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2.15 春一番名付けの日
春はまだ来ないけれど
この町にきょう春一番が吹いたという
春がくればあなたに会えると言うけれど
あなたはまだこの町に戻らないのですね
まだ戻らぬということは
私の春はまだ遠く
あなたの帰りをここで待つ冬は
あとどれくらいあるのでしょうか
冬も美しくて素敵だけれど
会わない時間に愛は育つというけれど
それも美しいきれいごとのようで
私は早くぼんやりとした桃色の
その柔らかで阿呆らしい桃色の空気の中で
あなたを目一杯抱きしめたいと
そう思ってやまないのです
この胸がそう訴えてやまないのです
どうかこの胸の音がやんでしまう前に
桃色の阿呆らしい空気を連れて
私のもとに会いにきてください
そうして私の冬を終わりにしてください
私の春は
あなたが連れてくる春です