます。そう考えると「作文の教室」を開催すること、受講生といろいろな情報発信をしていくことは、「編集者」を生業にする僕なりの社会運動かもしれません。

今、この記事を読んだあなたが、「成長の余白」を見出して、苦しくも楽しい「かくこと」を始めてくれるといいな。そう期待してペンを置きます。

(編集: greenz challengers community

INFO. 

画像1


greenz.jpライターも各地からゲスト参加!文章を書くのが楽しくなる、greenz.jp副編集長・スズキコウタのスキル習得ゼミ。
作文の教室 (実践編)

2020年7月25日(土)よりスタート! お申し込みはお早めに。

https://school.greenz.jp/class/sakubun_2020_summer/





いいなと思ったら応援しよう!

スズキコウタ
最後まで読んでいただきありがとうございます! よろしければチップや、仕事依頼もぜひご検討ください◎

この記事が参加している募集