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Pokémon Sleepから考える習慣化を生む体験づくりとは

こんにちは、お久しぶりです。または初めまして。デザイナーのさくしまです。
会社のnoteを更新しやすくする活動をしました!という報告をしたのが2023年の3月、そこから私以外のメンバーは着々とnoteを更新し、私はというと…

また更新が止まっていました…

いくら投稿のハードルを下げても、習慣化まで持っていくのには大きなハードルがあるんですね。今回のことで実感しました。

そんな私でも2ヶ月毎日継続できている習慣(※2023年10月時点)があるため、それをUX観点で観察しながら、note更新習慣化につながるヒントがどこかに隠されていないかを見ていくことにします。

それは「Pokémon Sleep」です。

Pokémon Sleepとは何か

Pokémon Sleepは、株式会社SELECT BUTTON、株式会社ポケモンが開発するスマートフォン向け睡眠ゲームアプリ。対応プラットフォームはiOSとAndroidで、基本プレイは無料。「朝起きることが楽しみになる」をコンセプトとしている。

Wikipediaより

ざっくり説明すると、夜ユーザーが眠っている間にカビゴンの周りに集まってきたポケモンを朝に観察するというゲームです。

ゲームの構成は大きくの3つのパートに分かれています。

はこのゲームの本筋である睡眠データを取るパートです。
眠る宣言をして、アプリを起動したままベッド脇に置いておくと、ジャイロセンサーを使って睡眠のログを取得してくれます。

は夜に記録しておいた睡眠データを確認するパートです。
ここでポケモンの寝顔を観察したり仲間にしたりします。
このパートが一番やることが多いので、作業しているうちにだんだん目が覚めてきます。

はパーティとして選んだ5体のポケモン達と一緒にカビゴンを育てて大きくしていくパートです。
ポケモンたちが時間ごとにきのみなどを集めてきてくれるので、プレイヤーは定期的にアプリを開いてきのみを回収し、カビゴンに食べさせる…いわゆる放置ゲームになっています。

カビゴンは1週間ごとに成長がリセットされ、次のカビゴンを育てるという流れになるので、1週間区切りのゲームとして設計されています。
カビゴンが大きく育てば育つほど、集まるポケモンの数や種類も増えていくので、プレイヤーは夜寝るだけではなく昼間のカビゴンの育成にも力を入れないといけないという構造になっています。

継続を促す仕組みはどこにある?

実は私は過去に何個か睡眠系のアプリを入れていたことがあるのですが、大体のものが1週間たらずで開きすらもしなくなるというダメダメっぷりを発揮していました。
しかし今回は2ヶ月も継続できているのです。これは個人的にすごいことだと感じています。

どうしてPokémon Sleepだけは続けられているのでしょうか?
ゲーミフィケーションやUX心理学など、いろいろな観点で掘り下げてみましょう。

1.報酬を与える

習慣化を促すための手段として代表的な手法として、ゲーミフィケーションがあります。ゲームのように楽しく行動させることで、そのまま習慣化することができるテクニックです。
ゲーミフィケーションに必要な要素は場所によってまちまちなのですが、要素としては以下が挙げられます。

1.明確な目標がある
2.細かな課題が途中で提示されている
3.課題や目標を達成したら報酬が与えられる
4.現状が可視化されている

Pokémon Sleepは、ゲーミフィケーションの設定の中でも、3.が強いと考えています。
睡眠アプリの一番の難関は、寝る前にアプリを立ち上げてつけっぱなしにしたままベッドの脇に置いておく必要があるという一連の流れにあります。
面倒さで言うと私はこの説明を聞いた時点で「スマホのバッテリーがすぐにダメになりそう」「音楽を聴きながら寝るみたいな他のことができなくなっちゃう」「いつも寝る時間にやってたiOSのアップデートはどのタイミングでしたらいいの」など…やらない理由を探し始めてしまいます。
これはBJ Foggが定義したB=MAPモデルでいうところの「難易度が高い」のポイントに位置してしまうものであると考えています。

B=MAPとは、人間のあらゆる行動(Behavior)は、Motivation(動機), Ability(難易度), Prompt(きっかけ)の三要素が組み合わさることによって生じるとする考え方のことです。

Fogg Behavior Model

図にするとこんな感じですね。

難易度そこそこ、モチベーション低い状態

そこでPokémon Sleepは、アプリの目的を「ポケモンを集めること」にすることで、モチベーションを高く保てるようにしているのではないかと考えました。

しかもただの報酬ではなく、朝起きて観察ボタンを押すまではどんな報酬(ポケモン)がいるのかがわからないギャンブル性も追加しています。

人間はある一定の報酬を定期的に与えられるよりも、もらえたりもらえなかったり、大きかったり小さかったり変動性があるほうが、より報酬を魅力的に感じて行動してしまうという法則があります。

自分が今日どのタイプの睡眠タイプでいたのか、それによってどんな種類の何匹のポケモンが集まってきたのか、珍しいポケモンは紛れていないか…
もしかしたら明日は激レアポケモンに会えるかもしれないという期待感があるがゆえに私は今日も寝る前にPokémon Sleepを起動してしまうのです。

難易度は変わらないが、モチベーションは高い状態

2.試行錯誤ができる

こちらはゲーミフィケーション協会が提示しているゲーミフィケーション6要素にあった1つです。

4 .独自性の歓迎
主人公に自分好みの装備を施すことは分かりやすい自己表現であり独自性だが、その他にも、友達の気づかない攻略法を見つけ出したり、試行錯誤の末に自分なりの工夫をし目標をクリアすることもゲームの大きな魅力である。厳然たるルールが存在するがゆえの快感、満足感だ。

