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Twitterリブランディングの秘話: リアルで単刀直入、ありのままを追求するブランドパーソナリティ
Twitterには、毎日たくさんの人が心に思っていることを素直に表現するため訪れます。そこには、面白く、時にまとまりなく奇妙でありながら、個性的で魅力溢れる世界が広がっています。
リブランディングの最大目標は、Twitterのブランドパーソナリティを新たに定義することでした。マーケティングリサーチからは、ユーザーがTwitterで求める体験は、スタジアムでサッカー観戦しているかのようなライブ感、緊張感、スリルや高揚感であることがわかりました。そして、求めているツイートは本音トーク、忖度のない発言、そして情報の透明性でした。
私は、日本、シンガポール、アメリカのTwitterオフィスで働いた経験から、どの国でも共通するパーソナリティを見つけ出すためにチームと議論を重ねました。会議では、アメリカ中心の概念だけで一気に進んでしまう場合が多々あるため、気を張って発言する必要があります。ねるとん紅鯨団のように、「ちょーっとまったー!」が重要なのです。海外で働くには、日本で働く時よりも2倍ほどパワーを使う必要があるシーンに遭遇します。実は知力よりも度胸と気力が必要とされる場面の方が多いかもしれません。話を戻します。
議論を重ねた結果、私のチームは英語で Real, Straightforward, Unfiltered という三つのキーワードでブランドパーソナリティを定義しました。
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2014年の年末挨拶のツイートと、ブランドパーソナリティを定義した後の2020年のツイートを比較すると、その違いがはっきりとわかります。
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2014年のツイートは堅苦しく、フォーマルな印象を受けます。それに対して、2020年のツイートは Real, Straightforward, Unfiltered というブランドパーソナリティを反映し、Twitterの文化を理解した、パンチの効いたものとなっています。コメント数、リツイート数、ライク数を見ると、どちらのツイートが優れているかは明確です。
このブランドパーソナリティをどのように日本語化するかが問題でした。バイリンガルであり、言葉の背景にある文化的なバイブスを理解し、日米の架け橋となるパートナーが必要だと思いました。そこで、私はLA在住のクリエイティブディレクター/コピーライターの曽原剛さんに助けを求めました。彼は海外で活躍するクリエイティブの中でも、私が最大限リスペクトし信頼する漢(おとこ)です。
剛さんと共に長時間にわたり「あーだ、こーだ」とやりとりした後にたどり着いたアイデアをご紹介します。
本音でリアルに。
自分に正直で裏表がないこと。人の声にいつも耳を傾けること。完璧でいようと取り繕わずに、いつもオープンな心を持って発信していく。
日本では、多くのユーザーが匿名でTwitterを利用しています。匿名で利用できることが、日本で人気の大きな理由の一つでもあります。リアルとは、本名で使うことではないことにフォーカスしました。
自分に正直で表裏のないこと。つまり、本音トークであり、忖度のない発言であることが伝えたいポイントです。
とことん明快。単刀直入。
遠回りせずに、いつでも要点をつくこと。ムダな言葉で飾ることも、曖昧な表現でごまかすようなこともしない。
140文字(英語では280文字)で表現するために、ツイートは全世界おのずとこうなります。
今後の仕様変更でこちらは変わっちゃいますが・・・
いつも、ありのまま。
意外性があったり個性的であることは、良いことだ。他人を傷つけることは決してせずに、思っていることのありのままを声にしていく。
これが一番難しく、何度も議論を重ねました。
ディズニー映画『アナと雪の女王』の主題歌は、英語ではサビで "Let it go, let it go" と歌われますが、日本語版では「ありのままの姿を見せるのよ〜」となっています。Twitterでは意外性があって個性的なのは良いことだと信じています。この言葉は「ありのままの姿を見せる」というメッセージから生まれました。海外で娘たちを育てている私たちならではの発想だと言えます。
Twitterのブランドパーソナリティを定義していく中で、いつしか私自身のパーソナリティや信念へと繋がっていきました。真剣に仕事に向き合い、情熱を傾けると、自然にクロスオーバーしていくのがブランド・ストラテジストとしての醍醐味だと感じます。
次回は、「What's Happening」というTwitterのタグラインについて詳しく説明します。お楽しみに!