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日帰りで湘南から日本海へ   一般道シバリ(山越え編)

御坂峠を降りきりジャンクションを左折する
甲州街道に出る
待っていたかの様に朝日が背後を照らす
広がるバイパスに向かいアクセルを開ける

バタタタタァ
まばらな車列を軽快にすり抜ける
モリワキのマフラーが力強く唸る

赤信号
隣のクルマに目をやる
青信号で引き離す

赤信号
少し遅れて同じクルマが並ぶ
そんなこと繰り返す

気づけば甲府の街
郊外型店舗が立ち並ぶ中を突き抜ける

バタタタタァ
甲斐市をぬけ現れる南アルプスと秩父の山並み
冠雪が蒼白く近づき難い荘厳なオーラを放つ
雪山の風景が寒さを倍加する
厳寒の文字が脳から身体に沁み渡る

車線が減り緑が増える
山越えが始まるサイン
釜無川を左に緩やかに登り北杜市へ向かう

旧甲州街道とぶつかる交差点
右へウインカーを出し国道141へはいる

住宅街の様相
道を間違えた不安が襲う
標識を頼りにとにかく進む
緑に囲まれ山に向かっていることを確信
清里の文字が見え安堵する

須玉川を右に眺めながら登る
朝日が山に隠れる
たまに現れる気温掲示板は6℃
寒さが滲みる
これから山に向かえば更に下がるだろう
寒風とライディングの悦びと冒険心
パラメータがアメーバの様に変化する
冒険心の値は動かない
どんなに寒くとも引き返す選択は無い

右の川面にあり得ない数の鯉のぼりの大群
突然の風景に目を奪われる

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GROMを路肩に停める
ヘルメットは脱がない
左手のグローブを外しスマホに記録する

バキバキに尖ったモチベーションが安らぐ
見る観る視る
アタマのメモリへ温度や匂いと共に記録する
これもナニカの思し召しか
ヘルメットの僅かな空間に言葉を忍ばせる

さぁ行こう

道が荒れはじめる
険しい証拠だ
直線より曲線が増える

コーナーで感じるトルクと摩擦のチカラ
グングン登る
一生懸命回る単気筒125cc
頑張れガンバレGROM

清里の看板を左に見遣り真っ直ぐ進む
速度が僅かずつ落ちる

シフトダウンでアクセル
唸るエンジン
シフトアップしても速度が上がらない
シフトダウン…
少しだけロングなギヤに変えた
その分トルクを失っている
GROMに対する少しばかり罪悪感

やがてアクセル開度が減る
坂はまもなく終わりだ

山が開け草原が現れた
ジブリ映画の様な小海線の踏切や駅舎
白い息に包まれる牛の群れ
牧場を突き抜けるなだらかな下り

寒さを忘れて朝日に煌めく高原に見惚れる
永遠に走っていたい欲求に駆られる
浪漫に酔う自身を猛烈な尿意が現実に引き戻す
菅平高原の看板が見えて来た


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