ゲーミフィケーション6要素

Pokémon Sleepはただ夜に寝て朝にレポートを見るだけのアプリではありません。前述した通り、昼のパートでいくつかの作業を行うことになります。

そのために必要なのがきのみと食材を集めてくる5体のポケモンたちです。

カビゴンは毎週月曜日に入れ替わり、その度に好物のきのみと食材が変化します。ポケモンたちにもそれぞれ個性と得意な項目があり、カビゴンを大きく育てるために一番適したポケモンの組み合わせはどれか、つど試行錯誤することになります。
あまりにも奥が深すぎて覚えられずに私はもう諦めて私物のスマートフォンのブラウザに攻略サイトを開いたままにしています。
ただ、カビゴンが欲しがっているものと5体のポケモンたちの得意が上手く噛み合った週はそれだけでなんとも言えない達成感があります。

ピカチュウはきのみを集めてくることが得意

3.朝と夜以外にもアプリを見るための仕組みづくり

Pokémon Sleepが他の睡眠アプリと異なる点は、先述した通り、夜に睡眠状況を計測して朝に見るだけでなく、カビゴンを育てるというタスクを追加することで、朝昼晩と継続してアプリを見ることに意味がある仕組みづくりをしているという点にあります。

習慣化のための鉄則をいろいろ調べていたときに、「小さく始める」というワードをよく目にしました。
先程出てきたB=MAPの右下のほうですね。
Pokémon Sleepでの「小さく始める」は、お昼にアプリを立ち上げ、ポケモンたちからきのみと食材を受け取ることが該当します。

こうすることで、Pokémon Sleepは夜寝る前にアプリを立ち上げないといけない特別な睡眠アプリではなく、きのみを受け取ったついでに「ねむる」ボタンを押して睡眠計測を開始するアプリとなっています。
小さな作業の延長に大きな作業がつながっているからこそ、無理せずに続けることができるように設計されています。

4.誰かのために行動させる

アプリの利用継続率を上げるには他のユーザーとの競争を煽ったり、協力を促したり、コミュニティを生成させることがよいとされています。もちろんPokémon Sleepにはフレンド機能がついています。睡眠研究をフレンド同士でシェアすることで、いろいろな特典がゲットできるようになっています。

しかし私はフレンド機能は使っていません。

私の場合にはなりますが、この「誰かのため」の「誰か」はカビゴンのためにきのみを集め続けているポケモンたちが該当します。
ポケモンたちは活動時間の長さによってだんだん体力がなくなっていき、プレイヤーが寝ている時に回復します。明らかに睡眠時間が短い日や夜遅くまで起きていた日などは、もう眠くて眠くて仕方ない…という顔をしているポケモンを見ることになります。

名探偵ピカチュウのネタ(本当はこんな顔はしてない)

これが単純に自分のためだと「やりたいこともあるし、もうちょっと起きていようかな…」となるのですが、いざ目の前に眠そうなポケモンがいると「ポケモンたちが可哀想だからそろそろ寝てあげないとな…」という気持ちになります。

私はこれにまんまとかかった形で、この2ヶ月で普段より30分〜1時間早く寝る習慣がつきました。

ただし、これは諸刃の剣だとも思っています。
睡眠習慣を変えることはなかなかに難易度の高いことです。
「ポケモンがずっと眠そうなのが かわいそうだから、もう見たくない!」の方向にシフトして、アプリを続けられなくなってしまう人もいるだろうと予想しています。

noteの更新に横展開できる仕組みはある?

さて、今回いろいろ調べてみて、noteの更新に横展開できる仕組みは以下2つではないかなと考えました。

3.朝と夜以外にもアプリを見るための仕組みづくり
4.誰かのために行動させる

3について

noteはゲームアプリとは違うのですが、最大の難関は共通していると感じています。
私はnoteを更新をすることがかなり特別な作業に感じているせいで、noteを開いて記事を書き始めるまでに相当なパワーを使ってしまっているのではないかと考えました。
なので、記事を書くために行う作業をできるだけ簡略化し、「小さく始める」ことができれば、もっと高頻度でnoteも更新できるようになるのではないかと予想しました。
とりあえず私はまず始められることとして、今この記事を執筆している時もnoteをすぐに書き始められるように専用のブラウザを用意して出しっぱなしにしてみました。すぐそこにあるので翌日以降の立ち上がりがとても早くなりました。早く気づけばよかったです…

4について

これは、恥ずかしいことに私だけでなくチームメンバー全体にも言えることなのですが、案件やチーム作業となると全力で対応にあたるのにも関わらず、自分のために行動する作業となった瞬間に、どうしても後回しにしてしまう傾向があります。

なので最近は、チーム全体で決められた一冊の本を読み、感想を語り合う「輪読会」のような活動を通して、「やりたかったけど自分1人では達成できませんでした」という状態を減らすような活動を行なっています。

つまりnoteでも同様に、この活動を通して誰かのためになる、もしくは活動しないことで誰かの不利益になる状態になるという設定にすれば、結果的に自発的に活動が行えて、最終的に定期的な更新まで見込めるようになるかもしれません。

ということで自分を奮い立たせるために今回は次回のnote更新日の宣言で締めにしたいと思います。
次回は2023年10月27日(金)更新予定です。※今決めました

ではまた次回のnoteでお会いできたら幸いです。


2FCのデザインチームでは、ともに学び、成長しながら、クライアントの事業や組織を前進していきたい、そこに共感いただける仲間を探しています。お気軽に問い合わせください!



今回参考にした記事一覧

ポケモンスリープ

ユーザーの行動系

B=MAPモデル


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